463.発想篇:アイデア出しの段階で評価しない

 今回は「アイデア出し」についてです。

 直接的な発想法ではないのですが、あるアイデアがひらめいたとき、その場で評価しないようにしましょう。

 どんなにつまらなく思えても、出せるときにすべて出しておくのです。

 そうすれば、その「つまらないアイデア」が二度と出てくることがなくなります。

 また「つまらないアイデア」が何度もひらめくようなら。実は「面白いアイデア」である可能性が高いのです。





アイデア出しの段階で評価しない


 誰も書いていないような小説を書きたいと思って、「アイデア出し」をしていくとします。

 しかし「アイデア出し」の段階で「これは評価されないだろう」と先回りして仕分けないでください。

 評価されるかされないかは、投稿して読み手に読まれるまで誰にもわかりません。

 今のあなたの感性では「評価されないだろう」と思っているだけで、成長したあなたの感性には「評価されるかもしれない」へ変わっている可能性もあるのです。

 投稿して、たとえ読み手から批判されるとしても、それは斬新さの証でもあります。

「アイデア出し」の段階では、批判されるくらいがちょうどいいのです。




アイデア出しはなんでもあり

「アイデア出し」の段階では「これはまずいだろう」「これはダメだろう」などとひとつずつネガティブな評価を下さないでください。

 とにかく思い浮かんだものはすべて書き出していくようにしましょう。

 アイデア出しはA4のPPC用紙(コピー用紙)に書きます。

 中心に「どんな小説を書きたいのか」つまり「ジャンル名」を書いておきましょう。

 その周りに主人公の特徴や経歴、他の登場人物や世界観・舞台や決めゼリフや印象的な動きなどを思いつくまま書いてください。

 ある程度書いたら、書き込んだ内容を整理していきます。

 似通った項目を線で結び、どういうところが似ているのかを書き込んでいく。

 書き込んだときに浮かんだものをさらに書き込んでいくのです。

 関連性から思い浮かばなくなったら、線で結んだ似通った項目をひとまとめにして別のPPC用紙に書き込んでいきましょう。

 どんなアイデアを小説に入れようとしているのか、あなたの無意識が図式化されていきます。

 アイデアが出尽くしてから、その中から執筆可能なものを探せばいいのです。

 だから「アイデア出し」の段階では「出し惜しみ」や「関係ないだろう」といった判断はせず、思いつくままアイデアを出していきましょう。




批判を恐れない

 PPC用紙に「アイデア出し」をして小説の要素を抽出したら、次は小説に書いていく内容を詰めていきます。

 このとき、完成時の批判を恐れないでください。自由な発想を妨げてしまいます。

 批判されるのは、あなたの作品が注目を浴びているからです。

 箸にも棒にもかからないような作品が批判されることなど、ありえません。

 アイデアをまとめる段階で批判を恐れる必要などないのです。

 最終的に出来あがった作品自体も、批判されても気にしないようにしましょう。

 あなたの考え方に共鳴する方もいらっしゃいますし、逆に不協和音を聞かされているような方もいらっしゃいます。

 批判を恐れていては、あなたの自由な創作活動が著しく制限されてしまいます。

 日本は「表現の自由」が憲法で保証されている国です。

 最終的には「倫理」の問題が持ち上がるとしても、「表現の自由」を妨げるものではありません。

 だから「批判されるくらいがちょうどいい」と開き直って執筆してください。

 誰もあなたの作品に期待していませんから、案外批判されないものですよ。




キャラシートにはイメージイラストを

 PPC用紙に書き込まれたアイデアから主人公や人物を生み出し、世界観・舞台を設定していきます。

 そして「この項目がわからないから追加で設定しておこう」「まだ誤解される余地があるかもしれないので可能性を潰しておこう」といった判断をします。

 人物なら「この性格ならこんなことをするんじゃないかな」「こんなことはしないんじゃないかな」ということもPPC用紙に書き込んでいきましょう。

 無地のPPC用紙がいつの間にか「キャラシート」になっているはずです。

 しかし思いついた順に書き込んでいるため、パッと見では情報を見つけられないかもしれません。

 そういうときは、新しいPPC用紙に清書してください。

 もし絵が描けるのであれば、履歴書の写真ではありませんが、イメージイラストを描いておくことをオススメします。

 主人公はとくに多くの情報を作品に書き込みます。

 イメージイラストがあれば「矛盾」が発生する可能性を低くできるのです。

 たとえば長髪だったはずなのに、ある時点での描写では短髪になっている。

 髪を切ったのかなと思ったら次のシーンでまた長髪に戻っている。

 そんな「矛盾」が発生しないよう、「キャラシート」を作ったらイメージイラストを描いておくべきです。

 アニメの設定資料集でも、主人公や登場人物のイメージイラストは欠かせませんよね。

 複数のアニメーターが同じ人物の絵を描くためには、イメージイラストが不可欠なのです。




アイデアをまとめる段階で評価する

 アイデアをまとめて作品の要素を形作る際に、初めてアイデアを評価してください。

「このアイデアだとこうなってしまわないか」「このアイデアだとこんなこともできてしまうのではないか」といったことが浮かんでくるようでは、アイデアの段階で止まってしまいます。

 アイデアをまとめて要素を形作る際に、「このアイデアはバッティングするからこちらを選ぼう」「このアイデアがあると『なんでもあり』になってしまうのでこういう規制をかけよう」といったものを作ります。

「整合性をとる」わけですね。

 そのキャラや超常現象(たとえば魔法や超能力)に「できること」と「できないこと」を明確にしておくこと。

 それがアイデアをまとめるときのポイントです。

 だからこそ「アイデア出し」のときに取捨選択や選別をするべきではありません。

 いいアイデアも悪いアイデアも、いつか使えるときが必ず来ます。

 本作で使えないとしても次作で使えるかもしれない。

 主人公には使えないとしても「対になる存在」には使えるかもしれない。「第三者」に当てはめてもいいのではないか。

 そういった柔軟さこそが「発想法」に求められる心構えなのです。





最後に

 今回は「アイデア出しの段階で評価しない」ことについて述べてみました。

「アイデア出し」のときは制限をかけないでください。

 アイデアを似通った項目でまとめていく際にも制限をかけないように。

 制限をかけるのはアイデアをまとめるときだけです。

 アイデアをまとめる段階ではさまざまな「矛盾」が発生していることがあります。

 それを潰して「整合性をとる」ことがたいせつなのです。

 アイデアをまとめるときにだけ、アイデアを評価してください。

「整合性のとれない」アイデアは次作以降で用いるようにしましょう。

 どうしても今作で用いたいのなら、別の人物に当てはめてみるのです。

 評価するにもあたらない「どうにもならない」アイデアも、いっそアイデアノートに書き込んでみると、後日大化けする可能性があります。

 そのためにも「アイデア出し」の段階で評価してはダメなのです。



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