662.事典篇:北欧神話:巨人族:神々の父母と王族
今回は「巨人族」のうち神の父母となった者と、巨人の王族についてまとめました。
とくに「ウートガルザ・ロキ」を「ロキ」と間違える可能性がありますので、区別できるようになりましょう。
スカジはお気づきかもしれませんが「スカンジナビア半島」に名を残しています。
事典【北欧神話:巨人族:神々の父母と王族】
今回は「神々の父母と王族」についてまとめてみました。
巨人族は主にヨトゥンヘイムに住んでいますが、アース神族と結婚することでアーサヘイムで暮らす者もいます。
神々の父母
ナルヴィ
夜の女神ノートの父である巨人で、ヨトゥンヘイムに住んでいます。
グリーズ
女巨人。オーディンとの間にヴィーザルをもうけます。
ゲイルロズに脅迫されたロキは、トールがミョルニル、メギンギョルズ、ヤールングレイプルを持たずにゲイルロズの所へ行くように仕向けたのです。トールとロキは途中でグリーズの家に泊まります。ミョルニルなどを持たなかったトールに、自分の所有する不思議な道具を貸しました。それはグリダヴォル(棍棒)、ヤールングレイプル(一対の鉄の手袋)、メギンギョルズ(力帯)でした。これらによってトールはゲイルロズと一族を倒したのです。
ヤールンサクサ
巨人の女性。トールとの間に息子マグニをもうけたとされます。
巨人フルングニルとの戦いが終わり、巨人の脚の下敷きになったトールにマグニが駆け寄る場面で、マグニが「トールとヤールンサクサの子」と紹介されているのです。しかしマグニの兄弟モージの母だとは明示されていません。
巨人の王
ウートガルザ・ロキ
巨人の王。幻を操る術や奸智に長けた策を得意とします。
雷神トールがウートガルザ・ロキの支配するヨトゥンヘイムの都市ウートガルズを訪れます。そこでウートガルザ・ロキはまず変装して特別に大きい巨人スクリュミルと思わせて、トールが腹を立てるように仕向けるのです。遠方の山を自分の頭だとトールに見誤らせてミョルニルで殴打させるなど幻術でたぶらかしました。
トールがロキ、従者のシャールヴィ、レスクヴァを連れて自分の城に訪ねてくると、早速技比べを申し出たのです。そしてロキと大食い比べをするロギ(野火)、シャールヴィと駆けっこをするフギ(ロキの考え)、トールが大酒飲みをする海につながった角杯、トールが持ち上げようとした灰色の猫に変身させたヨルムンガンド、トールと相撲をとるウートガルザ・ロキの乳母エリ(老年)を用いてトール一行を散々に打ち負かしました。
スリュム
霜の巨人の王。山のような宝石、うず高く積まれた金と銀を持っています。また牛小屋には黄金の角を持つ牛と、真っ黒な牝牛を飼っているのです。彼はフレイヤを除くすべてのものを持っていると感じています。
そこでまずトールのミョルニルを盗み出したのです。あてをつけて訪ねてきたロキに、交換条件としてフレイヤを妻とすることを要求します。悩んだ神々はヘイムダルの案でトールを女装させ送り込んだのです。そしてロキはその侍女に化けてスリュムをうまくごまかし、すっかりそれに騙されたスリュムは、女装したトールの膝にミョルニルを置いてしまいました。そうなった以上スリュムに抵抗する術はなく、結局はトールに殴り殺されてしまったのです。
またスリュムには姉がいましたが、トールらに持参金を求めた彼女も当然同じ運命をたどりました。
アルヴァルディ
息子がスィアチ、イジ、ガング。スィアチの娘スカジの祖父。
たいへんな資産家で莫大な黄金を持っていたのです。
彼が死んだ後に三人の息子が遺産を分けました。息子たちは秤使う代わりに、自分たちの口に同じ回数ずつ黄金を詰めたとされているのです。
スィアチ
父はアルヴァルディ。兄弟にイジ、ガング。娘はスカジ。
アース神族の女神の一柱イズンを、神々に永遠の若さをもたらす林檎もろとも略奪します。
