696.事典篇:妖精族:ハーフオーク

 今回は「ハーフオーク」についてまとめました。

 オークは繁殖力が高く、身長が近い相手との間に子をもうけることができるとされています。





事典【妖精族:ハーフオーク】


 オークの繁殖力は凄まじく、他の人型生物との間に子どもをもうけることができます。

『D&D』『PF』ではヒューマンとの混血であり、『T&T』では人間やエルフとの混血が多いけれども他の人型生物との混血もありうるとされているです。

「オーク」を樫の木より作り出されたパペット・ゴーレムとした『SW』『ロードス島』に「ハーフオーク」は登場しません。




ハーフ・オーク

 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、オークとヒューマンの部族同士がときに手を組むことがあります。強力なウォーロックを長に頂いて手を組むことも、長年争い続けた後で手詰まりを悟って手を組むことも。こうした同盟が婚姻に至るとき、必然的にハーフオークが生まれます。

 ハーフオークのうち、ある者はヒューマンの血を生かして純血の同胞たちを打ち負かし、オーク部族の誇り高い長となるのです。またある者は広い世界に踏み出し、ヒューマンその他の文明種族に立ち混じって自分の値打ちを証し立てようとします。少なからぬ者は冒険者となり、大業によって名をあげ、蛮習と憤怒によって悪名をとどろかせます。

 ハーフオークの灰色がかった肌、後方に傾斜した顔、突き出したあご、突き出した大きな歯、そびえる巨体を一目見れば、彼らがオークの血をひくことは明らかです。ハーフオークは身の丈6〜7フィート(約180〜210cm)、 体重はおおむね180〜250ポンド(約80〜110kg)。

 ハーフオークはヒューマンよりやや早く、14歳前後で成年に達します。ヒューマンより明らかに速く年をとり、75歳より長く生きることは稀です。

 オークの血のおかげで、「薄暗い」光の中では「明るい」光の中であるかのように、暗闇の中を「薄暗い」光の中であるかのように見通せるのです。しかし暗闇の中で物の色を見分けることはできず、ただ白黒の濃淡のみが見えます。(エルフやドワーフと同様に赤外線カメラのようなイメージです)。

 オーク族を創造したのは一つ目の神です。オークのうち、この神への信仰に背を向けた者も、この神の影響を完全に脱することはできません。ハーフオークにも同じことが言えます(ヒューマンの血を引くせいで、オークの血の影響は弱まってはいるのだけれども)。ハーフオークのうち、ある者は夢の中でオークの神が「内なる怒りを解き放て」とささやくのを聞くのです。またある者は、敵と白刃を交えるとき、オークの神がこれをよしとして歓喜するのを感じます(そして、ある者は神とともに歓喜し、ある者は恐怖と嫌悪に震えるのです)。

 ハーフオークは「本質において邪悪である」というわけではありません。けれど悪は彼らの中に潜んでいます。それを受け入れるか、抗うかは人それぞれです。

 オークの神の怒り以外でも、ハーフオークはいろいろな感情を強く感じます。怒れば鼓動が早くなるだけでなく、体じゅうがひりつくような気がするのです。侮辱は強酸のように肌を刺し、悲哀は体の力を奪います。笑うときは声をあげて心から笑うのです。体を動かす単純な楽しみごと——飲み、食い、組み打ち、太鼓を叩き、激しく踊ること——は、彼らの心を喜びで満たします。

 ハーフオークには気が短い者が多く、無愛想な者も少なくない。考え込むより体を動かし、議論より戦いを好みます。ハーフオークのうち、特に大きな成功を収めるのは、文明の地でうまくやってゆけるだけの自制を身につけた者です。

 ハーフオークにはオークに混じって生きる者が最も多い。そして、その他の種族のうち、最もハーフオークを受け入れる公算が高いのはヒューマンです。従ってハーフオークは、オークの部族に混じって生きるのでなければ、ほとんどがヒューマンの土地で生きています。ある者は気の荒い野蛮な部族の中で自分の力を証し立て、ある者は大都市のスラムで生き延びてゆくのです。いずれの者も、強い力、耐え抜く力、そしてヒューマンの血に由来する純粋な意志の力を持って戦い続ける点は変わりません。

 ハーフオークはオークの親から混沌寄りの性向を受け継いでおり、善属性との結びつきは強くありません。オークの間で育ち、かつオーク社会で生きることにした者は通常、悪属性です。

 オークは戦いの傷を自慢の種にし、飾りの傷を美しいものと見ます。けれど、もっと他の種類の傷、オークやハーフオークがかつて奴隷であったり、名誉を失って追放されたりしたことを示す傷もあるのです。オーク社会の近くで生きてきたハーフオークにはみな体に傷があります。それは侮辱のしるしかもしれず、誇りのしるしかもしれません。どちらにせよ、彼らは傷を見るたび、かつて自分が成し遂げたことや、かつて自分が受けた痛手を思い出します。こうしたハーフオークがヒューマンの間で暮らすときには、傷を誇らかに示すこともあれば、恥じて隠すこともあるのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG CORE RULEBOOK』では、ハーフオークは怪物であり、背徳と暴力の結果、痛ましい生を得た――少なくとも他の種族はそう考えています。実際のところ、ハーフオークが愛ある結婚の結果生まれることは滅多にありません。そのため彼らは困難の中、早く成長せざるを得ず、常に自らを守るため、名を成すために戦っています。恐れられ、疑われ、つばを吐かれても、ハーフオークは大きな成果と予想外の知恵を示して中傷する者を驚かせるのです――相手の頭蓋骨をかち割るほうがより容易であるにも関わらず、です。

