688.事典篇:妖精族:ダークエルフ

 今回は「ダークエルフ」についてまとめました。

 今でこそ著名になった「ダークエルフ」ですが、元々は『北欧神話』で「ドワーフ」と同一視されていた存在です。

『北欧神話』の影響の強い『T&T』ではヴァルタと呼ばれるダークエルフが登場し、これが『D&D』に渡ってドラウになります。





事典【妖精族:ダークエルフ】


 ダークエルフの初出もまた『北欧神話』です。

 始まりの巨人ユミルの死体に湧いたウジ虫のうち、暗く淀んでいたものに人型と知性を授けてドヴェルグ(ドワーフ)とスヴァルトアルヴ(デックアルヴ、ダークエルフ)が生み出されています。この二種はともに光を嫌い、洞窟暮らしをしているため、しばしば混同されていたのです。ドヴェルグの住むニダヴェリールと、スヴァルトアルヴの住むスヴァルトアルヴヘイムは同じ世界(山の洞穴)にあると考えれば論理に無理がありません。

『北欧神話』発祥ですので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にダークエルフを登場させても著作権には抵触しません。ただし『D&D』の「ドラウ」、『T&T』のヴァルタ(ヴァルテ)という呼び方には商標権がありますので、用いる場合は「ダークエルフ」と呼んでください。




ダーク・エルフ

 ダークエルフは、ファンタジー小説やテーブルトークRPGなどに登場する架空の種族です。多くの場合、エルフの近縁種とされ、エルフが気位は高いものの人間に対して友好的(あるいは無関心)であるのに対し、人間に害をなす存在として描かれます。またエルフと敵対していることが多い。

 上記のようなダークエルフの設定は歴史的な伝承はもちろんのこと、J.R.R.トールキン氏『指輪物語』にも登場しません。『指輪物語』ではむしろオークがエルフに敵対する存在として、そのポジションを占めており、劇中に「オークはエルフの紛い物」との記述もあるほどです(オークは醜く愚かしい怪物として描かれています)。前史である『シルマリルの物語』では、古代に浄福の国の光に接する機会のなかったエルフたちが「暗闇のエルフ」と呼ばれていますが、上記とはまったく別の意味です(原語版ではDark Elfです)。同作には闇の陣営にそそのかされて一族を裏切ったエルフも登場しますが、これはあくまでも個人であり種族というわけではありません(敵に捕らえられたエルフがオークに変えられたことを仄めかす記述はあります)。

『D&D』に登場するダークエルフは「ドラウ・エルフ(堕落したエルフ)」とも呼ばれ、ほぼ前記の存在とされています。『ドラゴンランス』シリーズや『ソード・ワールドRPG』シリーズなどにも同様のダークエルフが登場するのです。

『北欧神話』において「闇のエルフデックアルヴ」という存在は、英語に直訳すると「ダークエルフ」ですが、原典においては「黒エルフスヴァルトアルヴ」と同義であり、「黒エルフの国スヴァルトアルヴヘイム」には、ドワーフであることが確定できるグレイプニル作成の鍛冶たちや、アンドヴァリが住んでいます。また「闇の妖精デックアルヴ」に対する「光の妖精リョースアルヴ」などの区別は、より古い『北欧神話』の経典である古エッダには見当たりません。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ダーク・エルフ(ドラウ)の祖先は黒い肌をしたエルフの亜種族でした。

 何万年も前のこと、エルフ族は心優しい者たちとわがまま勝手で冷酷な者たちに分かれて相争ったとされます。この抗争は、悪しき同族を地下の深みに追いやる形で終結しました。地上を追われたダーク・エルフ(闇のエルフ)、別名ドラウたちは、光の射さぬ大洞窟やどこまで続くか知れぬ曲がりくねり込み合ったトンネルの中に避難所を見出だしたのです。そして彼らは、エルフの諸神のうち唯一彼らを見捨てなかった「蜘蛛の女王」こと女神ロルスに、導きをも見出だしました。

 女神の命ずるところに従って悪と腐敗の道をたどって地上を追われ、地下世界アンダーダークの深みに「ロルスの道」に従う独自の文明を持つようになったのです。

 ダーク・エルフは、食糧と水に恵まれた巨大洞窟に驚くべき都市を築いています。石を彫り刻む技にかけては、ドワーフの名匠にひけをとりません。しかしその建築はやはり紛れもなくエルフの美学を残しているのです。ドラウの家々は一見きゃしゃに見えます。ですが構造はしっかりして、驚くほど強靭です。ドラウは好んで巨大な石筍や鍾乳石の中をくり抜き、大洞窟の床や天井から伸びる、人の住む尖塔に変えてしまうのです。

