707.事典篇:亜人族:ケンタウロス、テルキーネス

 今回は「ケンタウロス」と「テルキーネス」についてまとめました。

「ケンタウロス」は賢者と射手の側面があります。「テルキーネス」はポセイドンの養い親です。

 この二種はともにギリシャ神話に登場しますから、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させても著作権に抵触しません。





事典【亜人族:ケンタウロス、テルキーネス】


 ケンタウロスはギリシャ神話に登場する半人半馬の生き物、テルキーネスは上半身は人間、二本の脚が二匹の蛇の尾である生き物です。

 よって著作権は存在せず、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にケンタウロスやテルキーネスを登場させても問題になりません。

 ケンタウロスはとても賢くて非好戦的な性格なので、賢者として登場することが多い種族です。

 テルキーネスは海神ポセイドンの養い親とされています。



ケンタウロス

 ケンタウロスは、ギリシャ神話に登場する半人半獣の種族の名前です。馬の首から上が人間の上半身に置き換わったような姿をしています。

 イクシオンとヘラの姿をした雲ネペレとの間に生まれたとも、その間の息子であるケンタウロス(人名)が牝馬と交わり産まれたともいわれます。

 好色で酒好きの暴れ者だが、中には出自の異なるものがおり、彼らは野蛮ではありません。クロノスとピリュラーの息子ケイローンは医学の祖とされ、医術の神アスクレピオスを始めアキレウスなど数々の英雄を教育した賢者として知られています。また不死であったのです。シレノスとトネリコの精であるニュンペの息子ポロスも人格者です。

 ケンタウロス族は戦いにおいてしばしば弓矢や槍、棍棒を使うとされます。星座の「射手座」は弓矢を持ったケンタウロスの姿から来ているのです。異説ではケンタウロスではなくサテュロスともいわれます。マンガ・車田正美氏『聖闘士星矢』の射手座の黄金聖衣はケンタウロスの姿をしているので、ケンタウロスが一般的です。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、半人半馬のケンタウロスは、他者に近づかず放浪を続け、自然の中にさまざまな前兆を読み取ります。争いを避けますが、争いが避けられないと悟れば猛然と戦うのです。彼らは広大な原野を放浪し、他の生き物の定める境界線や法律には近づかぬばかりか、他の生き物と連れになろうともしません。

 ケンタウロスの諸部族は温帯から熱帯にかけて存在します。これらの地域ではケンタウロスは気候が厳しい時にも薄い毛皮を着るか体に油を塗るだけで済むのです。彼らは狩猟と採集によって生き、雨風をしのぐ避難所を建てることはなく、天幕すら使いません。

 ケンタウロスの群れの移住は大陸を横切り、一回で数十年に及ぶのです。そのため同じ部族が同じ道をまたたどるまでには何世代かかることも。この「ずっと後に同じ道をたどる」という移動パターンが争いにもつながります。ケンタウロスたちが昔からの道をたどると、そこには他のクリーチャーの集落ができていて……というわけです。

 ケンタウロスのうち、部族の仲間についてゆけない個体は置き去りにされます。置き去りになったケンタウロスのうち、ある者は荒野に姿を消し、二度と現れません。部族との別れを耐えきれた者は、他の種族とともに暮らせます。辺境の集落はこうしたケンタウロスの自然知識を高く買うのです。ケンタウロスの鋭い洞察力のおかげで共同体全体が助かった例も多い。

 ケンタウロスは外部とのつきあいこそ苦手ですが、それでも放浪中にエルフやその他の親切な人型生物の隊商と出会ったなら取引をします。交易商人が傷ついたケンタウロスや老いて長旅に耐えられなくなったケンタウロスの命を救い、近くの集落へ連れてゆくと、ケンタウロスはそこで死ぬまで平和に暮らす……というようなこともあるのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、伝説に名高い狩人にして熟練の戦士たるケンタウロスは半人半馬であり、もっぱら文明の外縁部で見受けられる、ストイックな人々として知られます。彼らはさまざまに異なる外見をしており、色濃く日焼けしているが肌の色合いは近隣の地域に暮らす人間たちと大差なく、その下半身はその地方の馬の体色を受け継いでいるのです。ケンタウロスの髪は暗い色合いが多く、幅広の顔立ちをしている傾向がありますが、ケンタウロスの全体的な体格は、馬に似た下半身の大きさに影響されます。したがって、平均的なケンタウロスの身長は7フィート(約2.1m)を超え、体重は2000ポンド(約900kg)以上ありますが、細身の平原の走り手からたくましい山岳の狩人まで、地域によってさまざまな違いがあるのです。典型的なケンタウロスはおよそ60歳まで生きます。

 他の種族と距離を置き、同族同士ですら争うケンタウロスは、近代的な世界をゆっくりとしか受け入れようとしない、古い種族です。大多数のケンタウロスは広大な平原や不気味な森の外れを部族単位で放浪しながら暮らしているが、先祖代々の孤立主義の道を捨て、もっと開かれた世界とともに歩むことにした都会暮らしの者も大勢います。そういった自由奔放なケンタウロスはたいてい追放者と見なされ、自分の部族からは爪弾きにされるため、部族を去る決断は軽いものではありません。しかし、稀なことですが、先進的な指導者に率いられた部族全体が、他の人型生物の共同体と交易をしたり、同盟関係を結ぶこともありえます。エルフと多く行なわれますが、時にはノームと、稀に人間やドワーフと行なわれることもあります。とはいえ、多くの種族は縄張り意識の強い獣人の伝説や、頑固な開拓者や拡張主義の国々との間で頻繁に生じる暴力的な遭遇から、ケンタウロスに警戒の念を抱くものが多い。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、半人半馬、ケンタウロスは現実の存在というより、伝説から抜け出てきたように見えます。というのも、腰から上は普通の人間に見えますが四本足で立ち、胴体と尻や足は馬だからです。確かに二本足の親戚のように知性があり、ときには対話をすることもあります。

