700.事典篇:妖精族:デュラハン

 今回は「デュラハン」についてまとめました。

「首無し騎士」という姿から多くアンデッドと誤解されますが、元々は妖精です。

 妖精として扱う限りは著作権を侵害することはありません。





事典【妖精族:デュラハン】


 デュラハンは「首無し騎士」という見かけからアンデッドに属すると考えられていますが、アイルランド伝承によれば妖精です。

 ですので「妖精」の一族として取り上げてまとめます。




デュラハン

 デュラハンはアイルランドに伝わる首のない男性の姿をした妖精。女性の姿という説も存在します。

 モンスターとして登場するデュラハンは首なしの騎士(多くの場合、首は脇に抱えています)として描かれることがあります。この首なしの騎士は、首なしの馬やそれに牽かれた戦車チャリオットを従えている場合が多い。

 本来は妖精の一種であり、アンデッドではないが、作品によっては「首なし」という性質からアンデッドに分類されることがあります。

 コシュタ・バワーという首なし馬が牽く馬車に乗っており、片手で手綱を持ち、もう一方の手には自分の首を持ち、ぶら下げているのです。バンシーと同様に「死を予言する存在」であり、近いうちに死人の出る家の付近に現れます。そして戸口の前に止まり、家の人が戸を開けるとタライいっぱいの血を顔に浴びせかけるのです。

 自分の姿を見られることを嫌っており、姿を見た者はデュラハンの持つ鞭で目を潰されます。ですが、コシュタ・バワーは水の上を渡ることができないので、川を渡ればデュラハンを姿を見ても逃げられるのです。

 ファンタジーRPGではアンデッドとして扱われることが多い。「首なし騎士」とも呼ばれ、文字どおり首のない騎士の姿をして、首なし馬に跨ったアンデッドとして描かれます。デュラハンは家の戸口の前で家族ひとりを指さしてその死を予言するのです。そして、一年後に再び現れて予言した相手を殺害します。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、デュラハンは甲冑をつけた首のない騎士の姿で現れる亡霊です。その甲冑は作りたてのような光沢を放っています。片手用の剣を下げ、盾は持っていません。それも道理で、余った片手に自らの首をさげているのです。

 デュラハンは、夜更けに首のない馬に牽かせた戦車に乗り(この首のない馬をヘッドレス・ホース、戦車をチャリオット・オブ・デュラハンと呼びます)、目指す家の戸口に現れます。そして、戸口をノックするのです。家人が戸を開けて顔を出すと、デュラハンは家の中を指差し、「死」を予言して帰ります。おおよそ一年後、デュラハンは再びその家に現れ、家の中から一人を選び、殺害するのです。

 デュラハンは最初に現れたとき、もしくは二度目に現れたときに返り討ちにすれば、その予言による死を避けることができます。死の予言を受けたものが引っ越しても無駄です。デュラハンは引っ越した先(家人がバラバラに越したなら、そのうちのどれか)に必ず現れます。海の上であろうと、四方を壁で覆ってしまった部屋であろうと……。

 デュラハンはいついかなる場所であっても、チャリオットとヘッドレス・ホースを召喚することができます。ただし一人のデュラハンには一台の戦車と二頭のヘッドレス・ホースしかなく、これらが倒されてしまうと、召喚はできなくなります。

 デュラハンは、銀または魔法の武器でないと傷つけることができません。

【ヘッドレス・ホース】

 ヘッドレス・ホースは、デュラハンを乗せた戦車を牽いている首のない馬たちで、空を駆けることができます。主人の命令に忠実に動き、敵を攻撃することもあります。チャリオットを牽いている状態では攻撃できません。デュラハンの意思で自在にチャリオットとヘッドレス・ホースを「切り離す」ことができます。

 ヘッドレス・ホースは主人のデュラハンが倒されたとき、行動能力を失います。

【チャリオット・オブ・デュラハン】

 デュラハンの乗る戦車で、飛行する能力があります。違うキャラクター相手になら、次々に「ひき逃げ」していくことが可能です。チャリオットに搭乗してそれを操っているデュラハンは同時に自分で攻撃することはできません(片手で手綱を引き、片手で自分の首を持っているからです)。ヘッドレス・ホースも、チャリオットを牽きながら攻撃できません。

 チャリオットには、銀または魔法の武器でなければダメージを与えられません。なおかつ「ソード」「スピア」「クラブ」「ボウ」「クロスボウ」「(魔法をかけた)素手」ではクリティカルによる追加ダメージを与えられません。「アックス」「メイス」「フレイル」「スリング」「ロック」「ウォーハンマー」は通常どおりクリティカルが起こりえます。

 魔法の場合、「冷却系」「毒ガス系」の魔法はまったく無効ですが、その他のダメージ魔法は有効です。「ターン・アンデッド」は効果がありません(このあたりに妖精の名残りを感じさせます)。また治癒魔法でダメージを与えることもできません。

 主人のデュラハンが倒されたとき、あるいは牽いているヘッドレス・ホースのいずれか一頭でも倒されたとき、チャリオットは行動能力を失います。



 TRPG『グランクレストRPG』では、死を告げる首なし騎士。同じく首のない馬にまたがり、剣を使って疾走します。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、 「首無し戦車兵デュラハン・タンクマン」は、甲冑に身を包んだ首のない騎士の姿をしたアンデッドモンスター「首無し騎士デュラハン」の一種で幽霊馬に引かせた戦車を操ります。執念深く、一度目をつけた相手を執拗に狙い続ける性質を持ち、なんらかの事情で狙われた貴族などからの護衛依頼が多い。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、首無し騎士デュラハンは、頭部の切断された死霊の騎士です。首のない馬を乗騎とし、混沌の軍勢における騎兵として戦場へ呪詛を振りまき、兵士を蹂躙します。死を宣告しに現れる妖精もこの姿をとると言われますが、外見での区別は困難です。長剣、騎士盾を持っています。





最後に

 今回は「デュラハン」についてまとめました。

 本来は妖精なのですが、TRPGやコンピュータRPG、ファンタジー小説などではアンデッドに分類されることが多いのです。

 ですが、首が離れているというだけでアンデッドという発想は貧困すぎます。

 本来どおり「妖精族」として扱えば伝承との整合性に無理がありません。



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