666.事典篇:北欧神話:神と接点を持つ人間

「北欧神話」には神と接点を持った人間が幾人か登場します。

 とくに戦神トールと関係を持っている人間が多いのです。





事典【北欧神話:神と接点を持つ人間】


 今回は神族と接点を持つ人間についてまとめてみました。

 なかなか人間の出てこない神話なのですが、出てくる人間はかなり重要人物であることが多いのです。




人間

スキールニル

 豊穣神フレイの召使いであり、フレイとは幼馴染みです。

 スキールニルはフレイが巨人ギュミルの娘ゲルズへ求婚するための使者としてヨトゥンヘイムに出向くことになりました。そのとき、危険な旅を成功させるためにフレイの剣と馬を貰い受け、ゲルズにフレイからの求婚を告げます。

 そのときゲルズから「あなたは妖精か、アース神族か、賢いヴァン神族の子か」と訪ねられますが、そのいずれも否定していますので、おそらく人間でしょう。

 求婚が成功した褒美として、フレイから正式に剣を与えられます。そのためフレイは「ラグナロク」の際に剣が無く、鹿の角で炎の巨人ムスペル族の長スルトと不利な戦いをすることとなります。

 また、オーディンに命じられてスヴァルトアルフヘイムに出向き、巨狼のフェンリルを拘束するための魔法の紐グレイプニルを小人に製作させ、それをアスガルドへ持ち帰っています。



オッタル

 愛の女神フレイヤのたくさんの愛人の中で最も気に入られているとされている人間の男性。父はインステイン、母はフレーディース。

 オッタルがアンガンチュールという人物と先祖名の暗唱比べをすることとなり、黄金を賭けたこともあってフレイヤが助力します。フレイヤはオッタルを猪に変えると、ともにヒュンドラのいる岩穴に行き、彼女にオッタルの家系を語らせたのです。しかしヒュンドラは機嫌を損ね、「記憶の麦酒」をオッタルに渡そうとしません。そこでフレイヤが脅迫めいた言葉を口にすると、呪いをかけようとします。フレイヤはオッタルのために神々の加護を願いました。(ヒュンドラの呪いがオッタルへかからないようにしたのです)。



シャールヴィ

 アスガルドの人間の住人。男性。

 シャールヴィの実家は農家で、トールとロキがヨトゥンヘイムにあるウートガルズへ遠征した際に彼の家へ立ち寄りました。そのときにトールのヤギであるタングリスニとタングニョーストの肉を食べる機会を得たのです。

 このヤギは皮と骨が完全な形で残っていれば、いくらでも肉を再生して蘇ることができる能力を有していました。

 食事の際、ヤギの骨を損傷しないようにトールから固く指示されていたにもかかわらず、シャールヴィは髄が好物だったため、骨を割って髄を食べてしまいます。

 トールが祝福を与えてヤギを復活させ、ウートガルザへ赴こうしますが、肝心のヤギの脚に障害が出ていました。それがトールの激昂を招きますが、父母ともども謝罪する姿を見て彼は怒りを解き、シャールヴィが妹レスクヴァとともにトールの従者としてウートガルズへ赴くことで許したのです。

 これ以後、二人はずっとトールに付き従うこととなりました。

 俊足であるがウートガルザ・ロキによってフギ(ウートガルザ・ロキの思考)と競争することとなり完敗を喫します。

 またトールがフレーセイ島でベルセルクを倒した折には、鉄棒を振り回して反撃してくる彼女たちに追い払われてしまいました。

 しかしトールとシャールヴィが巨人ゲイルロズの館へ赴く途中、困難を乗り越えて海を渡った勇敢さも語られています。また巨人に囲まれても兄妹の二人が敏速に逃れる様が描写されるのです。

 さらにトールがフルングニルと決闘した際には、フルングニルに駆け寄って「地中からトールが攻めてくるから楯を伏せたほうがいい」などと嘘を言い、まんまと彼を無防備にしてしまうのです。また霜の巨人たちが応援のため差し向けた巨大な土人形モックルカーヴィを破壊するなどの目覚ましい活躍ぶりを見せます。


レスクヴァ

 アスガルドの人間の住人。女性。雷神トールの召使い、シャールヴィの妹。

 トールがレスクヴァの家族の元を訪れたとき、彼女の兄シャールヴィが、トールが屠殺したヤギのタングリスニとタングニョーストの骨のひとつを傷めてしまいます。このヤギはトールの祝福によって生き返る力を持っていたのです。しかしヤギを生き返らせたときヤギは普通に歩くことができません。この償いのために、レスクヴァと兄は召使いとしてトールに仕えなければならなくなったのです。

 その後レスクヴァは兄とともにトールとロキに従ってウートガルズの王で霜の巨人のウートガルザ・ロキの館へ旅することになりました。

 兄と異なり彼女の物語はほとんど語られていません。



巫女グローア

 アウルヴァンディルの妻。英雄スヴィブダグルは不思議な降霊術をかけてもらおうと、魔女であった亡き母グローアを呼び出せました。

 神秘の魔力を使ってトールの傷を治癒する話が有名です。魔法の聖歌を詠ってトールの頭部で永久に埋め込まれた砥石の欠片を取り除いてもらおうとする経過が伝えられています。





最後に

 今回は「北欧神話:神々と接点を持つ人間」についてまとめてみました。

 北欧神話は人間があまり登場しません。

 そんな中でも神々や巨人族と接点を持つ人間も幾人かはいました。



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