289.表現篇:将来のためになにを書くべきか

 今回は「将来」について考えてみました。

 執筆活動をしていて、将来どうなりたいのか。

 そのためにはどうすればいいのか。





将来のためになにを書くべきか


 書きたいものを書けるのならそのほうが気軽に楽しめていいや。

 そうお考えの方もいらっしゃるでしょう。

 でも心の底では「小説投稿サイトでもっと多くの人に読んでもらいたい」と思っているかもしれませんし、「書いた小説が大当たりして紙の書籍化されたらよいな」と思っているかもしれません。

 あなたが将来的に狙っているのはなんですか。

 まずはこれを明確にしましょう。




書きたい小説を書いてヒットさせる

 実はこれがいちばん難しい方法です。

 まず小説投稿サイトの利用を始めた段階では、あなたに読み手がついていません。あなたを追ってくれるフォロワーさんがひとりもいないのです。

 いくら面白い小説を投稿したところで、読んでくれる可能性はきわめて低い。

 たとえば最大手の『小説家になろう』では7時00分や8時00分、18時00分や19時00分の予約投稿をする方が多いので、そこだけで百件以上の投稿が集中します。

 もちろん読み手もその百件以上にすべて目を通すなんてできはしません。

 では読み手はどの小説を読んでいるのでしょうか。

 読み手はまずジャンルで検索をします。

 そこに特定の「キーワード」を用いてさらにふるいにかけるのです。

 その検索結果の一覧からどれを選ぶのかは、パラドックスになりますが「総合評価ポイント」の高い小説が読まれます。

「総合評価ポイント」は文章評価pt+ストーリー評価pt+(ブックマーク数×2pt)で計算されています。

 つまり誰かが評価してくれないことには、いくら連載を続けてもいっこうに読み手がつきません。

 とくに超長編小説で連載をしている場合、連載10回を超えても「総合評価ポイント」が0ptの小説は山のようにあります。

 あなたがあれだけ書きたかった待望の小説なのに、投稿してもいっこうにブックマークもされないし評価もされなくて「総合評価ポイント」が増えていかないのです。

 書きたい小説を書いてヒットさせることがいかに難しいことか。


 ではどうやってあなたに「読み手をつける」とよいのでしょうか。

 連載小説を突破口にして、とにかく書きまくる。そういう人もいるでしょう。

 投稿数の少ない『ピクシブ文芸』ならそれも「あり」ですが、『小説家になろう』ではオススメしません。

 投稿作品数の桁が違うからです。

 連載小説ではファンを作れない。

 ならどうすべきかわかりますよね。

 そうです。短編小説を書きましょう。

 短編小説を「連載」の形で投稿する手もありますし、「短編投稿」として一介の投稿で全文投稿する手もあります。


 まず「連載」の形で投稿する場合を見てみましょう。

 たとえば一エピソードを「起承転結」の四シーンに分けて、一つずつ投稿するとします。

 短編小説は一万五千字から二万字ほどが目安です。

 これを四シーンへ均等に分けたとすると、一回の投稿が四千字から五千字になります。

 だいたい十分で読め、通勤通学中に電車の中でさっと読める分量です。

 初回投稿に五千字を用いると十分で読めるという最大の利点が生まれます。

 だから「連載」で投稿する場合は6時から8時と、17時から19時に投稿するのが狙い目です。


 次は「短編投稿」として全文まとめて一回で投稿する場合を見てみましょう。

 短編小説は一万五千字から二万字ほどが目安ですから、読了に四十分ほどかかります。

 長めの通勤通学なら読めなくはないのですが、四十分もかかるとなればたいてい乗り換えをすることになるでしょう。

 だから通勤通学時間をターゲットにするのは分が悪いのです。

 「短編投稿」の小説を読むたいていの人は、昼食時および仕事や学校が終わって帰宅して食事を済ませてから読むことになります。

 だいたい12時および19時から20時を目安に検索を始めると考えましょう。

 つまり「短編投稿」であれば狙い目は12時過ぎおよび19時00分から20時過ぎになります。

 とくに大人向けの「短編投稿」であれば20時を過ぎてから投稿するのも一手です。

 主婦向けの「短編投稿」であれば昼食後やおやつ後の13時から16時に投稿してみましょう。


「連載」にしろ「短編投稿」にしろ、投稿してからいかに読ませるか、つまり閲覧数(PV)を稼げるかを考えなければなりません。

 閲覧数を増やすには「ジャンル」「キーワード」で検索のふるいに残り、表示された新着一覧の中で「タイトル」と「あらすじ」でいかに読んでいただくか。それを考えなければなりません。

