596.明察篇:情熱を燃やし続ける
今回は「消えやすい情熱」についてです。
「熱しやすく冷めやすい」情熱には手近な目標をクリアする楽しみと、小説を書く面白さで
情熱を燃やし続ける
小説を書くには一日数時間文章を書き続けなければなりません。
そのためには「小説賞・新人賞」を獲るんだという情熱を燃やし続けてください。
もし今回の「小説賞・新人賞」が獲れなくても、次回に獲れれば良しとしましょう。
次回に賞を獲るためには、今回なにが足りていなかったのかを検証することです。
検証することつまり反省することもなく次の作品を書いたところで、その努力は無駄に終わります。
情熱は消えやすい
よく「熱しやすく冷めやすい」と言われますが、「小説賞・新人賞」を獲りたいという情熱もそのとおりです。
「私も『小説賞・新人賞』を獲ってプロの書き手になりたい!」という情熱は、三百枚・十万字の壁を前にして冷めやすい。その壁を乗り越えてなんとか一本書き終えても、それで燃え尽きて推敲を怠ってしまう。推敲もきちんと行ない、一次選考の通過者に自分の名前がないことから「私には才能がないんだ」と、当初の情熱が消えてしまいます。
それぞれの過程はただの通過点に過ぎないのです。
それなのにひとつの過程を終える前に挫折してしまう人が多い。
小説を書くとき。まずは「小説賞・新人賞」の一次選考の通過だけを目標にしてください。いきなり「小説賞・新人賞」を授かろうとしても達成できるはずがないのです。一次選考通過を目標にして、結果として「小説賞・新人賞」を受賞してしまった。そのくらい大雑把な捉え方でかまわないのです。
手近な目標をクリアしていく
いきなり達成困難な目標を立てても「情熱は消えやすい」ものなので、すぐ挫折します。
手近な目標を立てて、それをひとつずつクリアしていくことに注力してください。
どんなに小さな目標でも、それをクリアすると気持ちがすっきりします。そして次の目標も達成しようという意欲が湧いてくるのです。つまり情熱の火種を追加することでより大きく燃やそうとします。これが遠大な目標を達成するための唯一の方法です。
「小説賞・新人賞」を獲るのは、持久戦にたとえられます。
長期にわたる綿密な計画を立てないとまったく進まなくなるのです。
太平洋戦争で日本軍は速戦即決でハワイの真珠湾を攻撃し、東南アジア諸国に駐留する欧米の諸外国軍を倒していきました。
しかし長期にわたる作戦行動は最初から不可能だったのです。
そこで良識派は程々の戦果でよしとし、停戦へ向かおうとします。
強硬派はアメリカを倒すまで戦い続けるべきだと主張してどんどん戦場を拡大し続けたのです。
これにより日本軍は各地に分散配置されることとなります。アメリカ軍による各個撃破を容易にしてしまったのです。
兵力分散の愚を犯しながらも、玉砕覚悟の特攻作戦で活路を見出そうとし、沖縄の地上戦でおびただしい民間人の戦死者を出します。軍部は本土決戦に備えて各地から兵を日本に呼び戻すのですが、海軍の兵站がある広島と長崎に原子力爆弾を投下されて壊滅したのです。さすがの軍部もこれで意気消沈しアメリカに対して降伏することとなりました。
日本軍幹部には「手近な戦果」しか見えておらず、「長期戦になったらどうなるか」への配慮がなされなかった。これでは負けて当然です。
いきなり太平洋戦争の話になりました。しかし小説でも考え方は同じです。
「小説賞・新人賞」を獲るために、どのような段階を経るべきなのか。
長期戦になりますから、綿密に計画を立てておくべきです。
そしていつどのくらいの戦果を挙げればよしとするのかを明確にしておきましょう。
手近な目標として、一日何枚何千字書けばよいのかを明らかにしておくのです。
十万字を一カ月で書くには、一日三三三三字ずつ書く必要があります。
あとで推敲することを考えたら、一日三七〇〇字ずつは書いておいたほうがよいでしょう。推敲は削るのは簡単ですが、増やすのはとても難しい。
だから十一万字書いて一万字削るほうがよほど建設的です。
あなたがこれから小説を書いて「小説賞・新人賞」を獲りたいのであれば、まずは毎日三七〇〇字以上書けるようにしましょう。そうすれば毎日情熱を燃やすことができるようになりますよ。
小説を書くのは面白いですか
あなたは「小説賞・新人賞」を獲るために小説を書いているのでしょうか。
それがいちばんの動機だとすれば長続きしないでしょう。
長い時間かけて書いた作品を「小説賞・新人賞」に応募して、もし一次選考すら通過できなかったら。おそらく結果に満足できず小説を書くことをやめてしまうと思います。
忍耐力があれば二度目、三度目の応募をするでしょう。
しかしそれらがことごとく一次選考を通過できないという事態を目の当たりにして、それでも書き続けられますか。
これが受賞するために小説を書いている人の限界です。
「小説賞・新人賞」はあくまでも自分の作品を多くの人に読んでもらう場であると認識しましょう。小説投稿サイトが開催する「小説賞・新人賞」ならなおさらです。
そして「小説を書くのは面白い」と思えるようになるまで物語のイメージを膨らませてください。
物語のイメージが明確になれば、「この物語を多くの人に読んでもらいたい」という動機も生まれます。
「読んでもらえば必ず楽しんでもらえる」と思いながら執筆している間は、とても充実した執筆活動ができるのです。
つまり「小説を書くのは面白い」と思えるようになります。
「小説を書くのは面白い」と思いながら書いた小説は、「小説賞・新人賞」を獲ろうと書いた小説の何倍も面白い作品になるのです。
「小説賞・新人賞」を目指して書くのだとしても、「小説を書くのは面白い」と感じながら書いていれば、たとえ賞を逃してもすぐ次の作品にとりかかれます。なぜなら「小説を書くのは面白い」からです。
一次選考に通らなかったとしても、毎回悪かった点を修正して応募を続けていれば、いつか一次選考を通過できます。
「小説を書くのは面白い」と感じていない方は一度の挫折ですぐ諦めてしまうのです。ところが「小説を書くのは面白い」と感じている方は何度挫折しても新作を書くことをやめません。
「小説を書く」のが最大の趣味になっている方は、大成するまで何度でも書き続けられますし、結果より過程の充実を重視します。
「今作はとても楽しんで書けました」とあなたが言えるのも「小説を書くのは面白い」と思っているからです。
最後に
今回は「情熱を燃やし続ける」ことについて述べてみました。
「小説を書く」という行為は三百枚書き上げるのに何十時間もかかります。
その間「情熱を燃やし続け」なければ途中で挫折するのです。
いちばんいいのは「小説を書くのは面白い」と心底思えること。
それならば結果が伴わなくても、小説を書き続けることができます。
適切に書き続けていれば、そのうち「小説賞・新人賞」を獲得することも夢ではありません。
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