活動篇〜小説投稿サイトの世界へようこそ

619.活動篇:ユーザーネームの付け方

 今回から「活動篇」をスタートさせます。

 初めは「ユーザーネーム」についてです。「ペンネーム」「ハンドルネーム」とも言いますね。

「ユーザーネーム」は一度つけると後でなかなか変えられないので、よく考えてつけましょう。





ユーザーネームの付け方


 小説投稿サイトで活動しようと思ったら、まず考えなければならないのが「ユーザーネーム」です。「ペンネーム」「ハンドルネーム」とも呼びます。

 あとで「しくじった」と思わないために、「しっかり考えて」決めたいものですね。




失敗しやすい名前

「ユーザーネーム」で失敗しやすい名前というのがあります。


 たとえば、あまりにも複雑な漢字を用いること。

「夜露死苦髑髏」なんて「ユーザーネーム」にしたら「こいつバカか」と思われかねません。

「魅那殺死」と書いて「みなごろし」と読ませるのも「アホや」と思われるでしょう。

 一般良識のある方ならこんなヒドイ名前はまず付けません。


 特殊な読み方をする名前というものもあります。

 たとえば『ゴブリンスレイヤー』の作者「蝸牛くも」氏は「かたつむりくも」ではなく「カギュウくも」と読みます。

 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の「渡航」氏は「トコウ」ではなく「わたりわたる」と読むのです。

 一般的な読み方からあえて特殊な読み方にすることで、人々の記憶に残りやすくなります。とくに「渡航」は国語の漢字テストで間違えて「わたりわたる」と読みを書いてしまいそうなほどです。

「渡航」氏の場合は後述する問題もあるので注意してください。


 別の問題では、凝りすぎて名前と判断できなかったり、成人向けな言葉や読み手の反発を呼び起こすような名前も却下です。

「ユーザーネーム」には、「常用漢字」を使うのが望ましい。しかも「常用読み」だけにすれば一目見て「この人はこういう名前なんだ」と読み手は一発で理解してくれます。

 キャラクターの名前になりますが「雪ノ下雪乃」「由比ヶ浜結衣」は苗字だけだと神奈川県の地名です。つまり名前として認識しづらいという欠点があります。まぁ舞台が神奈川県ではなく千葉県なので誤認することはまずないでしょうけど。


 また過去の重大猟奇殺人事件で犯人が名乗った「酒鬼薔薇」のようなものは、事件の凶悪性もありますから不謹慎ですし、凝りすぎて名前に見えませんので即却下です。


 本名が地味な書き手はキラキラネームのような名前を付けやすく、本名がキラキラネームなら地味な名前を付けやすいという傾向もあります。

「ユーザーネーム」はあなたのふたつ目の名前ですから、無意識にバランスをとろうとしてしまうのですね。

 しかも「ユーザーネーム」が目立って読み手が増えればいいのですが、そこまで読み手の心にアクセスできる名前というものはまずありません。あったら私が付けています。

 私の本名はどちらかというとキラキラネームのような読み方をしますので、わかりやすい「ユーザーネーム」にしたいというバランスが働いているのでしょうね。




後悔しづらい名前

「ユーザーネーム」には自分の馴染み深いものを入れると、後悔しづらくなります。


 たとえば自分が好きな単語やその組み合わせというもの。

 仮に「大器晩成」という言葉が好きなら「大気万生」にするとか、『罪と罰』が好きなら「罪罰スキー」にするとかいう類いです。

 ただしこの命名方法は一般的ですから、好きな単語次第では他人とかぶることはありえます。


 次に韻を踏んでいる名前も有効です。

『とある魔術の禁書目録』の「鎌池和馬」氏のように、「か〜ま〜」の形で韻を踏むと、読み手に覚えてもらいやすくなります。


 あなたのあだ名とそのアレンジで付けるというのもありです。

 仮に「ヨッシー」というあだ名なら、そのまま「ヨッシー」にします。でもこれだとかなりの人数ダブるはずです。そこでアレンジして「ヨッシー0011」のようになにか付け加えて切り分けます。付け加えた部分がかぶらなければ付けられるため応用が利くのです。