 ドラウの都市は不規則に広がる巨大なもので、これを高い城壁が囲んでいます。

 ドラウはジャイアント・スパイダーを育て養って、侵入者から都市を守らせるのです。そのうえ、ジャイアント・スパイダーはドラウの都市に美しい蜘蛛糸を張り渡します。これは空を飛んで壁を越えようとする敵を捕まえるのに役立つのです。

 ドラウの政治は陰謀の横行しています。ドラウ同士が手を組むのは、たいていは共通した敵を倒し自分たちの生き残りを確実にするためであり、こうした同盟は短命で危険に満ちています。

 ドラウの社会は複数の貴族の家によって分割されているのです。いずれの家も、これを治めるのは一人の母長であり、母長は何よりも家の威信と権力を高めようとします。その他、家において高い位にある者はみな血縁であり、中ほどの位にはこの名家に忠誠を誓った弱小の家のドラウがひしめくのです。家の中でいつ切り捨てられるか知れぬ低い位にしがみついているのは、その家の奴隷であり、生まれの卑しいドラウや、時にはドラウでない捕虜がこれに含まれます。

 名家に血のつながりのある女のドラウは、生まれた時からロルスの女神官たるべく育てられ教えられるのです。「蜘蛛の女王」ロルスは男が神官の地位につくことを許しません。

 女神官たちは「蜘蛛の女王」の意思を遂行し、その結果としてドラウ社会に恐るべき権力と影響力をふるいます。ドラウの家を治める母長たちは、ロルスの女神官の中でもとくに力ある者ですが、彼女らは常に「蜘蛛の女王」への献身と己の一族への献身の間のつりあいを取らねばならぬ難しい立場にあります。

 ドラウ社会では男は女に服従するのです。男のドラウはアンダーダークの見回り部隊や、地上世界への襲撃部隊を率いることもありますが、しかし彼が報告を行なう相手は、上長にあたる女のドラウです(それは家の母長である場合も、母長が選んだ女性の部下である場合もあります)。男のドラウはドラウ社会でほとんどあらゆる役目を果たせますが、神官になることと、家を治めることだけはできません。

 身分の高い男のドラウで、しかも戦士として訓練を受けるだけの腕力も技芸もない者は、否応なく魔法を学ぶことになります。彼らにとってそれは生き残るための道です。女のドラウは生来、秘術に才のある者もドラウの魔道士になることがありますが、男に比べるとその数は少ない。

 ダーク・エルフとも呼ばれるドラウは、磨き上げた黒曜石にも似た黒い肌と、純白や薄黄色の髪を持ちます。目の色は淡く、白と間違われることもあるほどで、そこに藤色や銀色や桃色や赤や青の色合いが混じっているのです。体つきはおおかたのエルフよりも小柄で瘦せぎすの者が多い。

 ドラウは長く地下に生き、環境にあわせて進化した結果、暗闇でものを見ることができる一方、もはや日光には耐えられません。

 ドラウが地下世界での生活に適応したのと同様、ドラウの魔法もまた地下世界に適応しました。魔法を用いて石を彫り都市を築くだけではありません。ドラウは魔法で武器を強化し、危険な新しい魔法のアイテムを作成し、アビスからデーモンを呼び出すのです。ドラウの呪文の使い手はたいそう尊大で横柄であり、魔法を最も忌まわしい方法で使うことを少しもためらいません。

 ドラウはアダマンティンと呼ばれる、超自然的に硬い、黒ずんだ金属で武器を作ります。ドラウの工匠は武器や防具に蜘蛛の糸に似た金線細工を施し、あるいは蜘蛛をかたどった飾りを付けるのです。魔道士は時折、アイテムに魔法の力を吹き込んでいっそう役立つものにします。けれどもこれらの魔法は日光にさらされると薄れて消えてしまうのです。

 ドラウはエルフ族のうち最も邪悪な者たちであり、地上世界に姿を見せることはめったにありません。そのためドラウの冒険者は稀です。そもそもドラウという種族自体、必ずしもすべての世界に存在しているわけではないせいでもあります。

 自分たちを追放したエルフを滅ぼそうと企んではいますが、もはや自分たちを追放者と思っているわけではありません。彼らは暗黒を支配するべく定められた者であり、ただロルスが「立ち上がって地上に住む同族どもを打ち滅ぼせ」と命じたならそのようにするというだけなのです。

