685.事典篇:巨人族:その他の巨人
今回は「巨人」の中では小さい部類に入る、これまで紹介しなかった巨人たちをまとめました。
オーガーやオニ、イエティはいずれも名の通った巨人です。
ちなみにオニは『D&D』『PF』にしか出てきませんが、私たちが知っている童話に出てくる「鬼」そのものなので、『D&D』『PF』に著作権はありません。
事典【巨人族:その他の巨人】
これまで紹介したジャイアント、トロール、サイクロプス、ヘカトンケイル、フォモールに属さない巨人族についてまとめました。
オーガー
オーガ、オーグル。伝承や神話に登場する人型の巨人の種類です。女性はオーグリスまたはオグレスと呼ばれます。
北ヨーロッパでは凶暴で残忍な性格であり、人の生肉を食べるとされます。一方で、引っ込み思案で臆病という面も。知性や賢さといったものはほとんどなく、人間が彼らを倒すことは難しくない。また、自由に怪物やものに姿を変えることができると言われています。住処は大きな宮殿や城、または地下です。
絵画などでは豊かな髪の毛とぼうぼうのあごひげをはやした大きな頭と膨らんだ腹と強靭な肉体を持つ者として描かれています。
児童文学にはオーガーに誘拐されたお姫様を救出する勇敢な騎士の話がたくさんあります。またファンタジーゲームや映画の中にもよく登場するのです。
スカンジナビア半島の国々ではオーガーはトロールと関連づけられています。彼らは山の中に建てられた城の主人であり、莫大な財宝を持っていると考えられています。
元々は人食い怪物のことで明確な名前があったわけではなかったのですが、オーガー(オグル)という名前はシャルル・ペローの小説『長靴をはいた猫』で初めて与えられたのです。
日本では「鬼」と訳されることが多く、『D&D』にはオニという種族も存在しています。
『T&T』のオーガー「フログル」は作品固有の特徴を持っていますので、この形態のオーガーはあなたの「剣と魔法のファンタジー」に使わないでください。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、オーガ(人食い鬼)は強い体とのろまな心の持ち主。略奪と死肉漁りで生活し、食料確保と娯楽のために殺します。
平均的な成体のオーガは身長9〜10フィート(約2.7〜3m)、体重は1,000ポンド(約450kg)近い。
怒りの沸点が低いことで悪名高く、ほんの些細なことで怒りに火がつきます。ひとたび怒りが燃え上がると、叩き潰せる物体や生き物がなくなるまで、手当たり次第にイライラをぶつけ続けるのです。
オーガはなんでも喰らいますが、とくにドワーフとハーフリングとエルフの味を好みます。ちょこまかと逃げ回る「ご馳走」をさんざん追いかけまわしてから生のままで食べるのです。
ピカピカ光る金や銀も大好きで、ひとつまみの硬貨を手に入れるためなら仲間をぶん殴ることも辞さない。頭のいいクリーチャーは金品やオーガに合った大きさの武器を差し出すことでオーガの信頼を買うことができます。
オーガは洞窟や獣のねぐらや木の下で眠りますが、孤立した小屋や農家を見つけると住人を皆殺しにしてそこに住み着くのです。退屈や空腹を覚えるたびに寝ぐらを出て、誰であれ出くわした相手に襲いかかります。そして近くの食物を食べ尽くすまではその土地を離れません。
オーガは可能な限りつねに他のモンスターとつるみ、弱い者をいじめたり餌食にします。ゴブリン族、オーク、トロルとは喜んで手を組むし、巨人族はオーガの崇拝対象です。巨人族の複雑な社会構造(「位付け」)において、オーガの地位は最下級の巨人よりなお低い。そのため、オーガはジャイアントから言いつけられたことならなんでもします。
【ハーフオーガ】
オーガとヒューマン、ホブゴブリン、バグベア、オークのいずれかとの間に生まれる子どもは必ずハーフオーガになります。ドワーフ、ハーフリング、エルフとは子を作りません。それらはオーガの食べ物だからです。
オーガの子を妊娠したヒューマンの女性は出産時に死亡する可能性が高い。オーガとオークの間に生まれたハーフオーガはオグリロンとも呼ばれます。