 とくにあだ名は無かったという方は、本名の一字を持ってくる付け方があります。

 仮に「徳田新之助」という名前なら「聖徳一新」のような名前ですね。この場合は二字使っていますけど、斬新な名前を思いつきやすいのが有利な点になります。


 自分の名前を付けると個人を特定されそうで嫌だ。というのであれば、過去に書いた作品のキャラクターの名前やそのアレンジを付けるのもありです。

 実は私の「ユーザーネーム」である「カイ.アルザードSSTM」は、元々「SSTM」という「ハンドルネーム」があって、それだと創作活動には向かないかなと思い、拙著『暁の神話』の王国軍師「カイ・アルザード」にあやかって付けました。

 でも今書こうとしている小説はその『暁の神話』の連載小説版です。また「カイ・アルザード」の物語を書くことになるので、少々困っています。

 しかも構想中の連載四部作では「カイ・アルザード」という名の重要度が高いため、「カイ・アルザード」の名前を持つ人が「カイ・アルザード」の物語を書くことになるのです。

 この「ユーザーネーム」は失敗した感が強いのですが、逆に言えば作中の「カイ・アルザード」が「語り手となって小説を書いている」ような構図にできるのではないかとも考えています。少なくとも「箱書き」が途中で止まっている『秋暁の霧、地を治む』に出てくる「カイ」はファミリーネーム無しですし、主人公でもないのでまぁよしとしましょう。




インターネット時代の命名術

 世はインターネット全盛期です。そこであなたがインターネットでどう思われているのかを知りたくなってしまいますよね。

 都合のいいことにインターネットにはWeb検索という手段があるのです。

 自分の名前をWeb検索したことのある方は多いのではないでしょうか。

 この行為を俗に「エゴサーチ」と呼びます。

 小説を書いて小説投稿サイトに掲載すると、たいていWeb検索でヒットさせられます。

 しかし「ユーザーネーム」が普通すぎて、他の人物の情報もリストアップされてしまうと、せっかく考えた「ユーザーネーム」もまったく意味がなくなるのです。

 そこで「ユーザーネーム」の候補をいくつか考えたら、Web検索をして同じ名前の人がいないか確認してみましょう。仮想「エゴサーチ」を行なうのです。そうすればWeb検索で他の方が引っかかる名前を回避できます。

「鈴木一朗」という名前で「エゴサーチ」すれば、大量の人物がヒットすることでしょう。ですが「イチロー」という名前なら、メジャーリーグベースボールの「イチロー」だけがヒットするようになります。

 彼を「イチロー」として選手登録した故・仰木彬元監督の読みはズバリと的中したのです。




エゴサーチで酷評されていたら

 あなたが自分を「エゴサーチ」して、もし酷評されているようならやはり「ユーザーネーム」を工夫する必要があります。

 もし酷評だらけであるようなら、「ユーザーネーム」の変更も視野に入れてください。

 心機一転、仕切り直しできるからです。

 もし酷評だらけのさまを見て心が挫けそうなら、最初から「エゴサーチ」はするべきではありません。

 私も酷評だらけが怖いので「エゴサーチ」はしないようにしています。

 だから裏でバンバン酷評してくださいね。

「渡航」氏のペンネームは「エゴサーチ」で名前を見つけにくいという欠点があります。これを前向きに捉えるか後ろ向きに捉えるかは当人の感性次第です。





最後に

 今回は「ユーザーネームの付け方」について述べました。

 さまざまな基準を見ていきましたが、結局どれがいいかは本人であるあなたが決めることです。

 あえて難読漢字にするもよし、ひらがなだけにするもよし。

「ユーザーネーム」はあなたの好きにつけてください。

 その結果、改名する必要が出てくるかもしれません。そのときは改名してもよいですし、現在の「ユーザーネーム」で成果を出して汚名返上してもよいのです。

 私はお笑い芸人・有吉弘行氏のように、他人にあだ名をつける才能なんてありません。

 おそらくあなたにもないと思います。

 だから「ユーザーネーム」は慎重に考えてください。

 ですがいつでも改名できるつもりで執筆に取り組むと、「ユーザーネーム」を考えるのが難しくなくなります。

 小説を書く時間よりも「ユーザーネーム」を考える時間のほうが長いようなら、いっそ本名で投稿することも視野に入れてください。時間をかけるべき対象を間違っているからです。



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