 アンダーダークで奴隷が不足すると、ドラウは地上に襲撃部隊を送り、闇に紛れて人型生物を捕らえて自分たちの都市に連れ帰り、痛めつけて従わせます。ときどきこうした遠征に出る他は、ドラウは地下世界にとどまることに満足しており、ここにいれば安全で万事意のままになると感じているのです。

 ドラウの精兵には男も女もいます。家と上長を守ってあらゆる敵と戦いますが、ことにドワーフ、ノーム、エルフ(他のドラウを含む)との戦いに長けているのです。彼らは好んで夜闇に紛れて地上世界の集落を襲い、捕虜と略奪品を確保して夜明け前にアンダーダークへ戻ってゆきます。

 ドラウ社会では、蜘蛛の毒やアンダーダークの植生から精製したさまざまな毒がふんだんに用いられます。毒は彼らの文化にも政治にも重要な役目を果たすのです。ドラウの魔道士は敵を気絶させる粘液状の毒を調合します。ドラウの戦士たちは剣の刃やクロスボウのボルトにこの毒を塗り、戦闘の後で気絶させた敵を尋問し拷問するときのことを楽しみに思い描くのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、エルフの親類といえど、ドラウはせいぜい有害で邪悪な従兄弟といったところです。ダーク・エルフとも呼ばれるこれらの狡猾なクリーチャーは、世界の地下にある洞窟や隧道ずいどうをうろつき回り、多くの地下都市を恐怖と力で支配しています。デーモンを崇拝し、出会った種族のほとんどを奴隷とするドラウは、地下世界の住人の中で最も恐れられ、厭われているのです。

 ドラウは地上に住む親族よりも背がわずかに低く痩せているものの、それ以外の点では肉体的に類似しています。ドラウは漆黒から暗紫色までの暗い色の肌です。ほとんどのドラウは白髪か銀髪で、目は白か赤色だが、他の色の者も稀にですがいます。

 ドラウの社会は強力な貴族階級によって支配されており、貴族たち自身も嗜虐的で危険な女家長に統べられています。女家長は競合する氏族や自らの家の下位の同族に対し、常に陰謀と策略を仕掛けています。ドラウの大多数は一般の兵士と退廃した市民で。ドラウの貴族はより強力で危険です。

 戦闘に際して、ドラウはまったく無慈悲で、公正さや慈悲などを気にかけることもありません。奇襲攻撃や、敵を自らが明らかに有利な場所に誘い込もうとします。劣勢になれば速やかに撤退し、逃亡を援護するため奴隷や部下を置き去りにするのです。

 ドラウのおよそ120人に1人は、生まれつき特殊な力に恵まれています。この例外的なドラウの圧倒的大多数は女性であり、その結果ドラウ社会は母権制となる傾向があるのです。特別なこの誕生は、支配階級では巧みに計画され奨励されており、母親が貴族の血族である場合に起きる可能性がきわめて高い。奇妙なことに、父親の地位はドラウの貴族として子供が生まれる確率を増減させないように見えます。貴族から生まれた普通のドラウは通常殺されます。ドラウが信仰する数多くのデーモン神への生贄となるのです。一般人の両親からドラウの貴族が生まれるのは稀なことだが、そのような者は通常は成年に達するまでにその社会の貴族の氏族に楽に参入するため、両親や家族を殺害して自らの出生を隠します。ドラウの貴族は同族の大多数よりも強力であり、そのため氏族の中で迅速に権力の階段を登っていくのです。氏族内での階級を登っていくために、通常は暗殺、詐略、裏切りが組み合わせて実行されるため、権力を持つドラウのほとんどは度外れて偏執的です。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、人間の文明が興るより以前、異なるエルフの種族は世界を分けるようにそれぞれの道へと進んだのです。

 邪悪な汚染が彼らをふたつの派閥に分けました。しかし続く戦いで善の軍勢が勝ち、森をウッドエルフに残して、敵は地下に撤退することを余儀なくされたのです。やがて、これらの邪悪な一族のことは忘れられました。しかしダークエルフたちはその地下の世界でふたたび力をつけ、文明を発達させていったのです。

 ダークエルフは数世紀をかけて体つきも変わっていきました。ひどく痩せ細り、闇夜のように黒い肌と緑の眼を持つようになったのです。同様に精神も発達するにつれ、どんどん邪悪になっていきます。統治は彼らの魔術師が行なうようになり、奴隷制度や魔王崇拝、そして陰惨な魔術の儀式が取り入れられたのです。文化は退廃していき、古いエルフの魔法は、彼らの目的にかなうように捻じ曲げられていきました。彼らはすべての地上の者に対する嫌悪を生まれながらに抱いています。数人のダークエルフの小部族が孤立した地域を襲い、見つけたものはなんでも略奪し、燃やすのです。彼らは地上に出たときには大きな黒いフード付きの外套で身を覆っています。