成体のハーフオーガおよびオグリロンは平均で身長8フィート(約2.4m)、体重450ポンド(約200kg)です。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、オーガ(人食い鬼)の凶暴ぶりや野蛮さ、同族食いや拷問についての身の毛もよだつ話を物語ります。多くの者がオーガの強姦、人体切断、死姦、近親相姦、四肢切断、そしてぞっとするようなありとあらゆる殺害方法についての話が戒めであることを知っているのです。そして、遭遇を生き延びた者たちは、真実と比べたらこれらの物語などたわいもないものだったと知るのです。
オーガは他者の窮状を大いに楽しみます。肉付きのよい両拳で小柄な種族を押し潰したり、血のように真っ赤な暴力衝動で汚したりできぬ場合、オーガは娯楽のためにその発散先をお互いに向け合います。オーガの社会に禁忌はいっさいありません。オーガの部族をオーガ自身に任せようと考えようものなら、部族はたちまち自らをバラバラに引き裂き、最後には最強の者だけが生き残ります。それでもオーガがひとつだけ尊重している事柄を挙げるとすれば、それは家族です。
オーガの部族は家族であり、オーガの奇形性とおぞましい身体的特徴の多くは、近親交配がごく普通に行なわれていることに由来します。部族の長はたいていその部族の父ですが、場合によってはとくに暴力的もしくは支配的な女オーガが部族の主の座を奪うこともあるのです。オーガの部族は同族同士でもささいなことで喧嘩し、この性向のおかげでオーガは暇を持て余すことがなく、近隣の種族以前に互いに敵対し合うこととなっています。それでもオーガたちの間には、いくつもの家族を傘下に収めるほどの格段に暴力的で畏怖される家長が何度も繰り返し現れているのです。
この巨人たちの不潔な暮らしぶりと環境との調和を省みる必要性が希薄な生活観念から、オーガが住みついた地域は荒涼とした不快な場所となります。文明とオーガの縄張りの境界部は、追放者たちや厄介者たちが住む絶望的な地域です――ここには奇形児にして、より小さな人々の地に対する頻繁なオーガの襲来の産物たるオーガキンが住んでいるのです。
オーガの遊戯は乱暴かつ残酷なもので、“娯楽”の犠牲者が初日で死ねたなら、それは幸いだと言えます。オーガの残酷なユーモア感覚は、そのお粗末な頭脳が見せる唯一の創造的な閃きであり、オーガが考え出す拷問道具や拷問方法は悪夢のようにひどいものです。
その剛力と想像力の欠如により、オーガは採鉱、鍛造、地ならしなどの重労働に向いています。もっと強力な巨人(とくにヒル・ジャイアントとストーン・ジャイアント)はしばしばオーガの家族を支配してそうした作業に就かせるのです。
典型的な成年のオーガの身長は10フィート(約3m)、体重はおおよそ650ポンド(300kg)ほど。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、巨大で醜悪かつ凶暴なオーガーは、オークやゴブリン、トロール、そして多くの混血種と親戚関係にある忌まわしい人型種族です。平均的なオーガーが存在するならですが、その背丈は立ち上がれば2メートルほどあります。しかし、この種族はかなり混沌に汚染されているため、背丈の幅は1メートルほど上下します。彼らは直視するにはきわめて醜く、獰猛な顔は不恰好かつ獣のようであり、どこでもよだれとつばを垂らしているのです。オーガーはほとんどの人間より強靭であり、荒削りな棍棒と斧の扱いに熟練しています。
野生のオーガーは、文明から隔絶された洞窟で単独での暮らしを送っています。こうしたオーガーの中でもより原始的な者は動物の毛皮をまとい、狩りをして生きているのです。彼らは遭遇した相手がどんなものであれ、驚くほどの獰猛さで攻撃を仕掛けます。
しかし最近は、多くのオーガーがより文明化――この表現が正しいならであるが――しており、邪悪な魔術師や貴族の軍隊に仕えています。こうしたオーガーは訓練されて戦闘用の武器が与えられ、バトルアックスやウォーハンマー、あるいは弓さえ扱うのです。
最大六体までの部隊と遭遇することもあります。