 ハーフオークは男女ともに、6〜7フィートの身長とがっちりした体格を持ちます。肌は緑色か灰色がかっています。犬歯はしばしば口からはみ出すほど長く、これらの“牙”が陰鬱な眉とわずかに先の尖った耳と一揃いになることで、野蛮で悪名高い外見を生み出しているのです。ハーフオークは強い印象を与えるかもしれませんが、彼らを美しいと表現する者は稀です。

 ハーフエルフの社会的な差別は嫉妬や関心が一因ともなっています。しかしハーフオークの場合は、オークと人間の双方にとって最悪だとみなされているのです。オーク族から見れば肉体的に弱く、また人間族からは純血と混血のオークを区別しない者に恐れられ、攻撃されることも多い。こうして排斥される一方で、文明社会におけるハーフオークはその武勇を評価されます。また、オーク社会においても肉体的に劣った点を狡猾さと攻撃性で補うのです。オークの指導者は、生まれながらの首領や軍師にするため、意図的にハーフオークを生み出すことが知られています。

 それまでの迫害されてきた人生により、多くのハーフオークは用心深く、怒りっぽい。しかしその野蛮な外見に隠された本性を見抜ける人には、その心根に隠された思いやりを見出だすかもしれません。エルフとドワーフはハーフオークが彼らの天敵とあまりにも似通っているため、受け入れることはほとんどありません。しかし、他の種族はエルフやドワーフに輪をかけてハーフオークを理解していないのです。オークとの問題が少ない地域の人間社会は彼らにとって最も理解があり、彼らを生まれながらの傭兵や用心棒として扱います。

 粗暴なオークたちの間で暮らしたり、文明的な土地で孤独な落伍者として暮らすことを強いられるため、ほとんどのハーフオークは孤立しており、ひどく乱暴です。彼らは容易に悪に転じうるが、生来の悪ではありません。たいていのハーフオークは混沌にして中立であり、長年の経験から自分たちの利益にならないことには触れないことを学んでいます。彼らが崇拝する神を選ぶときは、戦争や個々の強さを促進する神々を好む傾向があるのです。

 しっかり自立したハーフオークは苦痛に満ちた過去から逃げようとするか、多くのものを己の力で変革する近道として、必要に迫られて冒険の人生を歩みはじめます。楽観的であるか、他者に認められたいと願う者は、世界に彼らの真価を証明するために悪と対峙することになるのです。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、ウルク(オーク)は決して好ましい交合の相手とは言えませんが、だからといって混血種が禁忌とされてはいないようです。それらはウルキン(ハーフ・オーク)と呼ばれます。

 人間やエルフとの混血種はよくありますが、ゴブリンやノームのような小柄な種族との混血もまったくないわけではありません。

 混血のウルキンはしばしばウルクのリーダーとして登場します。ウルクに拒否されると(そして、よく拒否されます)、彼らははぐれ者の一匹狼になります。


 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、ハーフ・ウルクはウルクと人間の混血として、トールキンの著作に現れます。外見と行動はウルクと同じですが、太陽の光の影響を受けません。じゅうぶんな知性度があるハーフ・ウルクは魔法に強く引きつけられます。

【ハーフ・ウルク(オーク)】

 ハーフ・ウルクは人間とウルクの混血種族です。見かけはウルクとほとんど変わりませんが、強さはそれ以上のものがあります。また、日光に影響を受けません。

 ハーフ・ウルクは、武器や防具などを好んで用います。魔法に対して強い憧れを持っており、つねに魔法の能力を手に入れようとしています。

 ハーフ・ウルクはバルルクにひじょうに大きな恐怖感を抱いており、バルルクの命令にはどんなことであっても逆らうことはできません。

【ハーフ・ウルク(灰ウルク)】

 この種のハーフ・ウルクは人間と灰ウルクの混血種族です。見かけは灰ウルクとほとんど変わりません。その他の特徴は、バルルクに強い恐怖感を持っていることを含め、普通のハーフ・ウルクとは同じです。





最後に

 今回は「妖精族:ハーフオーク」についてまとめてみました。

 オークが人型生物である『D&D』『PF』『T&T』では、その繁殖力の高さから混血種が多く見られます。

 繁殖力が高いという点で、成人向け「剣と魔法のファンタジー」では、ネタにされることもあるでしょう。

『D&D』『PF』ではプレイヤー・キャラクターとして演じられます。

『T&T』でもデータ補正表が記載されており、プレイヤー・キャラクターにすることもできるのです。『T&T』はたいていの種族をプレイ可能という珍しいTRPGといえます。



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