 しかし地下にいる間、ダークエルフの姿はまったく異なって見えます。風変わりな装飾の凝った服を着て、髪や体を奇妙な色や模様で飾るのです。普通に好む武器は今でも弓ですが、地下の狭い場所では、長い鋸歯状の刃を持つナイフをより好みます。それは珍しい金属でできており、強力な魔法が角ばったルーン文字で封じ込められているのです。ダークエルフは地上世界を嫌悪してきたと同時に、そこでの生活に戻ることができないともはや知っています。その憎しみは薄れることもなく、襲撃部隊はたえず地上をうろつき、出会う者はなんでも殺すか、さらっていくのです。

【ブラックエルフ(黒エルフ)】

 ブラックエルフは、親戚とされるダークエルフの邪悪な王国に反逆した者たちです。ブラックエルフはダークエルフとともに森を放棄し、地下に王国を築くのを手助けしました。しかしダークエルフが恐るべき魔術と悪魔信仰に傾倒するに従って、恐れるようになったのです。そのため地下の街から逃れ、他のエルフの種族とは遠く離れた場所に移住しました。今では、オーガやゴブリン、その他の人型種族のそばで、ごみごみとした生活を送っています。

 他のエルフと同様に彼らは痩せていて背が高い。肌は黒と灰色の間のどこかになり、吊り上がった目は黄色く猫に似ているのです。着古した風変わりな衣装に身を包み、奇妙に整えられた髪や顔の化粧など、似たような傾向の服装をときに見かけます。彼らの最も好む武器はロングボウですが、槍や曲刀にも熟達しているのです。

 ブラックエルフの中には放浪者になり、平原を隊商で旅し、孤立した共同体で品物を取引する者たちもいます。多くは自分たちだけの小さな村に住み、痩せた土地で狩猟や農業を行なっているのです。

 すべてのブラックエルフは他の者達に対して猜疑心を持っています。他のエルフ種族は彼らの視界に入ろうものなら攻撃を受けるが、エルフ以外の種族は友好的ではないにしろ、中立の扱いを受けます。彼らはよそ者を好まず、金を目当てに待ち伏せすることをためらったりはしません。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、エルフが本来の故郷から逃げてきたとき、次元の門の一つを通って、闇のヴァルタ(複数形はヴァルテ)が惑星トロールワールドに移住してきました。

 われわれの思う典型的な森住まいのエルフとは異なりますが、縁戚関係にあります。性質は邪悪かつ冷酷で、よそ者に対しては平気で、しかも故意に悪辣なことを仕掛けます。

 ヴァルタは陽光を嫌います。普通のエルフが鉄から受けるのと同じくらいの痛みを陽光から受けるのです。彼らは普通のエルフを、共通語に翻訳すると「陽光エルフ」とか「光のエルフ」といった名前で呼んでいます。昼間に外に出るときは、たいてい分厚いローブとフードを身に着け、よくマスクをかぶっています。

 ヴァルタは縁戚の陽光エルフと同じく、尖った耳、切れ長の宝石のような色をした目、長身でほっそりした肉体を備えています。肌の色合いも他のエルフと同様のバリエーションがありますが、多くはくすんだ灰色で、中には濃いコバルトブルーのものもいます。髪は白から黒まで広範囲に及び、紫や鮮やかな青などさまざまな色合いがあります。彼らはひじょうに個性的で、強烈な性的嗜好を備えています。暗闇でもよく目が見えますが、完全な暗闇では他の種族同様、視力は効きません。

 ヴァルタは地下を好み、自分たちだけの避難所として、小さな世界を構築します。ドワーフは地下で彼らと遭遇することがあるので、他のよそ者の種族についてと同じくらい彼らのことをよく知っています。しかしドワーフは、彼らがどんな話を持ちかけてこようと、偏見の目で見ずにはいられません。

 ヴァルタはあらゆる種類の武器を使いこなせます。また暗黒魔法の技術に関しては右に出る者がいません。寿命は長く、音楽や演劇、語り部などの習得には、同族のエルフと同じように情熱を注ぎます。しかし、そうした芸術は部外者の基準から見ると、歪んだおぞましいものとなっています。