このように洗練されつつあるにも関わらず、オーガーは未だに粗野で凶暴な気質を持ち、小さな者に苦痛と死を与えることに喜びを見出すのです。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では「フログル」とも呼ばれています。
オーガーは古代の血族で、見た目もおぞましい巨大な人型種族です。ただ惑星トロールワールドのどこにいつ彼らがやってきたのかは、正確には誰も知りません。
あらゆる場所、都市にさえ住んでいますが、だいたいは山や岩がちの土地を好みます。頭は大きな長方形をしているのです。(蔑称の「うすのろ(ブロックヘッド)」の由来ですが、彼らの面前でそれを口にしないように)。口も長方形で、目さえも四角いマスのように見えます。完全に無毛な亜種もいますが、それ以外は分厚い毛皮に覆われており、もつれた毛は往々にしてシラミの寝床になっています。
彼らの故郷である自然の中では、織物風に編んだ縄の服を着ています。外套のような衣装が肩から膝まで、前も後ろも覆っており、突き出した腹部の下を縄で縛っています。
戦いになると、オーガーは棍棒やメイスなどの叩きつける武器を好みます。また長方形の角材は彼らの美的感覚にぴったりです。
オーガーは聡明ではありませんがどんな武器でも防具でも使えますし、冒険に出るためにその四角い岩みたいな頭に詰め込めるかぎり、どんな魔法でも利用するでしょう。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、オーガーは野蛮で人間よりはるかに大きな生き物です。人間の武器も使えますが、ぞんざいな作りの棍棒を好みます。オーガーは例外なく醜く、コブや傷痕がはっきりと顔を飾っています。オーガーには頭がたくさんあるものもいます。しかも、頭に目が2つずつともかぎりません。ふつうは陰気で愚鈍であり、羊肉がなにと交換してもよいほどの好物です。
オーガー(フログル)は怪力、巨体のヒューマノイドです。人間の肉を主食にしており、人間を見つければ、容赦なく襲ってきます。知性はけっして低いわけではありませんが、考えるより先に手が出てしまう性格のために、深く物事を考えるオーガーはあまりいません。そのため、状況判断を誤りがちで、致命的な事態になるまで、なにも気がつかないことも。たとえば弓で狙われていても、矢が自分に命中するまではそれが危険だとは考えないのです。
オーガーはときおり、巨大な棍棒を持って現れます。
【グレート・オーガー】
グレート・オーガーはオーガーの中でも血統の優れた種族です。その怪力はもはや並みの人間とは比べ物になりません。しかし、精神性においては普通のオーガーと変わりなく、人間を襲い、食べることだけが楽しいと思っています。グレート・オーガーもまた、大きな棍棒を担いで現れることがよくあります。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、食人鬼とも呼び習わされるオーガーは、その名のとおり、人肉を特に好む肉食性の狂暴な巨人です。
体色は赤褐色で、顔は(我々の世界の)原始人を連想させます。鋭い犬歯が生えていて、生肉を引き裂いて食べることができるようになっています。
彼らは巨人たちの中ではまだ小さいほうなのですが、その身長はゆうに2メートルを超え、それに伴った強靭な身体をしています。もちろん、腕力も相当なものです。
主に木の太い枝を利用した巨大な棍棒で戦いますが、そんなものを使わずとも、その太い腕だけでじゅうぶんに脅威となります。
彼らは人里に近い森や丘などに普通は単独で、ときに数体の群れを作って住み、好物である人間を襲います。彼らに狙われたら小さな村などではとても太刀打ちできないでしょう。一つの村の住人すべてが家と土地を捨てて、移住しなければならなかったこともあるのです。
TRPG『ロードス島戦記RPG』では、食人鬼とも呼ばれる狂暴な種族で、人間を好んで襲います。
体色は赤褐色、顔は(現実世界の)原始人を連想させます。身長は二メートル数十センチを超え、上半身が大きく骨太で筋肉質なため、人間の数倍以上の体重です。
