373.分類篇:ジャンルの区分(4/4)
今回は「文芸」カテゴリーです。
正直に言ってかなりジャンル分けの難しいところがあります。
ジャンルの区分(4/4)
いよいよラストの「文芸」カテゴリーに辿り着きました。
やはり『小説家になろう』のジャンル分けは難しいですね。
でも正しく設定するだけで閲覧数(PV)は確実に増えていきますから、侮らないでください。
文芸
【歴史】過去を舞台にした小説。時代小説、タイムトラベルものを含む。
史実に基づいた作品は「歴史小説」と呼ばれます。
歴史の一時代を流用して書き手の創作を交える作品は「時代小説」と呼ばれます。
そこに本来なら「SF」に属すべき「タイムトラベル」ものを交えたのが、『小説家になろう』での「歴史」ジャンルです。
基本的に太平洋戦争より昔を扱います。
時代だけを拝借して、歴史的事実のない物語を書くと「伝奇小説」となるのです。「伝奇小説」は藤川桂介氏『宇宙皇子』シリーズが有名かもしれません。
「歴史」の中でも人気があるのは「明治維新」と「織田信長」です。
「明治維新」ものは文章記録がかなり現存していますから「歴史小説」として書かれることが多い。
歴史小説として有名なのは司馬遼太郎氏『翔ぶが如く』です。
「明治維新」の時代小説もかなりの数あり、尊皇攘夷を主張する維新派に焦点を当て、坂本龍馬が主人公や脇役として登場することがよくあります。
時代小説としてはこちらも司馬遼太郎氏『竜馬がゆく』が有名です。
乙女ゲームの『薄桜鬼〜新選組奇譚〜』は新選組側を描いた時代物と言えます。
織田信長まで遡ると史料が少ないため、ほぼ「時代小説」「伝奇小説」か「タイムトラベル」となります。
司馬遼太郎氏『国盗り物語』が有名ですが、ライトノベルでも春日みかげ氏『織田信奈の野望』などがあります。
「タイムトラベル」となると半村良氏『戦国自衛隊』、ライトノベルでは柳内たくみ氏『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』が有名でしょう。
「タイムトラベル」は本来SFに属するため「文芸」に入れてある『小説家になろう』のカテゴライズは少しわかりづらいですね。
ここでは「タイムトラベル」は「SF」と「歴史」がミックスされたと解釈することにします。
舞台が過去であれば「歴史」でまとめるということかもしれません。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「IF戦記/史実/時代小説/逆行転生/伝奇」です。
【ホラー】読者に恐怖感を与えることを主題とした小説。
「パニック」のところでも述べましたが、「大規模な人に恐怖感や危機感を与える」のが「パニック」、「個人や少人数に恐怖感や危機感を与える」のが「ホラー」です。
「怪談」や「お化け屋敷」を思い浮かべていただけたらと思います。
「怪談」といえば柳田国男氏、小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン氏が挙げられるでしょう。
『番町皿屋敷』『四谷怪談』など、日本は「怪談」の宝庫です。
マンガの水木しげる氏『ゲゲゲの鬼太郎』もたくさんの「怪談」を用意しています。
少し路線が違いますが、マンガの藤子不二雄A氏『笑うセールスマン』も読み手に恐怖感を与えるトラウマものです。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「スプラッタ/怪談/サイコホラー」です。
【推理】事件などを推理し、謎解きを行なう過程を主体とした小説。
「推理」ものは、事件を捜査する人と事件を起こした人との駆け引きを読ませる小説です。
代表作を挙げるときりがありません。
サー・アーサー・コナン・ドイル氏『シャーロック・ホームズの冒険』、アガサ・クリスティー『名探偵ポアロ』『ミス・マープル』、横溝正史氏『金田一耕助』のような「探偵」が出てくることが多い。
また今年亡くなられた内田康夫氏『浅見光彦』もたくさんの作品が遺されました。
刑事が活躍する推理小説は西村京太郎氏『十津川警部』が有名でしょう。
テレビドラマならピーター・フォーク氏主演『刑事コロンボ』、田村正和氏主演『古畑任三郎』のような倒叙的な推理ドラマがあります。
「倒叙的」とは、本来の推理ものは読み手がなんの手がかりもない状態から始まりますが、『刑事コロンボ』『古畑任三郎』は先に犯人と犯行を視聴者に示し、刑事が犯人や犯行を推理し犯人を追い詰めていく過程を描いているのです。
「倒叙的推理小説」は書くのが難しいため、一般的な推理小説を書いて腕をつけてから挑戦しましょう。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「ミステリー/サスペンス/探偵小説」です。
ちなみに『カクヨム』のジャンルでもある「ミステリー」は犯罪をテーマにして「推理」する意味です。『小説家になろう』でも「推理」ものを書いたら必ず設定しておきたい「おすすめキーワード」になります。
「サスペンス」は不安感・緊張感・懸念などを抱く意味があります。
だから「ホラー」や冒険小説などでも使えるキーワードなのです。
【コメディー】読者を笑わせることを主題とした小説。
「コメディー」はユーモアのある作品を指します。
読んでいて楽しいから読む手が止まらない。
だから「コメディー」は多くの読み手を虜にします。
ほとんどのジャンルの小説に取り入れられる要素です。