 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、ダーク・エルフは、心がねじ曲がってしまったエルフです。ダーク・エルフは普通のエルフの能力をすべて持ちますが、行動の理念は正反対です。

 ダーク・エルフは、肌の色が漆黒であることと、体型がややがっしりしていることを除けば、エルフと外見的にはほとんど差はありません。しかし、その性質はエルフとはまったく逆です。ダーク・エルフは血と殺戮を好み、己の欲望のためならどんな卑劣なことでもする、忌むべき種族です。〈魔術師戦争〉以前、誰からも愛されるエルフ族に神=魔術師のひとりが理由なき嫌悪感を抱いて作り出した、呪われた種族だとも言われています。

 ダーク・エルフは魔法に対して強い抵抗力を持っていて、生まれつき、あるひとつの魔法を完全に無効化できます。どの魔法を無効化できるかは個体ごとに異なります。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、PCとしては使えません。いにしえの神々の戦いで、エルフたちは光の神々の側に立って戦いました。ところが中には、暗黒神の側に与した者たちもいたのです。漆黒の膚を持つこれらのエルフは、ダークエルフと呼ばれています。

 彼らは暗黒神の使徒であり、卑劣なことを好みます。「インビジビリティ」を用いた暗殺は彼らの最も得意とする技です。使用する武器によく毒を塗っています。毒のついた武器で攻撃を受け、ダメージを負ったキャラクターは即座に毒の抵抗ロールを行わなければなりません。

 ダークエルフは、より強い者(闇司祭など)と共謀して大きな悪事を企むことも多々あります。人間たちもまた、ダークエルフに対しては強い敵意を抱いています。 

 ダークエルフにはリーダーもいるのです。ダークエルフは個体の差が大きく、冒険者と同じく、その能力に差があります。

 リーダーもまた、毒をよく武器に塗っています。彼らが使う毒は一般のものが使うよりも毒性値の強いもので、その効果は麻痺です。毒を受けて抵抗ロールに失敗した場合、次のラウンドの終わりには麻痺してしまいます。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では。ダークエルフ・ローグは古の戦いで、暗黒神の側に与したエルフ族の末裔です。暗黒神の力の影響といわれる、漆黒の肌と魔法抵抗力を持ちます。卑劣かつ狡猾な手段を好み、正面からの戦いは避ける傾向にあります。

 ダークエルフ・リーダーはダークエルフの集団を率い、暗殺者と魔法使いの両面の能力を持ち、非常に強力な存在です。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、森の持つ闇の力の象徴とも、邪神に魂を売り渡したエルフともいわれています。性格は邪悪で、ふつうのエルフとは敵対しているのです。知能はひじょうに高くシャーマン魔法を使えます。暗視能力も持っています。

【ダークエルフ・シャーマン】

 ダークエルフの中でも、シャーマン魔法に優れた者のことを言います。武器の腕前はふつうのダークエルフと変わりませんが、シャーマン魔法に関しては、普通のダークエルフよりも高レベルのものを使えます。

【ダークエルフ・プリースト】

 暗黒神ファラリスに仕えているダークエルフ。彼らはシャーマン魔法が使えない代わりに、ファラリス宗派のダークプリースト魔法を使うことができます。武器の腕前は、ふつうのダークエルフと同格。

【ダークエルフ・リーダー】

 ダークエルフの中でも優れた能力を持った者。ダークエルフの集団のリーダー的存在です。武器の腕前は、普通のダークエルフを遥かに上回ります。しかしシャーマン魔法は普通のダークエルフと変わりません。

【ダークエルフ・ロード】

 シャーマン魔法の能力においても戦闘能力においても、並みのダークエルフを遥かに凌駕している者。ダークエルフにおける英雄的存在で、ダークエルフの部落を支配している「王」です。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、闇人ダークエルフは、浅黒い肌を持つ、邪悪なエルフです。





最後に

 今回は「妖精族:ダークエルフ」についてまとめました。

 ファンタジー作品によく登場する存在ですが、『指輪物語』には登場しない異端です。

『北欧神話』の「スヴァルトアルーヴ」がデックアルヴ、ダークエルフとも呼ばれていますから、名前はここから来たのでしょう。

『北欧神話』ではドヴェルグ(ドワーフ)とスヴァルトアールヴ(ダークエルフ)が同じ世界にいるようであり、同じユミルの死体に湧いたウジ虫から生み出されているのです。そこで『T&T』では「ドゥエルフ」と呼ばれる種の近いドワーフとダークエルフの混血が存在することになりました。



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