675.事典篇:アーサー王伝説:アーサーの縁者
今回は『アーサー王伝説』に登場するアーサー王と関係のある人物についてまとめました。
義兄や侍従、そして実子や血縁などで構成しました。
アーサー王が見出されることになった「これが抜けたら王と認められる剣カリバーン」を持ってこさせることになった義兄ケイ卿も、円卓の騎士の一員となっているのです。
事典【アーサー王伝説:アーサーの縁者】
アーサー王は十三席を設けた円卓を作らせ、アーサー王とともに円卓を囲んだ騎士たちを総じて「円卓の騎士」と呼びました。
イエス・キリストと十二人の使徒を模して十三席とされたのです。アーサー王が一席を占めるため、騎士は十一人となります。十三席目は裏切り者の「ユダ」の席であるため空席となっていました。しかしランスロット卿の息子ガラハッドが禁を破って初の十二番目の騎士となったのです。そのガラハッドは聖杯探求において聖杯を発見しこれを奉じて天に召されます。
卓を囲むのは十二人とされていますが前述のとおり一席はアーサー王自らが座りますので残りは十一人です。
しかし円卓の騎士は十一人以上いますので、死亡して欠員が出たときにそれを埋めていたのではないかと考えられます。
アーサー王の血縁や従者
ケイ卿
エクトル卿の子でアーサー王の義理の兄(乳兄弟)にあたる忠臣。カイ、カイウス、カ、クーとも。
ある日、馬上槍試合でケイ卿が剣を折ってしまい、代わりの剣をアーサーに取りに行かせます。アーサーは家で剣を探すも見つからず、代わりに大聖堂の石に刺さっていた剣カリバーンを抜いて持ってきたのです。これによりアーサーはユーサー・ペンドラゴンの息子であると証明され、新王の資格を有することを知ります。
アーサー王即位後、ケイ卿は司厨長に任命されました。その後アーサー王にベディヴィア卿と伴われてモン・サン・ミッシェルの巨人を討伐するなど活躍したのです。「カムランの戦い」で死んだとされます。
ユーウェイン卿
ウリエンス王とモーガン・ル・フェイの子で、アーサー王の甥でガウェインらの従兄弟。
ある決闘で騎士を殺してしまいます。ユーウェイン卿はその騎士の妻ロディーヌに恋してしまうのです。しかし彼女からすれば夫の仇であり、受け入れられるものではありません。そこで彼女の妹リュネットによる巧妙な説得で、ユーウェイン卿はロディーヌと結婚します。
しばらくは安楽な結婚生活をしていたが、従兄弟のガウェイン卿の説得により、再び冒険の旅に出発します。このとき「必ず一年以内に帰る」と約束するが、これを守れなかったのです。
激怒したロディーヌはユーウェイン卿を拒否するので、悲嘆に暮れてあてのない旅に出ることになります。
旅の途中、大蛇(龍とも)と戦っている獅子を発見し、ユーウェイン卿は獅子に加勢するのです。これに恩義を感じた獅子は彼と行動をともにするようになります。以降彼は「獅子の騎士」「獅子を連れた騎士」と呼ばれるようになるのです。こののちしばらく各地を旅したユーウェイン卿は、再びリュネットの口添えによりロディーヌの怒りを解いてもらい、妻とともに生活していくことになります。
モルドレッド卿
アーサー王とモルゴースの子。ガウェイン、ガヘリス、ガレス、アグラヴェインの異父弟。王位の簒奪を企んでアーサーと戦う。モードレッド、モウドリッドとも。
アーサー王はあるときロット王の使者としてガウェインら四人の息子とやってきた(スパイの役割を持っていた)モルゴースを気に入り、異父姉とは知らずに一夜を過ごしてしまうのです。その後アーサーの悪夢にグリフィンや蛇が現れて王国を焼き払い、アーサーもこれらの怪物と戦って退治するが致命傷を負ってしまいます。マーリンはモルドレッドのことを暗示し、その子がアーサーとブリタニア王国を滅ぼすだろうと予言するのです。モルドレッドを恐怖に感じたアーサーによって、五月一日生まれとしてその他大勢とともに海へ流されました。その後奇跡的に岸へ打ち上げられ、とある男に見つけられて十四歳まで育てられてアーサー王の宮廷に入ったのです。
その後ロット王は妻がアーサーと密通していたことを知って反抗勢力を作ってネロ王と合流してアーサー王を討とうとするもマーリンの奸計で合流に失敗し、最終的に円卓の騎士ペリノア王によって殺害されています。
