601.明察篇:ジャンルが違えば望まれる才能も異なる

 今回は「ジャンル」についてです。

『小説家になろう』での総合評価ポイントがなぜ上がらないのでしょうか。

 あなたになにか足りないのかもしれません。

 そのジャンルに必要な知識がじゅうぶんあるのでしょうか。

 実は別のジャンルのほうがよくわかっていることもあります。





ジャンルが違えば望まれる才能も異なる


「剣と魔法のファンタジー」を書いているのだけれど、今ひとつ読み手に響かない。総合評価ポイントが上がらないさまを見て「自分には小説を書く才能がないんだ」と思ってしまうのです。

 本当にそうでしょうか。

 もしかしたら、あなたは自分の才能を勘違いしているのではありませんか。




なぜ総合評価ポイントが上がらないのか

 小説投稿サイト『小説家になろう』の総合評価ポイントは、面白そうな作品だと思って先行投資でブックマークしてくれる方と、投稿されている部分を見て文章がしっかりしているか、ストーリーが面白いかを判断して付けてくれる文章評価・ストーリー評価で成り立っています。

 自分で「これは傑作だ」と思って書いた作品が、いっこうに評価されないことはよくあるのです。

「読み手の興味を惹く」「文章力」「面白さ」のいずれかだけでも及第点が取れなければ評価されません。

 あなたが「これは傑作だ」と思って書いたとしても、作品を評価するのはあくまでも読み手です。読み手が「傑作だ」と思われなければ、そこらに転がっている無評価の作品と大差ありません。

 総合評価ポイントを手っ取り早く上げたいのなら、参加可能な「小説賞・新人賞」に応募しましょう。

 小説投稿サイトは基本的にランク上位の作品を読むために存在します。それ以外では「小説賞・新人賞」へ応募している作品を読もうとするのです。特定の「キーワード」を検索フォームに入れジャンルを絞って検索するだけで、応募されている作品を読むことができます。「小説賞・新人賞」に応募しない作品よりも格段に読まれやすくなるのです。


 もし「小説賞・新人賞」に応募して読み手が増えたのに、総合評価ポイントが上がらなければ、なにかが足りないのかもしれません。

「読み手の興味を惹く」「文章力」「面白さ」のいずれかが足りていないということはありえます。

「読み手の興味を惹く」ための連載の四部構成「主謎解惹」に当てはまっていないと考えられるのです。

「文章力」は何本も小説を書き、また他人の小説を読むことで磨かれます。

「面白さ」は書き手の感性に委ねられるのです。「面白さ」だけは即席でどうにもならない部分があります。

 ではどうすれば「面白さ」を増していけるのでしょうか。

 思いきって「ジャンル」を変えてみませんか。




書くのに向いているジャンル

 読むのが好きなジャンルと、書いて喜ばれるジャンルが異なる書き手が意外と多い。

 その違いを見つけられれば、「面白さ」の高い作品が書けるのです。

「剣と魔法のファンタジー」が大好きなのに、「推理ミステリー」を書いたら喜ばれたという人がいます。

 趣味と仕事が別。世の中の大半の人がそうではないのでしょうか。

 大好きな「剣と魔法のファンタジー」はあくまで趣味であり、喜ばれる「推理ミステリー」は仕事になります。

 であれば、あなたが書くべきジャンルは「推理ミステリー」なのは明白です。

 それでも私は「剣と魔法のファンタジー」を書きたいんだ。そう思われるのなら「ハイブリッド」を選びましょう。

 つまり「剣と魔法のファンタジー」に「推理ミステリー」を持ち込めばいいのです。

 そのためには「剣と魔法のファンタジー」であっても「なんでもあり」ではいられません。


 しっかりとした世界観の構築を行なう。

 物理法則がどの程度現実と等しいのか。

 魔法によってできることとできないことを明確にする。

 これらを確定させて揺るぎない世界観で「推理ミステリー」を書くのです。そうすれば質の高い「剣と魔法のファンタジーの推理ミステリー」小説が書けます。

 そもそも「剣と魔法のファンタジー」と「推理ミステリー」は相性がよくありません。ですが、やってやれないことはないのです。なぜなら「推理ミステリー」小説もノンフィクションを書いているわけではありません。必ず「フィクション」の出来事で構成されています。

 そのフィクションの「度合いを増すだけ」だと考えれば、「剣と魔法のファンタジーの推理ミステリー」小説は書けないわけではないのです。

 世界観の構築に手間取るから「誰も書いてこなかった」だけだと言えます。

 どうしても総合評価ポイントの高い作品が書けないときは、まず多くのジャンルを書いてみて、総合評価ポイントが高くなるジャンルを峻別しましょう。




ジャンルに必要な能力

 小説にはさまざまな能力が求められます。

 最低限「文章力」は必要です。これはわかりますよね。

 歴史小説、時代小説、推理小説といったジャンルでは「取材力」が求められるのです。史実やトリックに整合性がなければリアリティーのないただの「絵空事」になります。

 空想科学(SF)小説なら「科学技術」に詳しくなければなりません。

 パニック小説はSF小説よりも緩やかですが「科学技術」の知識が必要です。

 ファンタジー小説なら世界観や舞台や亜人や魔物や魔法など設定する項目が多いので「想像力」が問われます。

 ホラー小説はゾンビや殺人鬼などの設定の生じることもありますからやはり「想像力」が必要です。

 特殊な知識が要らないのは純文学やヒューマン小説、アクション小説といった現実が舞台で人間関係やアクションを読ませる類いのジャンルになります。

 だから純文学の小説賞である芥川龍之介賞や直木三十五賞は、十代や七十代の書き手でも受賞できるのです。




別の小説投稿サイトにも手を出す

 ジャンルも峻別したけど総合評価ポイントが上がらずランク上位に立てないようなら、いっそのこと「別の小説投稿サイト」にも作品を投稿しましょう。

 小説投稿サイトはそれぞれで読み手層が異なっています。たとえ『ピクシブ文芸』や『小説家になろう』でヒットしなかったとしても、他の小説投稿サイトならランク上位に入る可能性もあるのです。

 もちろん将来的に「紙の書籍」化を目指しているのなら、ある程度戦略的に考えておく必要があります。

 各小説投稿サイトが抱えている出版社レーベルの作風に沿う作品を投稿してもヒットしなかったら、別の小説投稿サイトに手を出すのはかなりのバクチです。

「紙の書籍」化を狙っているのなら、出したい出版社レーベルを加味して「小説賞・新人賞」に応募するようにしてください。

 どこからでもよいから「紙の書籍」化したいのなら、手当たり次第に長編小説を書いては投稿するを繰り返しましょう。数を書けば必ずうまく書けるようになります。





最後に

 今回は「ジャンルが違えば望まれる才能も異なる」ことについて述べました。

『小説家になろう』での総合評価ポイントのようなランクポイント制をとる小説投稿サイトでは、ランク上位を獲らないかぎり多数の作品群に埋もれていくだけです。

 どういう作品を書いても総合評価ポイントが上がらないようなら、まずは「小説賞・新人賞」に応募してみましょう。それだけで閲覧数(PV)が上がります。閲覧数(PV)が上がればブックマークしてくれたり文章評価・ストーリー評価をしてくれる人が増えてくるのです。総合評価ポイントを押し上げてくれるので、ランキングに載れるようになります。

 もし「小説賞・新人賞」に応募しても総合評価ポイントが伸びなかったら、ジャンルが合っていないのかもしれません。

 また「正しい日本語」でない可能性もあります。

 いろいろ試して、あなたが書きたい物語が正当に評価される土俵で戦いましょう。



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