発想篇〜アイデアが思いつかなかったら
441.発想篇:悩んでほぐすとひらめく
今回から「発想篇」が始まります。
短編の予定ですが、アイデアのひねり出し方などを参考にしていただければと存じます。
まずはオーソドックスな手法から。
悩んでほぐすとひらめく
小説を書くいいアイデアがない。そんな書き手は多いと思います。
いいアイデアを生み出すにはどうすればいいのか。
とにかく悩んで悩んで悩み尽くす。
いいアイデアが出てくるまでひたすら悩む人が大半ではないでしょうか。
でもそれって本当に効率的ですか。
悩むことはムダにならない
なんのあてもなく、ただひたすら悩み続けることに意義を感じない人が多いのです。
ですが、悩むだけ悩んでください。
ただし、堂々巡りを始めたと気づいたら、もう悩んではなりません。
堂々巡りとは、考えていることがただループしている状態です。
それではとてもいいアイデアなんて生み出せません。
だから「堂々巡りするまでは悩むべき」なのです。
それまでに考えていたことはけっしてムダになりません。
考えることをやめる
悩みに悩んで「堂々巡り」になったので考えることをやめます。
次はどうすべきでしょうか。
それまでどんなに頭を働かせて考え悩んでいたとしても、考えることそのものをやめてください。
「堂々巡り」が始まった段階で、あなたの頭の中は煮詰まっています。
これ以上考えても、アイデアなど出てこないのです。
「でもいいアイデアが見つからないと連載を落としてしまう」ということもあるでしょう。
そのためにも、連載を開始する際は「十回ぶんのストック」を用意しておくべきです。
これが殊のほか精神を安定させてくれます。
たとえアイデアが出なかったとしても、十回ぶんの余裕があるため、ゆとりをもってアイデアを練られるのです。
そして調子がよいときにまたストックをためていけば余裕を保って連載が続けられます。
緊張をほぐす
考えをやめたあとどうすればいいのか。
「緊張をほぐし」ましょう。
思いっきり大きな「?」マークが頭に浮かんでいるかもしれませんね。
「アイデアを考えなくていいのかよ」という声も飛んできそうです。
ですが焦らないでください。
その焦りが原因で「いいアイデア」が出てこないのです。
だから考え悩むことをやめて、緊張をほぐす必要があります。
「頭をリセットする」「頭をリフレッシュする」というとわかりやすいですね。
アイデアが欲しくて鍋にカレーの具を入れて考え悩んで煮詰めていく。
すると具に火が通っていつでもルーが入れられる状態つまり「堂々巡り」が始まります。
ここでカレールーを投入してとろ火にして考えることをやめるのです。
そしてある程度煮込んだらいったん火を止めて具にルーを吸わせます。
ここがちょうど「緊張をほぐす」段階になるのです。
一晩寝かせたカレーは絶品だと言われますよね。
アイデアも一晩とはいいませんが、ある程度寝かせたほうがいいものが出てくるのです。
別の情報に触れる
頭を寝かせているときは、アイデアにつながらないような別の情報に触れてください。
新聞やネットニュースを読んでもいいですし、ビジネス書を読んでもいい。
気分転換のために、今まで考え悩んでいたものとはまったく異なることに触れるのです。
実は「別の情報」というのがミソになっています。
会議で意見が出尽くして煮詰まってしまったとき、まったく関係のない話をしてそれについて意見を出していく「ブレイン・ストーミング」という手法があります。
これはもちろんあなたの頭の中でもできることですが、ひとりで「ブレイン・ストーミング」できるようになるには、場数をこなさなければなりません。
その点他人が参加していると、あなたが気づかなかった情報が引き出され、そこから新たなアイデアが生まれてくるものです。
だから、もしあなたに創作仲間がいるのであれば、積極的に「ブレイン・ストーミング」してみてください。
きっと「こんなやり方もあったんだ!」という驚きのアイデアが得られます。
気を緩める
別の情報に触れた後は、気を緩めてください。
簡単にいえば、運動をしたりお風呂に入ったり。本屋で立ち読みなんていうのもいいですね。
これまで考えていたこと、触れてきた情報を忘れるくらい気を緩めます。
すると程なくして突然アイデアが降って湧いてくるのです。
人類史に残るような発見も、気の緩みから始まっています。
古くはお風呂に入ってアルキメデ氏がひらめいたこと、リンゴの木の下でアイザック・ニュートン氏がひらめいたこと、電球のフィラメントにどんな素材を選ぶべきか悩んでいたトーマス・アルバ・エジソン氏がひらめいたこと。
この三人に共通するのは「さんざん悩んだ挙げ句いったん降参し、緊張をほぐして気を緩めていた」ことです。
彼らはその状態から真理を手に入れました。
ひらめいた瞬間、彼らはそれまでさんざん悩んでいた事柄にひらめきのピースを当てはめて、まったく新しいアイデアを得たのです。
ひらめく
もうおわかりでしょう。
最初に「悩むだけ悩む」ことには明確な意義があったのです。
ひらめきを生むためには、ひらめきを引き出すための情報が頭の中にストックされていなければなりません。
そして緊張をほぐして、まったく異なる情報を与えてみる。
気を緩めて意識をまったく別のところへ持っていく。
それが揃ったとき、人は「ひらめく」のです。
私は1年以上440本ほど本コラムの連載を続けています。
続けていられるのも、このような「ひらめき」が得られる手順を踏んでいるからです。
コラムでこれができるのですから、連載小説だって当然できるでしょう。
現在は引越直前(執筆当時)ということもあって、連載小説の「あらすじ」作りが難航しています。
ですが、書くべきこと自体は決まっているので、時間さえ作れればすぐにでも「あらすじ」は完成するはずです。
それをどの段階でどの程度まで公表するかですが、連載小説という都合上あまり先のことがわかりすぎるのも困りますよね。
そこで冒頭部分のみの「あらすじ」を全文掲載しようかと思っております。
(前回投稿したのがそれです。順番が入れ替わっていてすみません)。
最後に
今回は「悩んでほぐすとひらめく」ことについて述べてみました。
悩めるだけ悩むこと、考えることをやめて緊張をほぐすこと、別の情報に触れること、気を緩めること。
これだけ手順を踏めば、確実にひらめきはやってきます。
ひらめかなければどれかがじゅうぶんではないのです。
私が最もひらめくのが「書店で立ち読み」になります。
ただいろんな表紙を見ているだけでもひらめきが得られるものです。
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