「ハイファンタジー」に「コメディー」を混ぜればライトノベルの暁なつめ氏『この素晴らしい世界に祝福を!』のような物語になります。
「現実世界恋愛」に「コメディー」を混ぜればライトノベルの渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』が現在の筆頭です。
本来ならそれぞれ「ハイファンタジー」「現実世界恋愛」ジャンルにすべきなのでしょうが、あえて「コメディー」として投稿することもあります。
投稿数の多い「ハイファンタジー」「現実世界恋愛」ジャンルに「コメディー」要素のある作品を投稿してもすぐに埋没してしまいます。
それなら投稿数の少ない「コメディー」として投稿したほうが「分がある」と考える書き手が多いのですね。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「ラブコメ」です。
『カクヨム』では「ラブコメ」ジャンルがありますので、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は「ラブコメ」ジャンルということになります。
【アクション】戦闘描写、アクションシーンを主体とした小説。
「アクション」は活劇ものであればどんな小説にも持ち込めます。
その中でとくに「バトルシーン」の分量が多いものを「アクション」ジャンルに指定するのです。
だから基本的にはそれぞれのジャンルに属すべき小説でも、「バトルシーン」が多くの分量を割いていれば「アクション」になります。
「ハイファンタジー」に投稿するとすぐに埋没してしまいます。
ですが「アクション」に投稿すれば、比較的長く検索結果三ページ以内に残ることができるのです。
そういう観点で言えばマンガの鳥山明氏『DRAGON BALL』やマンガの尾田栄一郎氏『ONE PIECE』なども「ハイファンタジー」というより「アクション」に分類できます。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「異能力バトル/ヒーロー/スパイ/冒険」です。
【ヒューマンドラマ】人と人との交流、人の一生、人間らしさ等を主題とした小説。
「ヒューマンドラマ」は「純文学」の一ジャンルだと思うのですが、『小説家になろう』では別ジャンルとして扱われています。
NHKの『朝ドラ』のような「人生録」が「ヒューマンドラマ」として扱えます。
ドラマ『渡る世間に鬼はなし』やマンガやアニメの『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』のような「ホームドラマ」も扱えるのです。
基本的にハッピー・エンドで終わる「人間の生き方」に焦点が当てられています。
ハッピー・エンドに向かっていたはずなのに最後はバッド・エンドで終わるような作品もあるのです。
だから「ホームドラマ」は和気あいあいとした雰囲気を楽しむものから、兄弟ゲンカやDVのような殺伐としたものまで幅が広いのが特徴になります。
仲が良いのもドラマになりますし、仲が悪いのもドラマになるのです。
長寿アニメの中では『ドラえもん』は「空想科学」ですけど、『それゆけアンパンマン』は「アクション」寄りの「ヒューマンドラマ」と見ることもできます。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「ホームドラマ」です。
『カクヨム』では「現代ドラマ」に含まれます。
【純文学】芸術性に重きをおいた小説。
以上の各ジャンルの中に入らないもののうち芸術性があるものは「純文学」に類するのです。
芸術性がなければ「その他」ジャンルに当たります。
「純文学」の花形はやはり「青春小説」ではないでしょうか。
石原慎太郎氏『太陽の季節』、村上龍氏『限りなく透明に近いブルー』、又吉直樹氏『火花』など、若者たちの青春時代を描ききった作品が芥川龍之介賞を受賞しています。
また「経済小説」「ビジネス小説」も人気があります。
『下町ロケット』「半沢直樹」『陸王』など数多くのビジネス小説を書いている池井戸潤氏を筆頭に、山崎豊子氏『花のれん』『白い巨塔』『華麗なる一族』、城山三郎氏『総会屋錦城』のようにこちらは直木三十五賞を受賞した書き手が多いのが特徴です。
また言文一致体が模索されていたときに書かれた、作品の主人公が筆者自身(と思われる)「私小説」も「純文学」に含まれます。
福沢諭吉氏『福翁自伝』、田山花袋氏『蒲団』、太宰治氏『トカトンカン』、松下幸之助氏『夢を育てる』といったものですね。
また『小説家になろう』では「ハードボイルド」も「純文学」に含まれています。
大藪春彦氏『野獣死すべし』、北方謙三氏『擬態』、伊坂幸太郎氏『グラスホッパー』、真保裕一氏『ホワイトアウト』、大沢在昌氏『新宿鮫』のような、ある種の信念・信条を持つ主人公を中心にした小説です。
親和性の高い「おすすめキーワード」は「日常/青春/ハードボイルド/私小説」です。
『カクヨム』ではこちらも「現代ドラマ」に属します。
最後に
今回で四篇に分けた「ジャンルの仕分け」を終えます。
おそらく最後の「純文学」がいちばんわかりづらいのではないでしょうか。
私もここが実はよくわかっていません。
とくに「芸術性」という言葉がなにを指しているのかが判然としないのです。
次回は「年齢制限」について述べていきます。
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