681.事典篇:巨人族
今回からあなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させられるものたちを紹介していきます。
まずは巨人族からです。
事典【巨人族】
世界の神話を見ていると、天地を造った知的生命体「神」は「巨人」であることが多い。
そもそも宇宙は広大であり、地球も大きいのです。
それを作り出した者も、それに見合った大きさを持っていたと考えたのでしょうか。
また「神」は人間を生み出したので、人間が土偶を作るように、「巨人」が人間を作ったという流れかもしれません。
そこで創世神話における「巨人」についてお話致します。
ギリシャ神話
ギリシャ神話では原始の神カオスは「この宇宙そのもの」であり、もはや巨人とすら言えません。
ガイア、タルタロス、エロースも存在や概念そのものなので、巨人ではないですね。
カオスとガイアの子である幽冥・暗黒神エレボス、夜の女神ニュクス、天空神ウラノス、海神ポントスも存在が大きすぎるので巨人と呼べるほどの大きさになりません。
なんとか巨人と言えるようになるのはウラノスの子・十二柱の「ティターン神族」からになります。のちにウラノスを殺して主神の座に即いたクロノスを始めとする「ティターン神族」は、クロノスがのちに自らの子、ハーデスやポセイドンなどを生まれては丸呑みしていくほどの大きさをしていたそうです。これによりクロノスが巨人サイズであることは確実でしょう。
問題はどれくらい大きいのかです。ティターン神族は山よりも大きいとされていますので百メートルは下らないと思います。しかしクロノスの子ゼウスや他のオリュンポス神族は人間との間にも子をもうけていますから、人間とそれほどサイズが変わらないかもしれません。(魔法で巨大化・矮小化できる可能性もあるのですが)。そうなると子どもの頃は四十センチメートルくらいになりますから、それを丸呑みできるとなるとクロノスは最低でも人間の十倍はあったと推定できます。つまり十八メートル以上であり、アニメ『機動戦士ガンダム』の主役モビルスーツであるガンダムと同サイズですね。アニメ『機動戦士Ζガンダム』に出てくる軍隊「ティターンズ」の名称も、モビルスーツの大きさから考え出されたものかもしれません。
「ティタノマキア」でティターン神族とオリュンポス神族との戦いが起こり、最終的にオリュンポス神族が勝利を収めます。ゼウスを始めとするオリュンポス神族は主にクロノスの子たちですが、他のティターン神族の子はゼウスと敵対していることが多いのです。
北欧神話
北欧神話において、世界創造の元となったのは世界樹ユグドラシルの第三層で北に位置するニブルヘイムと、南に位置するムスペルヘイムに挟まれた中央にある谷ギンヌンガ・ガップに誕生した原巨人ユミルと牝牛アウズンブラです。
ユミルが寝ている間にその体から霜の巨人族が次々と生まれ、アウズンブラが舐めた毒氷の滴から神ブーリが生まれました。
霜の巨人族と神族が結婚して子供を生み、二代して主神オーディンを含む三名の神が誕生します。霜の巨人族と神族はギンヌンガ・ガップでともに暮らしていたのです。オーディンたちはユミルを殺してその血でギンヌンガ・ガップに住む霜の巨人族を溺死させました。生き残った霜の巨人族はベルゲルミルとその妻だけです。以後の霜の巨人族はこの二人が始祖となります。
オーディンたちはユミルの死体から大地や海や山などを作り出して、三層からなる九つの世界を作ったとされるのです。うちニブルヘイムとムスペルヘイム、そして霜の巨人族と神族が暮らしていたギンヌンガ・ガップはユミルの肉体を使った天地創造より前から存在していました。その三世界は第三層といういちばん下にある世界となっています。その上の第二層にはオーディンたちによって二本の木から生み出された人間が住むミッドガルド、霜の巨人族などの巨人が住むヨトゥンヘイムは確定です。もうひとつの世界としてユミルの体から湧いたウジのうち暗いものに人型の体を与えられたドヴェルグ(ドワーフ)が住む小人の国ニダヴェリールと、同じ誕生の経緯を持つ黒い妖精スヴァルトアルフ(デックアルフ、ダークエルフ)の国スヴァルトアルフヘイムのどちらかなのですが、ドヴェルグの字義自体がダークエルフを指していますから名前が違うだけで同じ世界なのではないかと思われます。第一層にはユミルを倒したオーディンたちの血族であるアース神族が住むアーサヘイム(国都アスガルド)と、他の血族であるヴァン神族が住むヴァナヘイム、光の妖精エルフが住むアルフヘイムが存在します。
ヴァン神族は神話から存在が消されていきますので、以降はアース神族としてまとめて説明致します。
霜の巨人ヨトゥン族は人間とアース神族を敵視しているのです。しかしアース神族と結婚して子どもをたくさんもうけてもいます。そしてヨトゥン族もアース神族も魔法が使えて、身体の大きさを巨人サイズから人間サイズまで自在に変えられたようです。双方ともアスガルドやヨトゥンヘイムなど普段は巨人サイズで暮らしていたと考えられます。アース神族が人間の住むミッドガルドや、ドヴェルグの住むニダヴェリール(スヴァルトアルフヘイム)に赴く際に人間サイズまで縮まるようです。太陽神フレイと霜の巨人族ゲルズの間の子孫(ユングリング家)は長く人間の国の王として君臨しました。ユングリング家の人たちは人間との間に子孫をもうけたため、巨大化はできないようです。
ケルト神話
ケルト神話の巨人はフォモール族といいます。
山羊や馬や牛などの頭を持った獣面の蛮族として描かれることが多く、インデッハや「邪眼のバロール」といった王に率いられました。太古からアイルランドに棲み着いており、西方から訪れた種族の侵入を再三に渡って阻んだのです。
最初にアイルランドに侵入してきたパーソロン族は彼らと何度か戦闘を重ねましたが、最後はフォモール族によってペストに感染させられ全滅しました。
次に侵略してきたネヴェズ族はフォモール族に敗れ、彼らに隷属を強いられ年貢として牛と子供を納めなければならなくなったのです。
フォモール族を最初に支配したのはフィル・ボルグ族で、彼らはフォモール族とは平和的に共存していました。
最後の侵略者である
フォモール族は女神ダヌを母神とするダーナ神族と二度にわたり全面戦争します。ダーナ神族はヌアザ王の下で最初の「マグ・トゥレドの戦い」を行ないます。その結果ヌアザ王と妃ヴァハがフォモール族の王「邪眼のバロール」に殺され、ダーナ神族はフォモール族の圧制に苦しめられたのです。
後日ダーナ神族はルーを旗頭に二度目の「マグ・トゥレドの戦い」を決行し、ルーは祖父にあたる「邪眼のバロール」を投石器で攻撃し、魔眼を射抜いて殺します。その際魔眼が後ろにいたフォモール族の兵士を凝視したため、巨人族は壊滅してしまったのです。
これによりダーナ神族はアイルランドの王権を回復し、ほとんどのフォモール族を討ち倒しました。
以後ケルト神話の中で巨人族が登場することはなくなります。妖精になったとする説が一般的です。
最後に
今回は「事典【巨人族】」についてまとめました。
希少な巨人は神や竜と戦ったこともある原始の種族です。
次回は巨人族の中で、とくに「ジャイアント」と呼ばれている種族を取り上げます。
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