343.不調篇:書けなくなってしまったら

 今回は「小説は誰にでも書ける」ことについてです。

 前回「書けない」理由を明らかにしましたが、そこからいかにして書けばいいのでしょうか。





書けなくなってしまったら


 小説を書くことが当たり前なほど、あなたはたくさんの小説を書いてきましたか。

 おそらく一本の長編小説すら書けずに挫折していたのではありませんか。

「書きたい!」と思っていても、いざ書き始めると「こんなはずじゃなかった……」という状態に陥って手が止まってしまう。

 すると「私には小説は書けないんだ」と思うか「スランプになったようだ」と思うことになるのです。




小説は誰にでも書ける

 まず皆さんに理解していただきたいのは「小説は誰にでも書ける」ということです。

「えっ、私は書き始めたけど途中で手が止まってしまったんだけど」という方が多いと思います。

 でも安心してください。

 必ず書けるようになりますよ。


 まずあなたが書きたいと思っていた小説は「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の手順を経ましたか。

 もしいずれかを端折って書こうとすれば、手が止まって当然なのです。

 きちんと「プロット」までの四段階を経ていれば、あとは「プロット」をもとに小説の形に変換していくだけ。

 なんら困ることなどありません。


 もし四段階を経てなお「書けない」状態に陥ったらどうすればよいのか。

 とりあえず「書いて」ください。

「書けない」と思っていても暗中模索しながら書いていれば、いずれ書けるようになります。

 越えられない壁が立ちはだかっていて、その手前でじっとしていても壁は越えられません。

 暗中模索しながら壁を登り始めてみれば、フリークライミングの技術が上がっていき、いずれ壁を乗り越えられます。


 いっそ「当該シーン」を飛ばして執筆し、ある程度話が進んでから「当該シーン」に立ち戻り、改めて「書いて」ください。

 おそらく今まで書けなかったはずなのに、すらすらと書けるようになっている可能性があります。

 このときの「書けなかった」原因は「このシーンの先がどうなっているのかわからなくなった」であることが多いのです。

 だから「当該シーン」をいったん飛ばしてその先を書くことで、「このシーンのあとはこうなっているのか」という確定情報を手にしていれば、「当該シーン」が書きやすくなります。




スランプになったようだ

 現役で連載小説を書いている方が、あるとき突如として書けなくなることがあります。

 多くの書き手は「スランプになったようだ」と思いますが、実際には違うのです。

 そこから先のストーリーが固まっていない、ただそれだけ。

 連載小説は「結末エンディング」がぼんやりとしている状況で始めることがほとんどです。

 つまり今日投稿するぶんのストーリーを考えながら執筆していきます。

 先のことを決めていないわけですから、ネタ詰まりが起きて当然なのです。

 そうなると、一度使ったネタを焼き直して使うことになります。

 読み手は「またこの話?」と思ってしまうことでしょう。

 そう思われたら読み手が次第に離れていってしまいます。


 根本的に解消したいのなら、やはり一度「結末エンディング」を決めておいて、そこまでの流れを「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の順に作りあげるべきです。

 これで先のストーリーが固まり、再び筆が流れ出すようになります。

 もちろん今回決めた「結末エンディング」までのストーリーを途中で改変してもかまいません。

 そうすることで、ダイナミックなストーリー展開が現れてきます。




結末エンディングまでを決めておく

「書けない」と思う人も「スランプ」と思う人も、同様なのは「結末エンディング」を決めておらず、そこへ至る流れが見えていないということです。

 だからこそ初歩である「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」作りが重要になります。

 きちんとした「プロット」が定まっていれば、迷うことなく執筆できるのです。

「プロット」のとおりにストーリーを展開してもいいですし、気の向くままに改変することもできます。

 なぜ「書けない」のか「スランプ」なのか。

 根本は地道な「プロット」作りを疎かにしているからです。

 プロの書き手には「プロット」をすべて頭の中に構築してから執筆する人がいます。

 とくに論理破綻を起こしてはならない「推理小説(ミステリー小説)」の書き手は顕著です。

 紙に書き出すなりPCに入力するなり頭の中に記憶しておいたり多種多様ですが、「プロット」を必ず作っています。


 私は「気合いで書け」と言っているわけではありません。

 論理的に「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経て、執筆する前にストーリーを確定させてから書きましょうと言っています。

 地道にコツコツと基礎を造っておくからこそ、物語をその上に載せることができるのです。


「書けない」や「スランプ」に陥ってしまったら、「プロット」までの四段階を見直してください。

 それでもアイデアが湧いてこないようなら、小説を読んでくれそうな方に読んでもらいましょう。

 読んでもらったらどんな内容でもいいので、意見を聞いてください。

 おそらく「よくわからない」という答えが返ってくるはずです。

 それもそのはず。

「プロット」までの四段階がきちんと作り込まれていませんから。

 連載小説を勢いだけで突っ走ろうとすれば、必ず「書けない」状態に陥ります。

 これはどのレベルの書き手でも同じです。

「プロット」ががっちり固まっていれば、勢いをつけてもすらすらと先が書けます。

 だから「出たとこ勝負」で連載することは絶対にやめてください。

 処女作から「プロット」を作らずに連載ができる人もいることはいます。

 そういう人は「天与の才」があるのです。

 そんな人は本当に稀であり、誰もに具わっているわけではありません。

「天与の才」がある人は、いったん泉が枯れてしまうと続きがいっさい書けなくなります。

 才能に甘えて、基本である「プロット」作りを疎かにしているのですから当たり前ですね。

「文豪」と呼ばれた書き手たちでさえも、「天与の才」を頼って執筆して大きな壁に弾き返されてきました。

 凡庸な書き手である私たちは「文豪」よりも「天与の才」を持っている可能性が低いのです。

 だからこそ基礎である「プロット」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を必ず執筆前に作っておきましょう。





最後に

 今回は「書けなくなってしまったら」どうすればいいのかを述べてみました。

 小説を書くときは必ず「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を順に作り込んでください。

 それが先々の「書けない」「スランプ」を無くす最良の方法です。




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