のちにアーサー王の配下となったモルドレッド卿はランスロット卿とともに行動したり、ペリノア王ロットの一族との争いで親族にあたるオークニー側についてペリノア王の息子で母モルゴースと不義の密通を重ねているラモラック卿を殺したりしました。
モルドレッド卿はアグラヴェイン卿と企んでアーサー王とランスロット卿を敵対させようとしたのです。彼らは王妃グィネヴィアとランスロット卿の密通をアーサー王にバラそうと現場を取り押さえましたが、瞬時にランスロットひとりによってモルドレッド卿以外の十二人の騎士が殺され、モルドレッド卿も重傷を負って逃げ出しました。これによりアーサー王は、最も信頼し親友でもあったランスロット卿を敵に回さなければならなくなったのです。
その後アーサー王はランスロット卿と戦うためにフランスへ出兵し、モルドレッド卿をイングランドの統治者に任命して国を委ねました。しかしモルドレッド卿は邪心を抱いて謀反を起こします。
そうして「アーサー王伝説」のクライマックスである「カムランの戦い」が始まるのです。
コンスタンティン卿
コーンウォールのカドー卿の息子。
アーサー王がローマ皇帝ルキウス・ティベリウスとの戦いに出征する際、年老いた高潔な騎士ボードウィン卿、カドーの息子コンスタンティン卿、王妃グィネヴィアの三人に留守を預け、カドーを除けばコンスタンティンが最も近い血縁であることを理由に、自分が遠征で戦死した場合の正式な後継者はコンスタンティンにすると言いました。
アーサー王は「カムランの戦い」でカドーを含む大量の側近を失い、裏切り者のモルドレッドと相討ちになります。王は傷を癒やすためアヴァロン島へ護送される途中、カドーの息子コンスタンティンに王冠を譲り渡します。出家したランスロット卿が衰弱死した頃に新たなブリテン(イングランド)王に即位するとモルドレッド卿の残存勢力であるサクソン人を駆逐、次いでモルドレッド卿の二人の息子がそれぞれウィンチェスターとロンドンの教会に逃げ込んだため、彼らふたりを教会の祭壇の前で殺します。これが神の怒りに触れ、コンスタンティン王はそのわずか三年後に甥のコナン(アウレリウス・コナン)によって殺害され王座を簒奪されます。遺骸はストーンヘンジにあるユーサー・ペンドラゴンの側に葬られたのです。
ルーカン卿
アーサー王付きの献酌侍臣(ワイン係)。ベディヴィア卿の兄で、コウネウス公の息子とされます。「カムランの戦い」で腹を負傷し、負傷したアーサー王を抱えて寺院から移動しようと持ち上げた際に傷が破れて内臓が飛び出し死亡したのです。
ベディヴィア卿
アーサー王の執事。兄にルーカン卿、いとこにグリフレット卿がいます。「カムランの戦い」を生き残った数少ない騎士のひとりで、アーサーの死後エクスカリバーを湖に投げ入れて湖の貴婦人に還し、修道院に入って隠者として余生を送ったそうです。
グウィンスグ王国の王グウィンスィウがブリケイニオグ王国の王女聖グラディスを誘拐した事件をアーサー王やケイ卿とともに解決しています。
キルッフの冒険に同伴した騎士のひとり。彼の槍一突きは他の者の九突きに匹敵し、「隻腕で他の三騎士より早く敵に血を流させた」そうです。
グリフレット卿
ドーあるいはドンの子でルーカン卿とベディヴィア卿のいとことされます。アーサーの若い頃からの友人で従者として登場。騎士叙任されたのち円卓の騎士に加わります。アーサー王の生涯の助言者であり、「カムランの戦い」を生き延びた数少ない騎士のひとり。
『アーサー王の死』ではグィネヴィア王妃処刑の際救出に来たランスロット卿によって殺される騎士のひとりとなっています。
最後に
今回は「アーサー王伝説:アーサーの縁者」についてまとめました。
円卓の騎士の中でも、アーサー王の親族や近衛や侍従といった縁者は特別な配慮がされていました。とくに危険な任務に就くこともなかったようです。
実子モルドレッド卿による「カムランの戦い」がアーサー王の破滅を招きました。
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