599.明察篇:短期の成果と長期の成果

 今回は「成果」についてです。

 小説投稿サイトに投稿するだけが「短期的」、「小説賞・新人賞」に応募するのが「長期的」と分けます。

 どちらの「成果」を追い求めるかで、書き手の満足度が変わってきます。





短期の成果と長期の成果


 小説投稿サイトで連載作品を毎日投稿するごとにブックマークや評価が増えていく。これは「短期的な成果」と言えます。

 しかしそれで満足してしまっては、いっこうにプロの書き手にはなれません。

「小説賞・新人賞」を獲ることは「長期的な成果」と言えます。

「短期的な成果」を得つつ、「長期的な成果」を手に入れられれば最高ですよね。




短期的な成果

 小説投稿サイトで連載作品を掲載するごとに総合評価ポイントが高まる人は、腕のある書き手です。

 最初のうちは連載一回につきブックマークがひとつ付けばいいほうだと思います。

 文章評価・ストーリー評価はある程度連載を重ねないと付けてもらえません。

 それぞれ1ptしか付けてもらえなかったから自分の小説はまだまだだ。そう考えるのも理解できますが、少し冷静になってください。

 あなたがもし他の書き手の作品を読んで、文章評価もストーリー評価も「評価するに値しなかった」場合、1ptでも付けようと思いますか。付けませんよね。

 そうなのです。文章評価もストーリー評価も、評価に値しなければそもそも評価点を付ける真似はしません。だから1ptでも付けてもらえただけはるかにましなのです。

 評価点を付ける側からすると、優が5pt、良が4pt、可が3pt、不可が2pt、論外が1ptだと思って付けている人も多いと思います。ですが書き手側からすれば1ptでも付けてもらえたほうがよいのです。

 読み手はこの点を考慮して文章評価・ストーリー評価を付けてください。

 まったく評価できないのであればそもそも付けない。1ptでも「評価に値する」のなら1ptだけでも付けてあげましょう。

 書き手も1ptは低評価ではなく、1pt付けてくれる人がいただけ「良いところがあった」ということなのです。

 インターネット通販大手『amazon』の星ひとつ評価と異なり、『小説家になろう』では1ptでも良い評価になります。


 小説投稿サイトでランク上位を獲るには、ブックマークだけでは足りません。必ず(ここでは『小説家になろう』での)評価である文章評価・ストーリー評価を得なければならないのです。

 しかし前述したとおり、ある程度連載しなければ文章評価・ストーリー評価は見極められません。

 いつまで連載すれば文章評価・ストーリー評価をもらえるのか。実際のところはわかりかねます。

 ただ前作が好評だった書き手の新作は、初回から文章評価・ストーリー評価を付けてもらえることが多いようです。

 前作が短編小説であっても、この原則は当てはまります。

 ですので、短編小説も書けるようなら、まずは「短編小説」を投稿してみましょう。

「短編小説を分割して連載小説として投稿する」のではなく、「短編小説」として一括して投稿するのです。

『小説家になろう』では「連載小説」と「短編小説」は明確に分かれています。

 しかしことランキングに関しては「連載小説」も「短編小説」も関係ありません。一日で獲得した総合評価ポイント、一週間で獲得した総合評価ポイント、一カ月で獲得した総合評価ポイント。それによって連載・短編の区別なくランキングされるのです。

 この場合「連載小説」のほうが有利でしょうか。「短編小説」のほうが有利でしょうか。

 わかりますか。

 答えは「短編小説のほうが有利」です。

 なぜなら読んで面白かったらブックマークに入れますし、物語が終わっているため文章評価・ストーリー評価も今読んだ文章とストーリーから判断して付けます。

 ネームバリューのない書き手でも、とびきり面白い「短編小説」が書ければランク上位に載ることはできるのです。

 ただしネームバリューのない書き手は「新着の短編小説」欄から読み手に探し出してもらわなければなりません。

 そのため投稿する時刻を工夫してください。投稿は時間予約指定ではなく毎回時間を見定めて手作業で投稿するようにしましょう。

 ネームバリューがあれば書き手のマイページから読みたい「短編小説」を選んでもらえます。やはり先行者優位なのです。

 そして一度ランク上位に載ると、長期にわたってランク上位を維持できます。


 皆様は『小説家になろう』において読みたい小説をどのようにして探していますか。

「新着」をチェックして面白そうな「あらすじ」が書かれていたら読んでみようかな、という人もそれなりにいますが、それが本当に面白いかどうかはバクチです。

 手堅い人は「ランキング」をチェックして、面白そうな作品を読んでいます。

 つまりランク上位に一度載れば、手堅い読み手が読んでくれ、毎日ブックマークや文章評価・ストーリー評価が付くので高い総合評価ポイントが保てるのです。

 総合評価ポイントが高いままならランク上位を維持できます。

 一度ランク上位に載ったことのある書き手は、高いランクを維持し続けるのです。これから『小説家になろう』に投稿しようとする人たちにとって大きな壁として立ちはだかります。

