683.事典篇:巨人族:トロール
今回は「トロール」についてまとめました。
『Tunnels & Trolls』では看板になるほどの存在です。
巨人族ではなく妖精族とする主張もありますが、ここでは身体の大きさから巨人族として扱います。
事典【巨人族:トロール】
今回はトロールについてまとめました。
『T&T』ではタイトルになるほど有名な存在です。
『D&D』『T&T』のトロールには「再生能力がある」設定となっています。腕を切られてもつげられるだけでなく、首を刎ねられてもつなげられるほどの驚異の再生能力です。
『D&D』では再生は切り口を火か酸で焼くことで阻止できます。魔法剣「炎の剣」や付与魔術「火炎付与」があれば、再生の脅威を拭い去れるのです。
ですが『T&T』では「
トロール(トロル)
北欧で悪意に満ちた毛むくじゃらな巨人を指します。北欧神話の霜の巨人ヨトゥン族がモデルで、本来は変身能力を有します。鼻や耳が大きく醜く描かれ、別格のトロールは頭を複数持っています。これも北欧神話の原巨人ユミルから生まれた九つの頭を持つ霜の巨人や三つの頭を持つ霜の巨人がモデルです。そういった面で論じれば、オーディンたちが始まりの巨人ユミルを殺害して天地創造した際に、ユミルの血で溺れた霜の巨人がトロール(トロル)の原型だと思われます。
今日
J.R.R.トールキン氏『ホビットの冒険』では初代冥王モルゴスの被造物とされ、「石のトロール」と呼ばれて通常の武器が通じないほど硬い皮膚を持っています。太陽光を浴びると石化するという特徴は、北欧神話の「ドヴェルグ(ドワーフ)」から来たものでしょう。他にも「山トロール」「洞窟トロール」「雪トロール」などがいます。
「怒りの戦い」においてオーク、竜族、吸血蝙蝠などトロールを含む多くの闇の怪物はそのほとんどが滅ぼされたのです。
巨大な闇の怪物らがほとんど消え去った第二紀、第三紀においては闇の勢力に調教・洗脳された兵器として戦力の中核を担いました。
続編の『指輪物語』には次代冥王サウロンによって生み出された凶暴な上位種「オログ=ハイ」が登場します。
通常のトロールよりも大型で力が強く俊敏なうえ、知能と戦闘能力も向上し、太陽光を浴びても石化しません。巨大な鎚鉾や戦鎚と鎧で武装しており、サウロン配下の中でも近接戦闘では最上位の強さを発揮。洗脳された生物兵器として運用され、前線突破や城壁破壊などに投入されました。アラゴルン率いる旅の仲間らとゴンドール・ローハン連合軍を大いに苦しめたのです。
しかしフロド・バギンズによって「一つの指輪」が破壊され、オログ=ハイの力の源泉だったサウロンとともに滅びました。「ペレンノール野の合戦」には「ハーフ・トロール」や「二つ頭のトロール」などの種族も確認されています。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、食欲旺盛でなんでも喰らいます。社会と呼べるようなものはありません。
オーク、オーガ、ジャイアントなどに傭兵として仕えることがあります。その報酬は食物と財宝。ですがトロルに言うことを聞かせるのは難しく、より強力なクリーチャーと行動をともにしているときですら好き勝手に振る舞いがちです。
トロルは傷口がみるみる再生し、仮に手・足・首を斬り落とされても切断された部位は生きているかのように動き続けることがあります。それどころか切断された部位を切断面に添って合わせるとくっついて元どおりになるのです。この再生能力に対抗するには火や酸で切断面を焼くしかありません。再生できないとわかると攻撃者はトロルの怒りを買って最優先で攻撃されます。あまりに強い再生能力のせいで、切断された首から頭が二つ生えるような異常な再生を行なうこともあるのです。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、トロルは信じられないほど鋭い爪と、いかなる傷も直してしまうほどの再生能力を持ちます。彼らは前かがみで醜く、驚くほど力が強い。両方の爪を使えば、彼らの
トロルは身の丈14フィート(約4.2m)だが、前かがみの姿勢のため低く見えることが多い。体重はおよそ1,000ポンド(約450kg)。
その食欲と再生能力のため、トロルは恐れを知らぬ闘士となります。常にいちばん手近な生きているクリーチャーへ向こう見ずに突撃し、怒りの限り攻撃しようとするのです。火だけがトロルを怯ませられますが、この致命的な脅威さえトロルの前進を止めるにはじゅうぶんではありません。