TRPG『クリスタニアRPG』では、巨人族の下位種で、食人鬼とも呼ばれます。発達した筋肉をしており、体長は2メートルを超えます。耳はやや長く顎は突き出し、牙は獣のように鋭い。頭髪はなく、体毛もないに等しい。棍棒などを武器として使い攻撃してきます。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
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人喰鬼の中でも魔法に目覚めた個体です。赤や青など体色が鮮やかな者も存在し、遠方ではオニと呼ぶ国もあるようです。紅玉の杖を持っています。
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人喰鬼の中でもその実力が認められ、混沌の一軍を任された個体です。これと戦う者は英雄と呼ぶに相応しいでしよう。「武器1つ」を持っています。
オニ
鬼は一般に、日本の妖怪と考えられている伝説上の存在で、民話や郷土信仰によく登場します。
日本語ではたくましい妖怪のイメージから「強い」「悪い」「怖い」「ものすごい」「大きな」といった意味の冠詞として使われる場合もある。
『D&D』『PF』に登場しますが、本来は日本の妖怪ですから、『D&D』『PF』の著作権は及びません。そこまで著作権が及ぶのなら、日本の民話や郷土信仰に対する著作権を『D&D』『PF』が侵害していると主張できるのです。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、オニは大人も子どもも怖がらせる恐ろしい化物で、つねに飢えているためとくに好きな人間の赤ん坊を食べたいと思っています。外見はデーモンめいたオーガで、毛髪は黒っぽく、額から二本の短い象牙質の角が前方に突き出しているのです。暗い色の眼の中で、白い瞳が否応なしに目立ちます。歯も爪も炭のように真っ黒です。
昼間のオニは魔法で正体を隠して人々の信頼を獲得し、闇が訪れると裏切ります。このクリーチャーは体の見た目だけでなく大きさも変えられるため、人型生物に化けて街に入り込んだり、旅人や木こりや開拓民になりすませるのです。オニはそうやって居住地の住民を調べ上げ、そのうち何人かをさらって食べる方法を考えます。
オニは生まれつき魔法を使えるので、オーガ・メイジ(オーガ魔道士)と呼ばれることもあります。
本物のオーガとはかなり血が隔たっていますが、他の邪悪なクリーチャーと手を組むという点ではオニもオーガも同じです。オニを雇うには、高い給料か、ぜいたくで守りの固い住居を提供する必要があります。オニは魔法を欲しがり、有用な魔法アイテムと引き換えに邪悪なウィザードやハグに仕えるのです。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、オーガ・メイジは、すべてのオニと同じく、物質界に来訪して生身の身体――この場合、野卑なオーガ――を得た邪悪な霊魂です。オーガ・メイジがオーガの部族の長を務めているのをしばしば目にしますが、必ずしもすべての者が知性の劣る親族と運命を共にしようとするわけではありません。中には単独で村々を人質にとる略奪者となり、要求した以上のものを奪わない代わりに金や食料や乙女を定期的な貢物として求める者もいます。
TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、
【
鳥人間型の亜人種族
【
弓を得意とする「
【
【
巨人に属する亜人種族
スプリガン
スプリガンはイングランド南西部のコーンウォール地方に伝わる妖精の一種。きわめて醜くずんぐりしたドワーフの姿をしています。
主に
普段は小柄な姿だが、体の大きさを自由に変えることができ、戦うときには巨大化して巨人となることができます。自分の領域に入ってきた人間には危害を与え、またイングランド妖精の常として、盗みなどの悪さもするのです。「
