285.表現篇:ぐっと気を惹くタイトル(コラムNo.200補講)

 今回はコラムNo.200「再考篇:タイトルの付け方」に対してリクエストがございましたので、急遽一本仕立ててみました。

 とくに『小説家になろう』での「タイトルの付け方」に特化しています。





ぐっと気を惹くタイトル(コラムNo.200補講)


 小説投稿サイトで読み手が「これからどの小説を読もうかな」と思ったとき、なにを参考に選んでいるのでしょうか。

 まずは「ジャンル」ですよね。

 「ファンタジー小説」が読みたいのに「SF小説」を検索する人はいません。

 また『小説家になろう』においては「ハイファンタジー小説」「ローファンタジー小説」「異世界転生ファンタジー小説」「異世界転移ファンタジー小説」のうちどれが読みたいのか。

 これも絞り込めます。

 以上は大前提です。


 では次に絞り込む要素はなんだと思いますか。

 もちろん「キーワード」ですよね。

「男主人公」の「ファンタジー小説」が読みたいのか、「女主人公」の「ファンタジー小説」が読みたいのかでも読み手の層が分かれます。

 また「主人公最強」「俺TUEEE」「チート」な「無双」系の「ファンタジー小説」が読みたいのか、「悪役令嬢」な「ファンタジー小説」が読みたいのか。

 女性向けなら「ボーイズラブ」であったり「ガールズラブ」「百合」であったりと同性の恋愛ものが読みたい人もいますよね。

「恋愛小説」というなら「スクールラブ」なのか「オフィスラブ」なのか「乙女ゲーム」なのかというのも女性向けとしては付けておきたい「キーワード」です。


 ということで「ジャンル」を指定して「キーワード」で絞り込みました。

 あなたの画面には検索結果一覧が表示されています。

 ここからあなたが「これを読もうかな」と最初に注意を向けるものといえばやはり「タイトル」ですよね。

 その次に『小説家になろう』なら「あらすじ」、『ピクシブ文芸』なら「キャプション」を読みます。

 どちらもその小説の概略が書かれているので、本文を読む前で内容が気に入るか判断してからクリックされることになるのです。


 前段階が長くなりましたが、「タイトル」の重要性についてまずご理解いただいてから本文を読むと、納得しやすいと思いましたので、蛇足を承知であえて書きました。




本文を読ませるためのタイトル

 小説投稿サイトにおいて「タイトル」で最初の見当をつけるわけですが、どのような「タイトル」ならクリックされて閲覧数(PV)が増やせるのでしょうか。

 あなたが読み手になったときのことを考えてください。

「思わず本文を読んでしまいたくなるようなタイトル」が真っ先に挙げられます。

「こんなタイトルなら面白い内容になっているかも」

 そう思わせることができれば書き手の思う壺です。




ハイファンタジーTOP10のタイトル

 2018年1月13日の「ハイファンタジー」の日間ランキング上位10タイトルを並べてみましょう。

 1位:『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」とガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』kiki氏

 2位:『新米オッサン冒険者、最強パーティで死ぬほど鍛えられて無敵になる。』岸馬蔵之介氏

 3位:『最強の魔導士。ひざに矢をうけてしまったので田舎の衛兵になる』えぞぎんぎつね氏

 4位:『好感度が100%超えた魔物を人間化&武器化する加護がチートすぎるので、魔物娘を集めてハーレムパーティーを作ろうと思う』花京院 光氏

 5位:『聖女様を甘やかしたい! ただし勇者、お前はダメだ』戸津 秋太氏

 6位:『( ´・ω・`)勇者はお払い箱→まものの森でスローライフ→魔王認定される(←今ココ)→いい加減ぶちキレました→ずっと俺の無双ターン』すみもりさい氏

 7位:『俺が信じていた仲間は全員、悪徳勇者に送り込まれた刺客だった』瀬戸メグル氏

 8位:『最強勇者となった娘に強化された平凡なおっさんは、無敵の冒険者となり伝説を歩む。』延野正行氏

 9位:『冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する』斧名田マニマニ氏

 10位:『最低ランク職業【村人】を与えられた俺は、ダンジョンでハメ技を駆使して最強になりました』なおみつ氏


 この中で、1位だけが「女主人公」で「ガールズラブ」「百合」という「恋愛系キーワード」を使った作品です。「ハイファンタジー」ジャンルに「恋愛系キーワード」を盛り込むことで「恋愛」ジャンルからの検索にも引っかかるようにした合わせ技になっています。