肉のごく小さな欠片からでさえじゅうぶんな時間があれば完全なサイズのトロルが再生してきます。戦いの後にすべての肉片を集めて焼かなければなりません。幸いなことに再生するのは最も大きな部位のみです。
戦闘に際しての残酷さにもかかわらず、トロルは自分の子供には驚くほど優しく親身に世話をします。女性のトロルは集団をつくり、幼いトロルが自身の縄張りを探すために群れから送り出される前に、長い時間をかけて狩りと身を守る方法を教えるのです。男性のトロルは単独で生活する傾向にあり、女性とは繁殖のために短い時間を共に過ごします。
莫大な量の食事をとらなければ餓死するため、トロルはみな、ほとんどの時間を食物を得るための狩猟に費やすのです。そのため、ほとんどのトロルは広い縄張りを押さえており、同族とのいさかいは当たり前のように起きます。通常、命に関わることはありませんが、トロルはお互いの弱点を知っており、食物が乏しくなれば同族殺しのためにその知識を用いるでしょう。
【スクラグ】
このトロルの従兄弟は真水の中にも塩水の中にも棲んでおり、〈水棲〉の副種別と水陸両生の特殊能力を持ちます。スクラグの基本地上速度は20フィート、水泳速度は40フィートです。スクラグの再生能力は水に触れている場合にのみ働きます。スクラグはあらゆる気候のいかなる水域にも住んでいますが、寒冷な北方の河川や湖で最もよく見られます。陸生の従兄弟に比べて見かけは獣っぽさは多少和らいでいますが、暴力性が少ないわけではありません。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、トロールは大型の醜い人型種族で、オーガー、オーク、ゴブリン、その他の下位交配種と血縁関係にあります。至る場所で見受けられますが、つねに自分たちの大好きな――つまり、ひどく邪悪な――行ないに手を染めていることでしょう。ポート・ブラックサンドの文明化されたトロールの傭兵も月岩山地やその果ての野蛮なトロールも、とにかく拷問や死、それに勝る邪な行ないが好きなのです。居住している地域によってさまざまなトロールの種類がいます。
トロールはかつてはオーク同様、荒野に暮らしていましたが、今ではほとんどが邪悪な軍勢に加わっています。そこにいれば、ちっぽけな人間をおもちゃにするというお気に入りの趣味を楽しめるからです。現在も、荒野のぼろぼろな村に暮らす未開のトロール種族が多少存在しますが、彼らでさえ平均的なヒル・トロールやケイブ・トロールよりは文明化されています(あくまでトロール基準で)。こうした未開のトロールに遭遇した場合、軍隊の訓練を受けていません。
環境がどうあれ、トロールは一般に大柄で太っており、人間より頭ひとつ背が高く、醜い顔と屈強な手足をしています。粗野で気難しく、他の生き物がひどい傷を追うようなおふざけが大好きです。好んで使う武器はバトルアックスとウォーハンマー。
【ケイブ・トロール】
野蛮で愚劣で実に危険なケイブ(洞窟)・トロールは、すべてのトロール族で最も原始的です。他のトロールより細身ですが、柔軟でたくましく、先端に鋭い鉤爪のある長い腕を生やしています。
普通のトロールよりさらに醜く(ありうるとは思えないが)、よだれを垂らす口元から一段と長い歯が牙のように突き出しています。単独行動をする社会性のない生き物で、日中はいつも、暗い洞窟や地下深い通路に潜んでいるのです。完全な肉食で人間の柔らかい肉が大好物ですが、普段はやむなく硬いネズミの肉で我慢しています。お気に入りの武器は棍棒と長いナイフで、両手の鉤爪も同じくらいの威力があるのです。きらきらしたものが好きで、光るアイテムを集めているので、ねぐらは雑多な光り物であふれています。
【シー・トロール】
シー(海)・トロールは深い海から内陸の湖まで、大量の水のある場所に暮らしています。鱗のある緑の肌をし、手足には水かき、首にはエラがある。それを除けば、ケイブ・トロールとほぼ同じです。魚を主食としますが、たまに小舟を転覆させたり、土手からうまそうな人間をさらいます。
地上では数分間しか生きられないものの、鉤爪で獲物をつかみ、首に深々と噛みついて水中に引きずり込めばじゅうぶん。
マーフォーク(人魚)はシー・トロールを憎んでおり、彼らがうっかり縄張りに近づきすぎたら殺そうとするでしょう。シー・トロールはねぐらを水中の洞窟に作り、防衛のために海藻でそれを隠すこともよくあります。洞窟の内部には、骨や宝物も含めて、過去の犠牲者の遺品が山と積まれていることでしょう。