ある逸話によれば、ある男が丘の上の財宝を突き止め、月夜の晩に鋤を持って掘り起こそうとすると、すぐに大嵐が起こり雷に照らされた何百ものスプリガンが岩陰から現れ、近づくにつれ膨らみ巨大化し威嚇したといいます。それに恐れおののいた男は逃げ出し、それ以来二度とそこへは近づこうとしなかったということです。
イングランドの妖精が初出なので、著作権を気にせずあなたの「剣と魔法のファンタジー」にスプリガンを登場させることができます。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、スプリガンは邪悪な巨人族で、生肉を好んで食します。ふだんは山や丘、森などに住んでいますが、ときおり好物である人肉を求めて人里に下りてくることがあります。
人里に入るとき、4〜10歳ぐらいの人間の子供に変身します。この変身は巧妙で、スプリガンの正体を暗示するようなものは何一つなく、「センス・マジック」や「センス・オーラ」で見破ることもできません。スプリガンが変身後にとることのできる姿は個体ごとに定まっています(見かけの年齢も変化させられません)。ですから、スプリガンは特定の子供の姿になることはできません。一度正体を見られてしまうと、二度と同じ相手を騙せないでしょう。
チャンスがあれば(自分を普通の子供と信じ込んでいる人間と、ふたりきりになったときなど)、スプリガンは変身を解き、本来の姿(牙を剥き出し、鉤爪を伸ばした、身長3メートルあまりの醜い巨人)に戻って目標を襲います。変身は瞬間的に行なわれます。目標がスプリガンの正体に気づいていなければ、これは不意討ちとなります。
殺した相手の肉をすぐに貪り食います。空腹でなければ、とくに理由がない限り(自分の正体が疑われているなど)、人を襲うことはありません。
子供の姿のままでもかなりの怪力を使うことができます。ただし、子供の姿のまま、他者を攻撃しようとすれば、攻撃能力はかなり落ちることになります。
また魔法も使えます。
イエティ
イエティはヒマラヤ山脈に住むといわれているUMA(未確認動物)です。全身が毛に覆われ、直立歩行するとされています。イエティには三種類いるとされ、ズーティ、ミィティ、イエティでありこの三種は家族だともいわれています。シェルパの祭りではマハーカーラの使いとして人々に罰を与える眷属とされ、「噂をするとやってくる」と恐れられているのです。
イエティは現地では伝承としてその存在が伝えられていたが、1887年イギリスのウォーデル大佐が足跡を発見したことで世界に知られるようになりました。
その後、実物を目撃したとの報告もあり、各国より何度と無く探査隊が派遣されています。
現地では巨大でヤクを襲うズーティ、2メートルほどの大きさでナキウサギを捕食するミィティなど数種類の呼び名があります。このうちズーティはヒグマを指しているのではないかといわれています。
このように日常で使われる存在なので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にイエティを登場させても著作権には抵触しません。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、イエティ(雪男)の遠吠えは人里離れた山々を越えて響き渡り、少人数で働く鉱夫や牧夫の心臓を恐怖で凍らせます。
見上げるほど大きいこの怪物は絶えず餌を求めて雪の峰を徘徊するのです。雪のように白い毛皮が凍てつく大地を進む姿は幽霊のごとく捕らえがたい。氷のような類人猿の両目が獲物をその場に凍りつかせます。
イエティは単独または小さな家族集団で狩りをするのです。獲物がイエティから逃げ出すか、イエティと戦い始めると、血の臭いを嗅ぎつけた他のイエティたちが近寄ってきます。ですがイエティは縄張り意識が強いため、戦いの獲物を巡って互いに殺しあうのです。勝ち残ったイエティは勝利に浮かれて雄叫びをあげ、獲物と倒れたイエティの両方を食らいます。山に獲物がたくさんいる限り、イエティが人里に近寄ることはありません。ですが餓えたイエティは群れを成して人型種族の居住地を襲い、ふだんは避けていたはずの門や防壁を叩き壊して中の生き物を貪り食らうのです。
