677.事典篇:アーサー王伝説:ペリノア王の血族
今回は『アーサー王伝説』に登場するペリノア王の血族についてまとめました。
「円卓の騎士」の中で「王」の称号を持つのはこのペリノア王ただ一人。
それは武勇においてアーサー王にひけをとらないほどの名声を得ていたからです。
事典【アーサー王伝説:ペリノア王の血族】
今回はペリノア王の血族についてまとめました。
とくに名が知られているのは当のペリノア王と、その息子ラモラック卿、パーシヴァル卿ではないでしょうか。
パーシヴァル卿は聖杯探求の旅にガラハッド卿、ボールス卿と赴き、この三名がついに聖杯を発見するのです。
ペリノア王の血族
ペリノア王
女好きとして知られており、息子にトー卿、アグロヴァル卿、ラモラック卿、パーシヴァル卿らがいるがいずれも異母。
円卓の騎士のひとりではあるが「王」であるためアーサー王と同格です。アーサー王と戦い、カリバーンを折った人物で、ひじょうに武勇にすぐれていたとされます。
泉にテントを張り、通りかかる騎士に決闘を挑んでは死傷させていた剛の者です。
アーサー王は円卓の騎士からグリフレット卿を派遣するも敗北し、重傷を負わされます。ついに若きアーサー王自身が馬上戦を挑むものの、老練なペリノア王が勝利するのです。
敗北を認めきれないアーサー王は王者の剣カリバーン(一本目にアーサーが持っていた剣)を抜きますが、再び仕掛けた瞬間に砕けてしまいます。アーサー王がペリノア王の武勇を褒め称えず、剣を我欲のために使おうとしたためです。
意気消沈したアーサー王は二度目の敗北に追い込まれます。しかしこの直後現れたマーリンの魔法によってペリノア王は戦闘不能に追い込まれたのです(アーサー王の素性を明かし、たしなめたとも)。
だがペリノア王が騎士として卓越した武勇を持っていることから命はとられなかったとされます。
のちに起こるアーサー王とロット王との戦争ではアーサー王側に参加し、見事ロット王を討ち取る功績を挙げるのです。しかしこれによってロット王の息子ガウェイン卿らの恨みを買い、後にペリノア王はガウェイン卿に暗殺されてしまいます。
トー卿
ペリノア王の庶子で、異母弟にラモラック卿、アグロヴァル卿、パーシヴァル卿ら。
もともと騎士ではなく牛飼いの息子として育てられました。ですが父親の牛飼いに似ず、高貴な顔立ちと立派な体格をしており、兄弟の中で最もすぐれた素質を持っていたのです。
そこで騎士になりたいという息子の希望を叶えるため、アーサー王の宮廷へ連れられてきます。そして魔術師マーリンによって真の父がペリノア王であることを知るのです。
騎士になった直後、白い鹿を追い求める冒険に出かけ、見事これに成功しています。
最終的には火刑に処せられる王妃グィネヴィアの救出に来たランスロット卿らによって殺害されます。
アグロヴァル卿
ペリノア王の息子であり、兄弟はラモラック卿、パーシヴァル卿。
まだ幼いパーシヴァルを騎士にすべく、キャメロットに参内する。これ以降さしたる活躍はありません。
最終的には火刑に処せられる王妃グィネヴィアの救出に来たランスロット卿らによって殺害されます。
ラモラック卿
オークニーのロット王を殺したペリノア王の息子で、兄弟にトー卿、アグロヴァル卿、パーシヴァル卿ら。
ひじょうに武勇にすぐれた人物で、実力では第一の騎士ランスロット卿、第二の騎士トリスタンに次ぐ第三の騎士とされます。
槍試合の際、すでに何十人もと戦って疲労していたラモラック卿と戦うのは騎士道に反すると考えたトリスタン卿が対戦を拒否しました。ラモラック卿は自分への侮辱と考えたためトリスタン卿の愛するイゾルデ王妃の不貞を暴くために動き、トリスタン卿の怒りに触れるのです。しかしトリスタン卿と戦ううちに互いの武芸に感心し、以後は友人となります。
モルゴースと関係を持ったことで、その子であるガヘリス卿たちが不快に感じ、モルゴースと同衾している現場を押さえられてガヘリス卿はモルゴースを殺害するのです。
武器を持たなかったラモラック卿を殺すのは騎士道に反するということで殺されずに済みましたが、ガウェイン卿らとの対立は深刻化しキャメロットを去ったとされます。
サールースで行なわれた槍試合でパロミデス卿が活躍し、彼に敵う騎士がいないことをアーサー王が嘆いていると聞き、殺されることを覚悟の上で王のために馳せ参じたのです。そしてパロミデス卿を倒して大会に優勝したラモラック卿は、ガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガヘリス卿、モルドレッド卿の四人に襲撃され、三時間の戦いの末ガウェイン卿の一撃を背中に受けて殺されてしまいます。
パーシヴァル卿
ペリノア王の息子。聖杯の騎士のひとり。パルジファル、パルツィファルとも。トー卿、アグロヴァル卿、ラモラック卿、ダーナー卿という兄弟がいます。息子は白鳥の騎士ローエングリン。
パーシヴァルの姉ディンドランは聖杯を運搬する役を引き受けています。
母のもとで十五歳まで騎士と無縁で育ちますが、父の死後母によってウェールズの森へ連れられてそこで騎士たちと出会います。
彼は騎士に憧れてアーサー王のもとへ向かいます。そして自らを素晴らしい騎士であると証明でき、騎士爵が授けられると「円卓の騎士」の会合に誘われて参加し「円卓の騎士」の一員となりました。
その後聖杯探求の任務に就き、一度失敗するも最後にはガラハッド卿とともに聖杯探求を成功させた三人の騎士のひとりとなります。
ローエングリン
ローエングリンはパーシヴァル卿の息子で「白鳥の騎士」の異名を持ちます。
聖杯を守る騎士のうちの一人で、白鳥に似た姿の天使の引く船に乗ってブラバント公爵領へ赴くのです。
そこにはフレデリック・デ・テルラムントから強引に結婚を迫られて困っていたブラバント公爵の娘エルサがいました。ローエングリンはテルラムントと一騎討ちを行なって勝利し、エルサを救って結婚するのです。その際自分の名前を問わないことをエルサに誓わせます。
しかしエルサはその誓約を破ってしまい、二児の父となっていたローエングリンはエルサのもとを去りました。
その後リザボリエの皇女ベライエと結婚します。ですが娘が魔法で籠絡されたと勘違いしたベライエの両親が派遣した軍隊によって殺されてしまいます。
ベライエは悲嘆に暮れて亡くなり、誤解に気づいた両親はローエングリンを讃えるために国の名前をロトリンゲン(ローライネとも)と改めたのです。
最後に
今回は「アーサー王伝説:ペリノア王の血族」についてまとめました。
女好きのペリノア王の子どもたちはいずれも母親が異なるというありさまで、高潔な性格ではありません。
聖杯探求においてもパーシヴァル卿は聖杯を手にできず死んでしまいます。
聖杯を授かれるのは高潔な人物でなければならなかったのです。
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