「タイトル」についてはコラムNo.200「再考篇:タイトルの付け方」をご覧ください。

「あらすじ」についてはコラムNo.201「再考篇:キャッチコピーとあらすじ」が参考になるでしょう。




小説賞・新人賞を狙う

 各出版社ではたいてい年に一度「小説賞・新人賞」を開催しています。

 ここで受賞か佳作を獲れれば「紙の書籍」に近づけるのです。

 でも他にも投稿者はいますから、競争は激しくなります。

 しかし「小説賞受賞」「新人賞受賞」という肩書がつきますから、受賞できれば以後「紙の書籍」で安定して連載することもできるでしょう。

 もちろん内容が伴っていて売上もよいことが大前提ですが。


 競争率は賞によっても変わりますが、数百人から一万数千人はいると思ってください。

 ミステリーは二百人程度、ライトノベルは一万人以上が競い合っています。

 その中から「新人賞」を受賞するのはとても難しいですよね。

 しかも選考過程がわかりませんから、あなたの書いた小説がよかったのか悪かったのかを判断するすべがありません。

 ここが出版社の「小説賞・新人賞」に応募する最も危ういところなのです。

 よい小説を書いたのに受からなかったのか、悪い小説を書いたから受からなかったのかが応募者にはわからないのです。

 ですがやはり「新人賞受賞」「小説賞受賞」という肩書は是が非でも欲しいところ。

 どうすれば攻略できると思いますか。




小説投稿サイトの企画に応募する

「小説賞受賞」「新人賞受賞」の肩書がもらえて、かつあなたの書いた小説がよかったのか悪かったのかを判別する最良の方法がこれです。

 たとえば『小説家になろう』で募集されている「第六回ネット小説大賞」には2018年1月16日時点で8,274作品が応募されています。

 しかもそのバナーをチェックすると応募作の検索結果が表示され、「総合評価ポイント」も可視化されていますし、週別ユニークユーザもわかるのです。

 つまり「小説賞」に応募していても読み手のウケがよかったか悪かったかは一目瞭然。

「あなたの書いた小説がよければ『総合評価ポイント』が高くなる」ということが明白です。

 しかも普通の「新着」の「更新された連載中小説」「完結済みの連載小説」「新着の短編小説」で検索をかけるよりも反応がすこぶるよくなります。

 読み手も「どれ、この賞に応募してきた作品を品定めしてやろうか」という気持ちで、普通の投稿作品よりも確実に多くの人に読まれるのです。

 そして分母が増えますから「総合評価ポイント」も当然普通の投稿作品よりも高くなります。

 もちろん指定された「お題」や「制限」で小説を書かなければなりません。

 しかし読み手の反応を考え、自分の名前と作品を憶えてもらうには「小説投稿サイトの企画に応募する」のが最も手っ取り早いのです。

 ただ新設された「ネット小説賞」「ネット新人賞」だと受賞傾向がわからないので「ミスマッチ」を起こしやすい。

 ある程度実績と歴史と伝統のある、つまり「格のある」賞に応募しましょう。





最後に

 今回は「将来のためになにを書くべきか」について述べてみました。

 少なくとも現在は「小説投稿サイトの企画に応募する」のが最もすぐれたわかりやすい出世コースになります。

 肩書が手に入りますし、自分の小説がよいのか悪いのかも「総合評価ポイント」で可視化されているからです。

 さらにあなたのことを知らない読み手にも作品を読んでもらえます。

 こんな一挙両得どころか一挙鼎得の宣伝方法は他にありません。

 もちろん「応募作の質が高いこと」は言わずもがなでしょうが、どんなに質が悪くても今までよりも確実に「閲覧数(PV)は多く」なります。

 執筆するモチベーションを高められますので「自分の書きたい物語を書けばよい」と思い込まず、まずは「小説投稿サイトの企画に応募する」ところから始めてみましょう。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る