【アボミナブル・イエティ】
アボミナブル(忌まわしき)・イエティは普通のイエティよりも大きく、立ち上がれば身の丈はヒューマンの3倍に及ぶのです。この種のイエティは独りで暮らし、独りで狩りをするのが普通ですが、子供が育つまでの間はつがいで暮らすこともあります。この巨体のイエティは縄張り意識が強く凶暴で、血の暖かいクリーチャーを見つけては常に襲いかかって喰らい、雪と氷の上に骨だけを散らかしていくのです。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、謎に包まれ、襲われたものを除けば目撃者も少ないイエティは、ひときわ高くそびえる山の頂の住人であり、見上げるほどに背が高い。峻険な山のふもとで暮らす人々は、高所より来襲しては家畜、そして時に人間をも獲物とし、血痕の残る雪の上に怪物じみた足跡を残してゆく“雪男”の話をささやきます。
イエティの話は、人目を避けつつも獰猛でとてつもなく力強いクリーチャーの描写としては正確なものですが、それをイエティの気性や起源とするのは正しくない。イエティは他種族から途絶した、遥かな高山の頂上に小さな部族で暮らしています。通常、暴力的あるいは残酷な気質を有する者は部族を追われ、追放者として孤独な生を送ります。そうした部族の支援なきイエティが、しばしば低地人の居留地を襲撃せざるをえなくなるのです。肉体を得たデーモンであるというイエティについての作り話が不朽のものとなった原因はここにあります。
かくも残酷なる狂気の原因は、ほとんどの場合ただ一つの理由に遡ることができます――彼らは奇妙かつ奇怪な異次元に近すぎるのです。イエティが棲む高山は、この世界と異世界の境界が薄く削がれている地にそびえています。イエティがこうした次元からの来訪者なのか、それとも異世界の影響を受けた物質界の原住者なのかははっきりしていません。その起源がどうであれ、イエティが彼方の住人に好意を抱いておらず、そういった奇妙な世界からの侵略に対する番兵として振る舞うことすらある、ということは間違いないことのようです。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、北アランシアの人里離れた山がちな荒野では大雪が降り、風が氷の短剣のように吹きつけます。そこでは、猟師たちは焚き火に身を寄せ、恐怖に怯えながらひそひそ声でイエティ(雪男)のことを語り合うのです。民話では、イエティははるか昔、この岩だらけの荒涼とした地の支配者だったと言われています。人間と恐るべき火の到来によって、この獣はより高地の斜辺へと退き、今では人間を獲物にするためにときおり姿を現すだけになっているのです。
後ろ足で立ち上がれば身の丈4mを超えるこの巨大なモンスターは、全身が分厚く白い毛皮で覆われており、その皮は地元の猟師にひじょうに珍重されています。見た目は最も獰猛な猿と最も凶悪な熊の混血のようで、狩りを行なう際は、口からむき出しの鋭い牙と剃刀のような歯、一本一本が人間の手ほどもある鉤爪の生えた前足を使います。しかも、彼らに接触したものは猛烈な冷気をくらうため、イエティの攻撃が命中するごとに追加ダメージを受けるのです。
この巨大なモンスターはあまり利口ではないが、動物の狡猾さは持ち合わせており、匂いだけを頼りに音もなく獲物を追跡できます。何日も無警戒な人間を追い続けて、攻撃のチャンスを狙うのです。狩る者が狩られる者となっては、逃げ切れる可能性はほぼありません。
他の多くの山の生き物とは異なり、冬眠するのは最も厳しい冬の数か月だけです。というのも、イエティは最悪の吹雪にさえ耐えて、無慈悲な狩りを行なうことができるからです。向こう見ずな人間すら家にこもり、餌に適さないトア・スオだけが外をうろつく季節に、イエティは山羊や鹿を狩ります。しかし、そうした獲物さえ見つからないときには山の斜面を下り、孤立した小屋を襲撃するのです。イエティは誰からも恐れられています。自らの命を賭けてこうした恐ろしい肉食獣を狩る相手でさえもです。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、マン=エイプと呼ばれます。この生き物は、言葉を話せず知性もない獣の種族と思われがちです。