 普通は弓や槍、盾を持っており、戦時には全身鎧を着ることもあり、それには下半分の馬の部分も含んでいるのです。ケンタウロスは世界中にある広く開けた草原に住んでおり、食べ物を求めて小さな狩猟隊を形成してさまよっています。草も肉も食べますが、後者がより好きです。ケンタウロスの文化は人間とまったく異なっており、多くの部族は種族的に似通っている点などは考えず、人間を襲って食べることを好みます。彼らの信じるところでは、もともとは馬だったが過失を犯し、偉大なる雄馬の神フニンハアの呪いによって、動きの鈍い人間の体を与えられたのであり、屈辱に苦しまざるをえないと考えています。彼らはこの呪いとそこから解放されたい望みを語る物語を歌ったり話すのが好きです。幼いケンタウロスは親によく似ていますが、小さくてとてもいたずら好きです。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、下半身は馬、上半身(頭、胴体、腕)は人間の生き物です。人間の部分は馬の体毛で覆われておらず、服を着ていても着ていなくても、鎧を着けていても着けていなくても同じように快適に過ごします。軍隊では生まれついての騎兵として活躍しますが、蹄のせいで階段(とくに細い螺旋階段)は苦手でしょう。

 噂では元来好色な性質で、度を越した酒好き(しかもすぐに酔う)と言われています。しらふのときは「癒し」の才能を備えており、知恵と学習が大好きです。

 メインランド(ユニコーン大陸)ではケンタウロスの亜種がいくつも生まれ、異なる成長を遂げています。この大陸に居住するドワーフ(彼らもまたドラゴン大陸で一般に見られるドワーフから派生した亜種です)と協力し、ケンタウロスの氏族は狩人や羊飼い、畜産業者、養蜂家、鍛冶屋、船乗りなどになります。


 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、馬の胴体と、人間の頭、腕、胸を併せ持つモンスターです。生来強壮で、アルコールには目がありません。しらふのときには治療の能力がありますが、それ以外に魔法の力はありません。槍を好んで使います。

 ケンタウロスは人間の上半身と馬の胴体を持つ種族です。魔法使いはほとんどいませんが、「まあお気の毒に」の呪文を使えます。ケンタウロスは人間用の槍類を好んで使います。

 ケンタウロスの中にはごく稀に、ひじょうに知性の高いものが現れます。このようなケンタウロスは強力な魔術師になりえ、人間を指導したりもします。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ケンタウロスは草原に棲む種族で、腰から上は人間、下半身は馬です。彼らは定住地を持たず、集団で移動しながら狩猟生活をしており、文化程度はやや低いものの、言語及び生活習慣は人間のそれに似ています。金銭には興味を示しませんが、それ以外で適当な贈り物を持参すれば友好関係を結ぶことも可能でしょう。

 彼らは弓矢か槍を武器に戦います。接近戦の場合、ケンタウロスは一つの目標に対して手に持った武器と蹄で同時に攻撃をかけることができます。

 ごく稀にひじょうに高度な知識を持ち、魔法を使うことのできるケンタウロスがいると言われています。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では馬の首から上が人間の上半身になっている知的種族です。草原で狩猟や牧畜を営む遊牧生活を送っています。交渉は可能ですが、お金に興味はありません。



 TRPG『グランクレストRPG』では、馬の体躯に人の上半身を持つ亜人。陽気な性格で、人と仲良くなるものもいます。





テルキーネス

 テルキーネスは、ギリシャ神話に登場するロドス島の精たちです。半獣半人の姿をしています。冶金の術に通じ、クロノスの鎌を鋳造したとされるタラッサの子ら。

 ロドス島に来る前は、ポセイドンの養育をしていました。デュカリオンの大洪水の到来を予見し、ロドス島を棄てて離散したのです。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、テルキーネスは上半身は人間の男性ですが、下半身に足ではなく、二本の大蛇の尻尾が生えています。人里離れた海岸にひっそりと棲んでおり、その生態は謎に包まれています。

 人間と同様、善良なテルキーネスもいれば、邪悪なテルキーネスもいます。いずれも古代語魔法や毒薬に深い知識を持っていて、古代語魔法を唱えることもできます。

 身の危険が迫ったときには、テルキーネスは「シェイプ・チェンジ」の呪文によって巨大な姿や醜い獣の姿などをとって、相手を威嚇します。本来の姿で戦うときは、二本の尻尾とともに手にした三つ叉の矛を使います。





最後に

 今回は「亜人族:ケンタウロス、テルキーネス」についてまとめました。

 作品によって知性が低く見られているようです。

 しかしギリシャ神話でケンタウロスは賢者として登場します。

 賢者としての「ケンタウロス」はとても頼りになるので、けっして礼を失することのないようにしましょう。

「テルキーネス」は『SW』だけに登場しますが、元はギリシャ神話の精ですから、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させても著作権には抵触しません。



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