 2位から10位まではいずれも「主人公最強」「最強」「無双」のいずれかの「キーワード」が付いています。もう「俺TUEEE」「チート」は『小説家になろう』では「死語」となったと見ていいでしょう。

「タイトル」の話をしようと思ったのですが「キーワード」だけでアクセス数が稼げることがよくわかるランキングでしたので言及してみました。




ハイファンタジーTOP10に共通する様式

 ではいよいよ「ハイファンタジー」のタイトルの付け方です。

 ちなみに上記した「ハイファンタジー」の1位から10位までに共通していることがあります。

 いずれも「○○だけど△△」という様式をとっているということです。

 1位は「勇者パーティーにいたけど追放された」、2位は「新米オッサン冒険者だけど死ぬほど鍛えられた」、3位は「最強の魔導士だけど田舎の衛兵になる」、4位は「魔物を人間化&武器化するのだけど魔物娘でハーレムを作りたい」、5位は「聖女様を甘やかしたいのだけど勇者はダメ」、6位は「勇者だけど魔王認定される」、7位は「仲間を信じていたのだけど全員刺客だった」、8位は「平凡なおっさんだけど無敵の冒険者となる」、9位は「冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけどのんびり人生を謳歌する」、10位は「村人だけどダンジョンで最強になった」、以上です。

 要約するといずれも「○○だけど△△」という様式になっていますね。


 今回は皆様からのご質問により『小説家になろう』でトップスコアを叩き出している「ハイファンタジー」ジャンルでの流行りだけを見てきました。

 最新ランキングは毎日確認すべきです。

 そのうえで流行りを押さえた「タイトル」を付けて「キーワード」を設定すれば、それだけで閲覧数(PV)は黙っていても上がっていきます。


 小説は「企画書」を考えて「あらすじ」を仕立て、「プロット」を作り込んでから「本文」を執筆する。

 この流れで連載を進めていくわけですが、初回投稿時に流行りの「タイトル」と「キーワード」を押さえることで、たとえ初回投稿であろうともかなりの「総合評価ポイント」が期待できます。

「タイトル」と「キーワード」は物語の内容を改めることなく変えられるのが利点です。

 もし「タイトル」と「キーワード」を押さえたにもかかわらず「総合評価ポイント」が伸びないようであれば、内容が気に入らなかったのか文章で物語が伝わらなかったのかです。

 内容が気に入らないのなら「ストーリー評価」が付きませんし、伝わらない文章なら「文章評価」が付きません。

 でも『小説家になろう』における「ハイファンタジー」ジャンルは評価をしていってくれる人の分母が大きい。

 たとえストーリー評価1pt、文章評価1ptと酷評されても、2pt稼げてしまいます。

 ブックマーク1件が2ptですから、いかに読み手の分母が多いジャンルが有利かがわかるのではないでしょうか。

 これで文章評価5pt、ストーリー評価5ptが付きまくれば、あっという間にランクインします。

 拙くてもそれなりに「総合評価ポイント」は稼げますし、巧みなら圧倒的な「総合評価ポイント」が稼げるのです。





最後に

 今回は「ぐっと気を惹くタイトル」として『小説家になろう』での「ハイファンタジー」ジャンルに絞って日間ランキングTOP10の「タイトル」を検証してみました。

 閲覧数(PV)を増やすためには「タイトル」だけではダメなのです。

 先に「キーワード」をどうにかしましょう。

 ジャンルの複合的な「キーワード」や、「主人公最強」「最強」「無双」といった「キーワード」が今の「ハイファンタジー」での流行りです。

 その「キーワード」で読み手の検索結果一覧に残れば、後は「○○だけど△△」の様式をした「タイトル」を付けます。

 なにも考えずに「キーワード」を設定し「タイトル」を考えて投稿してもダメなのです。

 小説投稿サイトには確実に「流行り」というものがあります。

 一時期は「俺TUEEE」「チート」が一大勢力でしたが、今は「主人公最強」「最強」「無双」と意味するところは同じなのに「キーワード」が微妙に変化しているのです。

「俺TUEEE」「チート」な小説も「主人公最強」「最強」「無双」の「キーワード」を付けることが可能になっています。

「タイトル」だって内容が同じでも柔軟に変化させられるのです。

 だから「キーワード」と「タイトル」は「流行り」を踏まえて付けるようにしてください。



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