520.飛翔篇:読みたいテーマに統一

 今回は「テーマの統一」についてです。

 小説投稿サイトで読まれる作品にするには、「テーマ」で検索されることを意識しましょう。

「タイトル」に「キーワード」「タグ」に「あらすじ」「キャプション」。

 いずれかに「テーマ」をきちんと入れ込んでください。そうすれば検索に引っかかるようになります。

『小説家になろう』では「あらすじ」に「テーマ」を入れても検索にひっかけてくれるので融通が利きます。

 ですが「キーワード」に「テーマ」を入れておいたほうが、読み手もわかりやすくていいのです。





読みたいテーマに統一


 書き手は「揺るぎない信念」を「テーマ」にして小説を書いているのに、読み手は「勧善懲悪」ものを読みたかった。

 すると読み手はあなたの作品を評価してくれません。

 ミスマッチするのがいちばんよくありません。

 あなたの掲げる「テーマ」を読みたい読み手に届ける方法はないものでしょうか。




可能なかぎり早い段階でテーマに言及する

 ミスマッチを防ぐのは、可能なかぎり早い段階で行なうべきです。

 それを極めようとしているのが、現在小説投稿サイト『小説家になろう』特有のとても長い「タイトル」になります。

「勇者譚」なのか「追放」ものなのか「引退」ものなのか。ハイファンタジーはとくに「タイトル」が長い。その長さの中にテーマを入れ込んでミスマッチを防ごうとするわけです。

 しかも仮に人気が出て「紙の書籍」化された場合、「タイトル」は出版社の編集部が改題することが多くなります。

 だから小説投稿サイトで連載するときは、どんなに「タイトル」が長くてもかまわないわけです。

 これが長い「タイトル」がはびこる温床となっているように感じます。


 タイトルの次は「キーワード」です。ここにテーマを書くのは憚られるでしょう。

 ですが、読み手になって「こんな小説が読みたいな」と思ったら、まず検索をかけますよね。

「ハーレム」「チート」「ハッピーエンド」「バッドエンド」「ディストピア」「悲恋」といったものを読みたければ、それらを検索ワードに設定するはずです。

 これらを「キーワード」に設定してあれば、読み手の期待する「テーマ」の小説が意図通りに検索されて読めるようになります。

 しかし『ピクシブ文芸』には現時点で検索機能がありません。いったん『pixiv』にアクセスして検索をかけることになります。ですが二次創作が大量にヒットしてしまうのです。

 この状況が改善されない限り、『ピクシブ文芸』は苦しい状況が続くでしょう。


 そして最後は「あらすじ」「キャプション」です。

 あなたの小説がどんな「テーマ」なのか。どんな主人公がどんなことをする物語なのか。

 それがわかっていれば、読み手は「自分の期待している作品に近いな」と感じて期待を裏切ることなく作品を読んでもらえます。


 もしあなたが投稿した小説の閲覧数(PV)が予想していたよりも少なければ、元々需要がなかった「テーマ」だったのかもしれません。

 しかし流行りの「追放」ものなんだけどなぜ閲覧数(PV)が増えないのか。

 きちんと「タイトル」、「キーワード」「タグ」、「あらすじ」「キャプション」で「追放」ものであることを明確にしていますか。ここでアピールできないかぎり検索リストからクリック(タップ)されることはまずありません。


 では閲覧数(PV)は稼げているのにブックマークが増えないときはなにが原因でしょうか。

 読んでみたけど「テーマ」が合わなかった、ということです。

 中には読みたかった「テーマ」と異なっていたけど、これはこれで面白いからこれからも読み続けようという肯定的な意味でブックマークが増えることはあります。でもそれはごく少数です。

 ほとんどは読みたかった「テーマ」とは異なっていたら切られます。

 とくに投稿二回目以降の閲覧数(PV)が上がってこないときは、読みたかった「テーマ」と異なっていたことが最大の原因です。

 初回が読みたい「テーマ」と異なっていても面白ければブックマークが増えます。でも二話目以降で面白くなくなれば、連載を投稿しているのにブックマークがどんどん解除されてしまうのです。




テーマにふさわしい語り口で書く

 たとえばシリアスな「推理ミステリー」小説を書こうとしているのに、語り口が軽妙でノリツッコミまで入れてくる。読み手はコメディータッチな「推理ミステリー」小説を連想してしまいます。

 書き手の意図と読み手の受け取り方に差異が生じるのです。

 最初は書き手と読み手はミスマッチしていることに気づいていません。

 話が進んでいくごとに、書き手はシリアスな事件を次々と起こしていきます。読み手はコメディータッチのつもりで読んでいたのに、いつの間にかシリアスな事件ばかりを目の当たりにしていきます。

 ここにきて読み手はようやく「これはコメディータッチの推理ミステリー小説じゃなかったんだ」と初めて気づくのです。

 ブックマーク数がある時点を境に急激に減り続け、閲覧数(PV)も急落していく。これもミスマッチが原因と考えられます。

 中には意図的に「コメディータッチの推理ミステリー小説」だと思わせておいて、じょじょにシリアスな事件が発生するようにして、物語のトーンもシリアスになっていく作品もあります。

 ミスマッチと意図的の差は、「ガラリと姿を変える」のか「じょじょに形が変わっていくのか」です。

 ミスマッチは、あるときを境として唐突に「姿を変えて」しまいます。つまり別物に変わってしまうのです。

 意図的に仕組んだことであれば、いち投稿ごとに少しずつシリアスな風合いを帯びていきます。読み手はその変化をじっくりと感じながら物語が変わっていく様を見ているので、拒絶反応を起こすことがないのです。

 意図的にシリアスへシフトするタイプの書き方をしていれば、ブックマーク数も閲覧数(PV)も急激に落ち込むことはまずありません。

 文章評価・ストーリー評価が上がることすらあります。


「シリアスな考えさせられる推理ミステリー小説」を「テーマ」にするなら、できれば最初からシリアスなトーンで書くべきです。

 「コメディータッチの推理ミステリー小説」に見せて実態は「シリアスな考えさせられる推理ミステリー小説」であり、じょじょにシリアスに切り替わっていくのも「あり」だとは思います。それなりに筆力が必要にはなるのですが。

 初回が「コメディータッチの推理ミステリー小説」だったのに、二回目以降が「シリアスな推理ミステリー小説」になっていたら。それはただのミスマッチでしかありません。





最後に

 今回は「読みたいテーマに統一」について述べてみました。

 読み手が読みたい小説を提供するのが書き手の役割です。

 書いたはいいが、読み手の検索に引っかからないのでは徒労に終わります。

 「タイトル」、「キーワード」「タグ」、「あらすじ」「キャプション」でしっかりと読み手に「テーマ」をアピールして検索に引っかかるようにすることです。

 検索リストに残れれば、閲覧数(PV)は増えやすくなります。

 あとは初回投稿の出来次第です。

 初回が面白ければブックマークも増えていきます。

 もし二回目以降が初回と異なるトーンで書かれていれば、たいていの場合はブックマークが減り、閲覧数(PV)もガタ落ちするのです。

 もし意図的に「初回」と「佳境クライマックス」や「結末エンディング」のトーンを変えたいときは、じょじょに舵を切ってください。

 急激に舵を切るとあなたの舟は転覆してしまいますよ。



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