 逆に言えば、一度でもランク上位に載ってしまえば、長い間ランクを保持できるのです。

 作戦を立てて実行する必要があります。

 あなたがとるべき作戦は、すでに書いてあるのでおわかりでしょう。




長期的な成果

 小説投稿サイトを利用していて、いくらランク上位の「短編小説」があっても、それだけで「紙の書籍」化されることはありません。

「紙の書籍」になるには、やはり「長編小説」です。

 ただ「長編小説」を書いても「紙の書籍」になる確率は、宝くじの二等以上に当たる確率くらい低い。

 ですが出版社と共同企画されている「小説賞・新人賞」に応募すれば、「紙の書籍」になる確率は二桁跳ね上がります。

 さまざまな小説投稿サイトのアカウントを取得し、そのときあなたに合った「小説賞・新人賞」が開催されていればそれを執筆して応募しましょう。

 ただし同じ作品を同時に他の「小説賞・新人賞」へ二重投稿することは禁止されています。

 自信作であればあるほど、二重投稿したくなるでしょう。

 ですが、もし三つの「小説賞・新人賞」で同時に受賞してしまったら、どこから出版すればよいのでしょうか。そうなったとき、出版業界では奪い合いも譲り合いもしません。

「二重投稿」という禁じ手を使ったあなたの作品は「紙の書籍」になることもなく、最悪の場合「小説賞・新人賞」の参加禁止を命ぜられる可能性もあります。

 リスクが大きすぎるので、二重投稿は絶対にしないでください。

 つまり同じ時期に三つの「小説賞・新人賞」へ応募したければ、三本の長編小説を書いてそれぞれに応募すればいいのです。

「正しい日本語」と「正しい原稿用紙の使い方」ができている作品なら一次選考は通過して当たり前と言われています。それほど現在の書き手は「正しい日本語」と「正しい原稿用紙の使い方」を知りません。

 ライトノベルが好きで、ライトノベルの「小説賞・新人賞」だから、ライトノベルの書式で書いてもいい。というものでもないようです。

 枚数を稼ぐような書き方はオススメしづらいものがあります。

 そのためライトノベルの「小説賞・新人賞」は文字数制限が主流です。

 頻繁に一文改行したり空改行を入れたり三点リーダーやダッシュを四個以上使っていたりしても、文字数制限があれば、それなりの分量は確保できるからです。

「小説賞・新人賞」に応募するなら、「一気投稿だけ」か「連載投稿が可能」かを必ずチェックしてください。

「一気投稿だけ」ならすべて書き終えるまで応募できません。スケジュールもかなりタイトになります。

「連載投稿が可能」なら毎日何千字かを投稿し続けるだけで規定文字数に到達できるのです。

 ただし「連載投稿」の場合、規定文字数を満たしたうえで「物語が完結」している必要があります。興に乗って書き進めるだけでは構成もめちゃくちゃで、唐突に「結末エンディング」を迎えてしまいます。

 最悪の場合は最も盛り上がるべき「佳境クライマックス」がないまま「結末エンディング」で締めてしまうこともありうるのです。

「連載小説」の場合、「あらすじ」「箱書き」「プロット」をしっかり作り、全体の流れを把握しながら執筆してください。そうすれば「佳境クライマックス」のない小説を書いてしまう愚は犯しません。





最後に

 今回は「短期の成果と長期の成果」について述べてみました。

 小説投稿サイトを用いていて「成果」を気にしない書き手はいません。

 時間をかけて書いた小説がどれだけの反響を得るのか。それが知りたくて投稿するのです。

 そしてあわよくば「プロの書き手」になりたいと誰もが思っています。

「短期的な成果」を求めるのか、「長期的な成果」を求めるのか。

 今のうちから考えておいたほうがよいでしょう。



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