【ヒル・トロール】
ドワーフとヒル(丘)・トロールの間には有史以前から果てしない戦いが続いています。このふたつの種族は互いに憎み合っているのです。
ヒル・トロールは好戦的で、高地を旅する者や、そこに居住する者にとってはつねに脅威となっています。すべてのトロールの中でも最大で、普通は毛皮や革の服を着ており、長い髪には骨や宝石が編み込まれているのです。好んで使う武器は槍とバトルアックス。また、盾と妙なつぎはぎだらけの防具で身を守っています。丘の高いところに部族の村を作って暮らしており、そこから谷へと、ドワーフや人間の居住地を激しい勢いで襲撃するのです。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、「岩トロール」「肉トロール」「ヤング・トロール」が登場します。
【岩トロール】
岩トロールは惑星トロールワールドの先住民であり、ケイ素を主とする体を持つ、元々は自由に変身できる種族でした。ただし変身には数か月から数年かかることもあるそうです。
エルフがトロールワールドにやってきたとき、エルフに魅了されてじょじょに二足歩行の人型種族へと姿を変えていきました。しかしはるかに大型でがっしりしています。肌の色はたいてい青みがかった灰色ですが、赤土色からコバルトブルーまでさまざまです。
トロールは鉱物を好んで食べます。そのためカルシウムでできた骨や鉄分の豊富な血も好むあまり、美味な人間や家畜などの炭素から成るあらゆる生物と対立しています。
すべての種類のトロールは普通では考えられない速度で負傷から回復し、失われた肉体の部位を再生します。
彼らを殺すのはひじょうに難しい。魔法によるか純粋なマグマになるまで融かすかして「
トロールは数世紀かけてゆっくりと成長するにつれ、種族の記憶を取り戻し、最終的には完全に覚醒します。
岩トロールの攻撃は単に物を殴りつけるだけですが、魔法を教える者がいればちょっとした魔法を習得する能力をそなえた個体も中にはいます。
トロールは本人が望めば武器を使えます。巨大な武器が地位の象徴と理解されたならなおさらです。また木の幹や屋根の梁のような、とてつもなく巨大な武器を持ち運ぶ者もいるのです。
成長や成熟に時間はかかりますが、トロールは怠惰な生き物ではなく、激しい気性のおかげで精力に満ちており、ほとんど他の種族と同じくらいの速度で動くことができます。
とくにナーガやドワーフといった他種族が徹底した根絶政策を続けなければ、トロールはいたる場所でもっと多く見かけられたでしょう。
【ヤング・トロール】
ヤング・トロールは地上で最もよく遭遇し、他の種族と一緒にいるところが見られる「若い」トロールです。彼らは好奇心旺盛に新たな経験を積み、白紙状態から自分の個性を確立することで直感を磨いて成長していきます。新たな経験の見返りとして歯ごたえのある鉱物が手に入るならなおさらです。
トロールの成長や成熟はゆっくりですが、猛々しい溶岩の血のおかげで膨大な精力に恵まれています。戦闘におけるトロールはひとたび動き始めると真に恐ろしい戦闘機械となるのです。
こうした若いトロールは、彼らがまったく同じ種類であることを知らない人々から「山トロール」とも呼ばれます。老いたトロールは人里離れた山頂に登って星を眺めたりトロールなりの思索にじっくりふけったりしているとき以外はめったに地表で見られません。
【山トロール】
山トロールはさまざまな種族に混じって見かける他のトロールの亜種よりいくらか古い種族です。おおむね人型をした生きた岩の塊で、深い洞窟に暮らしているところを最もよく見かけます。血液の代わりに酸性の溶岩が流れており、他のトロールと同じく再生能力を備えています。
【肉トロール】
肉トロールと呼ばれる肉と血でできたトロールは、なんらかの手段で岩トロールの「
沼や川のトロールはワニのような性質を備えているように見えます。鱗のある緑色の肌をし、ほとんど知性はなく、ひじょうに凶暴です。
森のトロールは低地のマン=エイプとよく見間違えられます。
肉トロールは肉体を焼かれて灰になったりバラバラに切断されたり、魔法によって消されると再生できません。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、もともとは人間の姿をした岩の精霊のことでした。トロールは人間の二倍の身長があり、それ以上に頑強です。
