596.明察篇:今は本気を出していないは現実逃避
今回は「今は本気を出していない」ことについてです。
今出さないでいつ本気を出すのでしょうか。
「小説賞・新人賞」へ応募するのなら、つねに全力で本気を出すべきです。
今は本気を出していないは現実逃避
あなたは投稿した小説が低評価に終わったとき「私、今は本気を出していないだけだから」と言っていませんか。
「自分はやればできるんだ」という言葉にはなんの裏付けもないのです。
プライドが傷ついたことは理解できます。ですが一次選考すら通過しないことの言い訳に「本気を出していないから」「自分はやればできるんだ」では自ら成長を止めてしまうのです。
小説賞・新人賞を獲ってみたいな
出版社の企画する紙の原稿用紙の「小説賞・新人賞」や、小説投稿サイトで企画されている「小説賞・新人賞」を射止めれば、私も「プロの書き手」の仲間入り。たかが文字を書くだけでお金が入るんだよ。狙わなくてどうするの。
そんな動機で小説を書き「小説賞・新人賞」を得ようとしても、はっきり言って叶いません。
もちろん物事には例外があります。そういう動機でも「小説賞・新人賞」が獲れてしまう。例外な存在が対談でそういうことを言うから、真に受けて「今日から私も小説を書いて賞を獲るんだ」と思い込んでしまうのです。
その結果、小説を書いた時間を丸々損しただけで終わります。
実際に小説を書いてみて「これは結構難しいな」と感じる方はまだ救いがある。ダメなのは「私が書くんだから受賞して当たり前」と思っている方です。
(2019年8月追記:京都アニメーション放火殺人事件の犯人のような人物が悪い見本です)。
小説のようなものを書きあげて「小説賞・新人賞」に応募しても、結果は一次選考にすら残れなかったとします。
「皆見る目がないな」と思って同じような作品を連発するのです。前回からいっさい進歩していない小説が一次選考を通過すると思いますか。ありえませんよね。
いくら書いてもいっこうに進歩しないので「これは無理そうだから続けるのはやめよう」と思ってしまいます。
だから「これは結構難しいな」と感じる方のほうがよいのです。
「難しい」と感じたら「ではどうすれば評価されるような小説が書けるのだろうか」と進歩的な思考が展開されます。だから一作書くごとに文章にまとまりが出てくるのです。
小説は一朝一夕では書けません。
「小説賞・新人賞」へ参加せずに小説投稿サイトを利用するよりも、参加したほうがはるかに多くの読み手に作品を読んでもらえます。
その利点を生かして書いた小説はすべて小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」に応募してください。とくに連載小説は「小説賞・新人賞」に応募しない限り、読まれる可能性はかなり低まります。
「小説賞・新人賞」狙いでなにが悪いのでしょうか。自らの「プロの書き手になりたい」という願望がさらけ出されるのが嫌だ。その程度の動機なら小説を書くべきではありません。
小説投稿サイトを利用するのは「小説賞・新人賞」に応募するため。
そのくらい強い動機があれば、いずれ大賞とまではいかなくても優秀賞・佳作くらいは獲れるようになるでしょう。
正しい努力が実を結ぶ
小説に限らず勉学やスポーツなどに共通しているのは、「正しい努力は実を結ぶ」ということです。
野球で本人が最も投げやすいフォームで投げる。本人が最も打ちやすいフォームで打つ。それが正しいのです。
アメリカのメジャーリーグ・ベースボールにおいて野茂英雄氏はトルネード投法を貫きましたし、イチロー氏は振り子打法を進化させて対応しました。岡島秀樹投手は投げるときマウンドの土を見ながら捕手にボールを投げ続けました。これなどは対戦する打者からすれば恐怖以外のなにものでもありません。キャッチャー・ミットを見ることなく制球できるのか、という恐怖です。いつ自分に球が当たるかわからない。その恐怖が打者を少なからず萎縮させていました。
野茂英雄氏、イチロー氏、岡島秀樹氏に共通しているのが「正しい努力をした」ことです。
自分がプレーしやすいように動作します。たとえコーチや監督からスタイルを改めろと言われても自分のスタイルを貫き通しました。
小説でもそれは同じ。
正しい努力は「継続する」ことです。
継続すればそれだけ経験を積んで伸びていきます。継続さえできれば、その先を目指す理由も生じるのです。
「できそうにないから努力するのはやめた」では、いくら経ってもうまくなどなれません。
才能とはやり方を変え続ける努力
「努力」とは、つねに前回とやり方を変えて挑戦し続ける粘り強さを指します。
同じことを繰り返しているようでは「努力」とは言えません。
挑戦してみて失敗した。その結果を精査して至らなかった点を見つける。至らなかった点を改めて違うやり方で再挑戦する。そして失敗して精査して変更して再挑戦の繰り返しです。
「正しい努力」とはこのように、やり方を変えて挑戦し続けることにあります。
才能というものがあるのなら、それは「やり方を変え続ける努力」つまり「修正力」「適応力」を指しているのです。
メジャーリーグ・ベースボールの大谷翔平氏は打者として左投手を極端に苦手にしていました。しかしシーズン終了時点では左投手にかなり適応しているのです。イチロー氏は大谷翔平氏を打者として「適応力がある」と評しています。大谷翔平氏が投手と打者の二刀流でプレーできるのも「適応力」あればこそです。
(2019年8月追記:2019シーズンでは左投手を苦にしなくなりました)。
小説は文字だけで作られているため、どこが失敗だったのか、ひとりではなかなか気づきません。誰かに見てもらって指摘してもらうほうが圧倒的に早いのです。ですから私は添削を募集して多くの方に指摘してきました。
繰り返していくとじょじょに自力で「よい文章」が書けるようになっていきます。それも「気づき」を得られることで「適応力」が引き出されるからです。
ひとりで「正しい努力」をするのはとても難しい。誰かがアドバイスしてくれるから誤りに気づけます。あとはやり方を変え続けていけば、必ず小説を書く才能は向上するのです。
本気出していないは逃げ
失敗を糧にして新たな表現にチャレンジしていく「正しい努力」ができれば能力は必ず伸びていきます。
しかし「今回は本気を出していないだけ。自分はやればできるんだ」という言葉を使って結果から逃げてしまう方が存外多いのです。
結果からはけっして逃げないでください。
「正しい努力」をするためには、結果から逃げず「ここが悪かった。こう改めたらどうだったのだろうか」と考えることが必要です。
取り組むときは必ず「本気を出して全力で書き」ましょう。
全力での失敗は、足りなかったものを浮き彫りにしてくれます。
「なにが足りなかった」のかを知らなければ、改善のしようもないのです。
「小説賞・新人賞」に応募したら、一次選考を通過するかどうかを確認してください。
一次選考は日本語の文章になっているかどうかが問われると言われています。つまり「文章力」が正しく身についているかの指標となるのです。
一次選考は通過するけど二次選考の壁に阻まれるという方は、物語の内容の問題だと思ってください。テンプレートな作品を応募していないか。誰もが考える作品を書いていないか。そこをチェックするのです。
最後に
今回は「今は本気を出していないは現実逃避」について述べました。
最初から「逃げ」を用意してしまうと、「妥協の産物」が生まれます。
「妥協の産物」が「小説賞・新人賞」を獲れなくても「まだ本気を出していないし」と言い訳できるのです。それでは進歩も成長もしません。
失敗したら「どこが失敗したのか」を冷静に判断することがたいせつです。
そこを改めれば、次回は今回よりも質の高い作品を生み出せます。
「逃げ」を用意すると、今作からいっさい進歩しないので、次作も一次選考すら通過できません。
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