たしかに聡明ではありませんが、簡単な道具を使い、原始的な言葉を使いますし、彼らの好む山間の集落で小さな群れを作って暮らしています。原始的な文化を持ち、皮の服を着ています。
分厚い皮膚の色合いは、小麦色から濃い灰色まであります。
ひじょうに高い山に暮らすものは「スノーマン」あるいは「スノーエイプ」として分類され、全員が白い毛皮を生やしています。猿のような分厚い胸とたくましい腕を備えており、見た目はゴリラに似ています(それが名前の由来になっています)。猿同様、四本足で移動しますが、その気になれば二本足で立って走れます。
五本の手指の先端には鉤爪のような頑丈な爪が生えており、木々をえぐれます。
頭部は猿というよりむしろ雄牛に似ているのです。鼻面は四角く、目は黄色く、両目の間隔は開き、短い角を生やしています。
彼らは自分たちのことを「グナルフ」と呼んでいます。よそ者にはサスカッチやイェティと呼ばれることもあります。
中には他の言語を理解できるようになったものもいますが、話すことはできません。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、イェティはラマピテクスかもしれませんし、単に雪の世界に住んでいるゴリラかもしれません。しかし、現実世界で活動しているただひとつのモンスターであり、イェティは素晴らしい幸運を持っています。
イェティ(雪男)は高山などの雪深い地に住む、大きな毛むくじゃらのヒューマノイドです。特別な主の類人猿ともいわれますが、その真偽は明らかではありません。というのも、イェティはめったに人間たちの前に姿は見せず、珍しく姿を見せたときも、相手に気づけばすぐにこそこそ姿を隠そうとするからです。そのため、ほとんど戦いになることはありませんが、もし戦うはめになったらかなりの強敵です。
寒さに極度の耐性があるイェティに対して「氷の嵐」はヒットを与えることはできません。しかし「炎の嵐」は2倍のダメージを与えることができます。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、イェティは雪深い寒冷地でごくまれに見かけられる、身長2メートル半ほどの巨人で、身体は厚い白い毛に覆われています。
生態はあまり明らかになっていません。
積極的に人間を襲うことはないのですが、空腹のときには襲いかかって来るようです――雪深い寒冷地のこと、獲物を得られずに空腹のことがままあるようです。
イェティの生息するような雪の深い場所では、キャラクターは自由に動くことができません。
TRPG『クリスタニアRPG』では、人里離れた雪山に棲んでいる大男。体長は2メートルほどで、白い体毛に覆われています。雪山に棲んでいるだけあって寒さには強く、冷気に対しても強い抵抗力があるのです。もちろん雪に上でも自由に行動できます。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
最後に
今回は「巨人族:その他の巨人」について述べてみました。
人食い鬼オーガー、オニ、スプリガン、雪の巨人イエティは各地の伝承をRPGのモンスターにしたので、著作権はありません。(ただし『T&T』のオーガーは固有の形態をしているので、それだけは用いないでください)。
『D&D』固有のエティンには著作権がありますので、あなたの書いているハイファンタジー小説にエティンを出すのはやめましょう。エティンは『パスファインダーRPG』にも登場しますが、『パスファインダーRPG』は「『AD&D』3.5版の派生版」とも呼ばれていますから、やはり『D&D』固有と見るべきでしょう。
「ライノン」は『T&T』固有の大きな人型種族ですので、こちらもあなたの書いている「剣と魔法のファンタジー」に出すべきではありません。
以上で「巨人族」のまとめを終わります。
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