ほとんどの武器に精通しており、とくにメイス、ウォー・ハンマー、棍棒などを好みます。そのとてつもない筋力の前には文化的な思考などほとんど必要ありませんが、トロールは愚かな生き物ではありません。好物は牛肉と人肉です。直射日光にさらされた場合、トロールは石か純金の像に変わってしまいます。しかし、その像を壊すか溶かすかしてしまわなければ、トロールは真夜中に生命を取り戻します。
【ヤング・トロール】
とがった鼻先と後退した額がトロールの特徴です。ジャイアントたちがごく少数なのに対し、トロールは個体数の多い種族です。オーガーと同じように脳味噌よりも筋肉でものを考えるタイプですが、状況判断においては、オーガーよりも優れています。武器の扱いに熟達していて、棍棒、ウォー・ハンマー、ヘビー・メイスなどを好んで使います。
ふつうのトロールは直射日光を浴びると石像に変わってしまうため、主に洞穴の中などで活動しています。しかし、石像になっても、壊されないかぎり、真夜中に復活します。
【岩石トロール(岩トロール)】
ゴツゴツした岩のような外観の岩石トロールは、トロールの中でも劣等種です。耐久力に欠け、ちょっと怪我をしたり、疲れると簡単にくじけてしまいます。岩石トロールは、ふつうの負傷や疲労に加え、毎ラウンド自動的にMRか体力度を失っていきます。またMRまたは耐久度が半分になった時点で気絶してしまいます。
岩石トロールもまた、武器を使うことがあります。ふつうのトロールよりも体力で劣るため、その武器は若干小さめになります。棍棒。
岩石トロールは日光を浴びても石像になることはありません。
【グレート・トロール】
グレート・トロールはトロールの巨大なもので、体の大きさ、力の強さともにジャイアントに匹敵します。戦いにおいては、巨大な棍棒も用います。トロールと同様、直射日光を浴びると石像と化します。また、ジャイアントに対するのと同様「攻撃をかわしながら必殺の一撃を狙う」戦法で立ち向かえます。
【小トロール】
小トロールはオークに対する灰オークと同様、日光に対する弱点を克服したトロールです。人間と接しすぎたためか、モンスターにしては若干穏やかな性格になり、恐ろしさも減りましたが、すぐに頭に血がのぼるところは変わりなく、また、いったんそうなったら手がつけられません。ふつうのトロールと同様、サイズの大きな棍棒やヘビー・メイスなどの武器を使うこともあります。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ゴツゴツとした岩のような肌と外観を持った巨体で怪力が恐ろしい巨人です。体色は岩肌と同じ色をしていて、うっかりすると巨大な岩と勘違いするかもしれません。トロールの肌は硬さも岩に匹敵します。知能はごく低く、道具はほとんど使わないのです。
洞窟や丘などに住み、森や草原などには現れません。
体長は3メートルあまりですが洞窟の中で暮らしているためか背中をかがめるように歩きます。そして地面に指先が触れるかどうかというほど、長い腕を持っています。
彼らは身体の大きさに見合った腕力を持っていて、攻撃するときは岩のような腕で殴りかかってくるのです。その一撃は人を一瞬で殺しかねない恐るべき破壊力があります。
TRPG『ロードス島戦記RPG』では、洞窟などの暗闇できわめて原始的な生活を送っている、岩のような肌を持つ巨人です。
体長は3mを超しますが、背を丸めているため体高はそこまで高くありません。
TRPG『クリスタニアRPG』では、体長が3メートルにも達する巨人です。知性は低く性格はきわめて狂暴。腕や足が異様に長く、手の先には鋭い爪が生えています。強力な再生能力があり、通常攻撃による攻撃ならラウンドごとに少しずつ回復するのです。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
最後に
今回は「巨人族:トロール」についてまとめました。
岩のように硬い肌を持つ点で共通していますが、『D&D』『T&T』は再生能力あり、『SW』『ロードス島』は再生能力なしです。
また『T&T』はタイトルに使っているくらいなので、トロールの設定にはかなり凝っています。
次回はジャイアントやトロールに含まれない「神話の巨人」についてまとめています。
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