339.執筆篇:趣味を持って外に出よう

 今回は「外に出る」ことについてです。

 小説を書こうという人、とくに「小説家になろう」と頑張っている人は四六時中、机にしがみついてPCとにらめっこしていませんか。

 それだとさまざまな不利益を招くことになります。





趣味を持って外に出よう


 小説を書く人は四六時中、机にしがみついてPCに文章を打ち込んでいると思います。

 でもその状況では早晩気を病むようになるのです。

 とくに発症しやすいのが「鬱病」だと言われています。

 他にもさまざまな依存症に苛まれるのです。




鬱病と依存症

 鬱病は「こだわりが強い」「集中力が高い」「几帳面」「義務感や責任感が強い」人がよく発病します。

「このメッセージを多くの人に読んでもらいたい」という「強いこだわり」と、小説を三百枚書ききる「高い集中力」が必要ですし、誤字脱字を無くしたり言葉遣いに気を配ったりするには「几帳面」でなければいけない。毎日連載や期日までに書きあげるのは「強い義務感や責任感」が必要です。

 つまり「小説を書く」というだけでどんどん鬱病のリスクを高めていってしまうのです。

 これらが揃っていても不安や不満を感じないだけのメンタルがあれば鬱病にはなりません。


 ですが「コンプレックスが強い」「満足できない」「強いストレスを抱えている」「自己承認欲求が満たされていない(心理学用語では単に「承認欲求」と呼びますが、わかりやすさのためにあえて「自己」をプラスしています)」「孤独を感じている」といった不安や不満があると発症しやすくなります。

 小説を書く人の多くは「自分に欠けているものを補おうとして作品を書く」「自分の書いた作品に満足できない」「満足に書けないから絶えずストレスがかかっている」「書いた作品が他人から評価されない」「だからといって周りに小説のことを相談できる人がいない」と上記のすべてが当てはまるのです。

 これで鬱病にならないほうがおかしい。


 鬱病になると、なにかに頼りたくなって依存症に陥ります。

 お酒に逃げてアルコール依存症、満たされないからギャンブル依存症、金銭を払って異性と事をなす性依存症、ストレスから逃げたくて薬物依存症。

「飲む打つ買う」の三拍子が待ち受けているのです。




不眠症

 またあまり自覚のない依存症として「不眠症」が挙げられます。

「不眠症」は頭が冴えて興奮して眠れなくなるのが原因となることが多いのです。

 小説を書いていると、絶えず頭の中で小説世界を展開して物語の続きを妄想していきます。

 すると眠らなければいけないときに急に着想を得てむっくりと起き上がってPCを起動して文書ファイルに打ち込むのです。

 これではおちおち寝ていられませんよね。

 こういうときは紙と筆記具を用意して枕元に置いておき、着想したらメモ書きして書いたことをすぐ忘れてください。

 いつまでも引きずっていると確実に「不眠症」になります。

 私も絶賛「不眠症」中です。

 麻酔系の睡眠導入剤を服用していますが効き始めるのは三時間以上経ってからとかなりの重症といえます。

 そこでかかりつけ医に相談したところ「寝るときは明かりをすべて消し」て「何も考えず頭の中を真っ白『無』の状態」にして寝床に就くように指導されました。

「不眠症」は本当に厄介です。

 寝入るまでに時間がかかり、その割に起きるのが極端に早くなる。二度寝ができても二時間弱。日中に強い睡魔が襲ってくるという具合に、一日通してのパフォーマンスを極端に下げてしまいます。




外に出る趣味を持とう

 このように小説を書く人は鬱病や依存症や不眠症に悩まされている人が多いのです。

 中高生の書き手だとこれに受験勉強という要素が伴ってさらに悩まされます。

 小説を書くには健康を犠牲にしなければならないものなのでしょうか。

 そんなことはありません。


 書き手の中には、物語の舞台となる土地へ「取材」に行く人がかなりの数います。

 こういった行動派の書き手は鬱病にも依存症にも不眠症にもならず、健やかに小説を書いています。

 いつも籠もって執筆する自宅から外に出て自然や他人の刺激を受けることが、鬱病や依存症や不眠症を防ぐ最も体によい解決法なのです。


 ということは、小説を書く人は積極的に外出したほうが断然よい。

 たとえば徒歩圏内のカフェを開拓してそこで執筆するとかラーメン屋巡りをするとかですね。

 小説を書くには知識が不可欠ですから、書店を積極的に巡って気になった歴史書やビジネス書などの書籍を買うのもいいでしょう。

 今の流行(トレンド)を知るために、売上上位の小説を買うのも後学になります。

 買った書籍は自宅で読まず、外出するときにカバンの中に入れて待ち時間に読むようにしましょう。

 自宅で読んでしまうと、結局外出する機会を失って鬱病や依存症や不眠症になります。


 また外出しなければできない趣味を持つのもいいですね。

 たとえば写真。

 外出をして空や星月や花や木やお店の外観、食事や犬・猫などを撮りまくります。

 習慣づけるために写真投稿型SNS「Instagram」を利用するのもよいでしょう。

「インスタ映え」を目指して外出すれば、良い気分転換になりますよ。




定時執筆

 ただしこれらはあくまでも「小説を書く」ために行なうことです。

 それ以外のことに熱中しすぎて「小説を書く」ことを疎かにしないでください。

 執筆に関しては土日は一般的な会社員の仕事時間と同じように午前9時から始めて午後6時には終わらせるようにしましょう。

 無職の方や絶対にプロになるために退路を断っている方も毎日この時間帯がオススメです。

 これ以上やっても生産性がありません。

 ほとんどの会社員がなぜこの時間帯に仕事をしているのか。

 それは「生産性が高い」からです。

 外出して気分転換するのもこの時間帯の中で行ないましょう。

 とくに書店は午前10時オープンのところが多いので、いっそ土曜日の午前中は書店で新作小説やビジネス書や趣味の本などを買う時間に充ててもいいと思います。


 学校に通っている方やお仕事をされている方は、できれば平日でも毎日2時間の執筆時間を確保してください。

 オススメは早起きして朝ごはんを食べた後に2時間執筆し、それから通勤通学に出かけることです。

 帰宅してから2時間書くのはかなりしんどい。

 学校や仕事で頭をフル回転させてきたわけですから、脳が疲れています。

 だから勉強や勤務より前に執筆すれば、パフォーマンスが高くて満足できる文章が書けるはずです。

「そこまでして小説を書く時間は確保したくないな」とお思いでしたら、連載小説を書くのはあきらめてください。

 連載小説は一度始めた以上、毎日・平日・土日祝祭日・毎週など必ず投稿ペースを守る必要があります。

 もし一度でも原稿を落として投稿しない日が生じてしまったら、信頼を取り返すのは至難の業です。

 仮にあなたがプロの書き手になったとしたら、その信用失墜はまず挽回できません。

 再び「小説賞・新人賞」に応募するところ、つまり振り出しまで戻されてしまいます。





最後に

 今回は「趣味を持って外に出よう」と題して述べてみました。

「小説を書く」には集中力が必要です。

 ですがあまりに集中しすぎて体を壊す人が跡を絶ちません。

 一度体を壊してようやく「あぁこのままのやり方ではダメなんだな」と気づきます。

 ですが、本コラムをお読みいただいたことで「このやり方ではダメ」だということがわかったはずです。

 ぜひ健康を保って執筆活動に取り組んでくださいね。




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