468.発想篇:流行の逆を行ってみる
今回は前回の逆で「流行の逆を行ってみる」発想法です。
ランキングが「テンプレート」だらけなのは、他の作品が目立てるチャンスだと思いましょう。
タイトルも最近は長くなる傾向にありますが、短いタイトルもインパクトがあります。
ですがジャンルの逆を行くのはオススメしません。
流行の逆を行ってみる
各小説投稿サイトでは、それぞれ「流行っているテンプレート」が異なります。
確実に「流行っているテンプレート」というものがあるのです。
人気を得ようと思えば、まず「テンプレート」に従った作品を考えると思います。
しかしあまりにも「テンプレート」に従った作品ばかりが集まったらどうでしょう。
辟易してきませんか。
あなたがカレー好きだったとして、毎日毎食カレーばかり食べさせられたらどうお感じになりますか。
たまには別のものを食べたくなるはずですよね。
小説も同じ。
「テンプレート」だらけの作品群に飽きた読み手は一定数いるものです。
そういう方たちを取り込んでみるのも、ひとつの「発想法」となります。
テンプレートの逆を行く
現在『小説家になろう』の「ハイファンタジー」ジャンルにおいて「追放」「解雇」ものが流行っています。
ランキングを見ると上位10作中3作が「追放」「解雇」をタイトル名に入れ込んでいるのです。
ちなみに20位までに9作。
「追放」「解雇」ものを好んで読んでいる方が多い証拠ですが、ここまで多いとさすがに飽きてきます。
そこで「テンプレート」の逆を狙ってみるのも「あり」です。
たとえば「追放」「解雇」なら「参加」「合流」「加勢」といったもの。
「とある冒険者(勇者)パーティーに参加してみたら、レベル999で無双する」といった感じです。
「追放」とは逆の「参加」をさせて、それ以外は「テンプレート」をそのまま使っています。
60度くらい「テンプレート」の逆を行ってみましたが、「追放」に飽きた読み手には面白そうな感じが出るのではないでしょうか。
これはこれでいいのですが、さらに逆を行くとこうなります。
「とある冒険者(勇者)パーティーに参加してみたら、まったくの役立たずであることがわかり、これから修行の旅に出る」という具合です。
今の「追放」ものは大半が「実は最強(無敵)だった」というお話になっています。
逆を行くなら「参加」したら「実は役立たずだった」というお話ですよね。
この例は180度つまり真逆を狙ったものですが、120度くらい逆を行くのも「あり」だと思います。
「とある冒険者(勇者)パーティーに参加してみたら、まったくの役立たずであることがわかり、現在剣士と特訓中」なら、2/3ほど逆を行き、1/3ほどは「テンプレート」を借りてくるくらいですね。
このように「テンプレート」に飽きた読み手が誘われるくらいの「逆を行く」ことが求められます。
タイトルの逆を行く
現在『小説家になろう』の「ハイファンタジー」ジャンルはタイトルが文章になっているケースばかりです。
タイトルを読んだだけでどんな内容なのかがわかるのは、ある意味親切です。しかし野暮ったい感じがしませんか。
たちの悪いことに「紙の書籍」のタイトルも、年々長くなっています。
そんな中でカルロ・ゼン氏『幼女戦記』はタイトルが短くても読んでみたい雰囲気を感じさせます。
「幼女」と「戦記」の組み合わせの意外性が、「一読してみたい」という欲求に訴えかけているのです。
西尾維新氏『化物語』に代表される『○物語』シリーズも、何冊も出版されるうちに「どんな内容なんだろう」と思わせますよね。
丸山くがね氏『オーバーロード』はテレビアニメ化されるほどの人気を集めました。
どんなに短くても「読んでみたくなる」タイトルというものはあるのです。
流行りに従って長いタイトルを付けたくなるところですが、物語を端的に表す「キーワード」をタイトルにすることも考慮してください。
太宰治氏『走れメロス』がもし『政治のことはよくわからないが、悪を感じると許せずにいる俺は、妹と身代わりになっている友のために走っている。』なんてタイトルだったらどう思いますか。
私だったら読む気が湧きません。
タイトルには書き手のセンスが表れますから、書き手にとって最上のタイトルをつけるべきです。
そのうえで、あえて「流行」の逆を行く「短いタイトル」も考えてみましょう。
タイトルは短いほうが読み手に憶えてもらいやすいのです。
長くなればなるほど、「あの小説のタイトルって正確にはなんて言うんだっけ?」ということになりかねません。
渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は略称『俺ガイル』『はまち』として知られています。
柳内たくみ氏『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』は憶えるのに少し苦労しませんか。
私はなかなか憶えられなくて『ゲート 自衛隊』までしか憶えないようにしました。
読み手に愛される作品が書けたとして、タイトルが長くて憶えられないという理由で読まれなくなったら、本末転倒ではないでしょうか。
ジャンルの逆は行かない
『小説家になろう』で最近憂慮されているのが、ジャンルを無視した作品が多いことです。
「純文学」に「異世界転生」「異世界召喚」、「ヒューマンドラマ」に「勇者」「転生」、「推理」に「魔王」「勇者」などの本来なら「ハイファンタジー」ジャンルにするべき作品が、異なるジャンルに投稿されています。
元々『小説家になろう』では「ハイファンタジー」ジャンルは最も人気があるため、こういう行為をすれば他のジャンルのランキングで上位に載るのは当たり前なのです。
だからといって小説投稿サイトの「ジャンル」分けを無視することはオススメできません。
こんなことをしてランキングの上位に載ったところで、作品の質が担保されるわけではないのです。
「ジャンル」分けを無視する行為は「荒らし」と変わらないため、運営側が適切なジャンルに訂正していくようにするべきでしょう。
第一、ヒューマンドラマが読みたいのにハイファンタジーを読まされるのでは「看板に偽りあり」で褒められた行為ではないのです。
そういった詐欺行為をされても良しとする読み手が多いから、現状こうなっているのかもしれません。
しかし悪しとする読み手からすればそんな書き手は「ブラックリスト」入り間違いなしです。
現状を放置していては、『小説家になろう』というサイト名とは名ばかりで、逆に「小説家になれない」書き手が続出するだけだと思います。
ただし「異世界恋愛」を書きたいのだけど、「ハイファンタジー」しか書いたことがない。だから「ハイファンタジー」の形を使って「異世界恋愛」を書こう。というのは「あり」です。
その場合は「ハイファンタジー」の形をしていると「あからさまに」言及することは避けましょう。
あなたが投稿したのはあくまでも「ハイファンタジー」の形を使った「異世界恋愛」なのですから。
最後に
今回は「流行の逆を行ってみる」ことについて述べました。
小説投稿サイトにはそれぞれ「流行り」の「テンプレート」があります。
それに沿うだけで「評価」が高まってランキングに載れるのです。
たいへんお手軽な方法ですが、それでは「あなただから書けた小説」とはみなされません。
「テンプレート」の逆を行ってみるだけで、「あなただから書けた小説」が生まれるのです。
タイトルもできるかぎり「流行り」の逆を行くべきでしょう。
しかし「ジャンル」分けまで超越してはなりません。
本来「ハイファンタジー」なのに「文芸」ジャンルに投稿するのは禁じ手です。
そんな書き手はいっとき人気を得たとしてもすぐに消え去り、二度と読まれなくなる可能性のほうが高いと思います。
「流行の逆を行ってみる」ことはたいせつですが、「ジャンル」まで逆らっては「小説投稿サイト」の意義が薄らいでしまうのではないでしょうか。
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