旅行中のオーディン、ヘーニル、ロキが、昼食をとるため牛を捕らえて蒸し焼きにしようとしたが、なぜか肉が焼けなかったのです。近くの木に大きな鷲が留まっており、これが魔法をかけていたためでした。そこで肉を分けるから魔法を解くように言うと、鷲は承諾してたちまち肉が焼けました。しかしその肉の中で最も良い部分を鷲がすかさず奪い取ってしまったのです。ロキが木の棒を振り回し、鷲に当たったところ、木の棒は鷲の体にくっついてしまい、手から棒が離れなくなったロキは鷲とともに上空へ持ち上げられてしまいます。鷲はロキの体が木々に叩きつけられる高さで飛行し、ロキに「助けてほしければ、イズンに林檎を持ってこさせろ」と言い、ロキはやむをえず承諾します。この鷲は巨人スィアチの変身した姿だったのです。
ロキは「永遠の若さをもたらす林檎によく似た林檎を見つけた。あなたの林檎と見比べてみないか」などと言って、林檎を持たせたイズンをアスガルドの外へ連れ出します。鷲に変身したスィアチが素早く彼女をさらってしまいました。林檎を食べられなくなった神々はたちまち老い始めたのです。
調査の結果ロキの関与が判明し、イズンの奪還を命じられました。ロキはフレイヤの持つ「鷹の羽衣」(女神フリッグも持っています)をまとって鷹に変身して、スィアチの館スリュムヘイムへ潜入したのです。イズンを見つけると素早く呪文を唱え、彼女を一個の木の実に変えて、足に握って持ち去りました。すぐにスィアチが羽衣をまとって鷲に変身し、追いかけてきたのです。アスガルドへ向かってくる二羽の鳥を見つけた神々は事態を把握し、アスガルドの外に大量のカンナ屑を置きます。そしてロキの鷹がアスガルドの砦の内側に下りるとカンナ屑に火を着けたのです。スィアチの鷲はロキを見失ったものの止まることができず、羽衣に火が移り落下しました。神々はアスガルドの門の内側でスィアチを殺害したのです。
スィアチにはスカジという娘がおり、父の死の復讐のためにアスガルドに乗り込んできましたが、神々は彼女と和解すべく、アース神族の男神との結婚を持ちかけます。
スカジ
巨人スィアチの娘でアルヴァルディの孫。ニョルズの妻。フレイとフレイヤの母とされる。
ロキを追ってアスガルドに侵入してしまった父スィアチが神々に殺されると、スカジは仇を討つべくアスガルドに乗り込みました。
アース神族は彼女に和解を持ちかけ、アース神族との結婚を勧めたのです。スカジは神々の中で一番の美男子バルドルを選びたかったのですが、神々が出した条件によって布をかぶった男神たちの足だけを見て判断せねばならなくなりました。結果当てが外れニョルズと結婚させられる羽目となったのです。ニョルズはいつも足を波で洗われていたため、バルドルよりも綺麗な足をしていました。
スカジは和解の条件として「自分を笑わせてみよ」とも求めていたのです。スカジを笑わせるために、ロキが自身の陰嚢と牝山羊の髭とを紐でつないで綱引きをするという余興を行なうことで怒りをなだめました。
さらにオーディンはスィアチの両眼を天へ投げ上げ、二つの星にし、彼女はこれを喜んだといいます。
その後スカジとニョルズは同居を始めましたが、本来彼女は山の守り神としての色が強く、海の守り神として崇められるニョルズとの結婚がうまくいくはずもありませんでした。当初はそれぞれの統治する山と海辺とを交互に往復していました。しかし彼女にとって海辺の家はカモメの鳴き声が不快でならず、またニョルズにとっても夜に聞こえる狼の遠吠えは苦痛だったそうです。自然と両者は別れ、スカジは山にある父の残したスリュムヘイムで暮らすようになったといいます。
スカジはニョルズと別れたあとひとりで暮らしていましたが、自分と同じように弓とスキーを得意とするウルと出会い、スリュムヘイムで一緒に暮らしたともいわれています。
最後に
今回は「北欧神話:巨人族:神々の父母と王族」についてまとめてみました。
ニョルズと結婚してフレイ、フレイヤをもうけたスカジもですが、その父スィアチや、霜の巨人の王スリュムなど、注目を浴びる巨人が多いのです。
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