261.表現篇:高速ライティングへの道(2/2)

 今回は「高速ライティング」の第二弾です。

 場数を踏むことで手に入れられるスキルですので、とにかく挑戦してみましょう。

 脳も効率よく使えるようになっていいこと尽くめですよ。





高速ライティングへの道(2/2)


 高速タイピングができるようになったら、いよいよ「高速ライティング」に踏み込みます。

「高速ライティング」とは「原稿の執筆時間を高速にする」ことです。

 私が実践している「小説を高速ライティングする方法」を紹介します。




プロットを可能な限り詳細に書いておく

 小説は「書き出し」からノンストップで結末まで書く必要なんてありません。

 先々の展開も考えず、とにかくやみくもに思い浮かんだことを高速タイピングするのは「高速ライティング」とは言わないのです。

 書き始める前に必ず「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の順で物語そのものを確定させてください。

 これらが曖昧なままで執筆を始めると、どうしても書きながら物語を練る時間も必要になり、結局執筆時間が余計にかかってしまいます。

 執筆時間を減らしたければ「企画」「あらすじ」「箱書き」「プロット」をしっかりと練りあげておく必要があるのです。

 その中でもとくに「プロット」が「高速ライティング」の鍵を握ります。

「プロット」を書くためには「箱書き」が必要です。

「箱書き」で「誰々が登場する、どんな天候でどんな時間でどんな場所で起こるシーンなのか」を明確にします。

 それを元に「プロット」で「誰がどの順番でどう行動してどう発言して誰がどんなアクションやリアクションをとるのか」といったところまで細かく決めておきます。

 つまり「プロット」ががっちりと組み上がっていれば、それを小説の形にして「高速ライティング」できるのです。




高速ライティング

「高速ライティング」の秘訣はとにかく「場数を踏む」ことです。

 あなたは毎日、ただ漫然と小説を書いていませんか。

 それでは「高速ライティング」は不可能です。

 つねにストップウォッチを使って、一回の投稿ぶんをどれだけ早く入力し終えるのか、「プロット」にでも書いておくとよいでしょう。

 そして「今日は昨日よりも早く書きあげよう」という意識を持って執筆するのです。

 こうして毎日の小説執筆で時間との勝負をしている書き手は、次第に「場数を踏ん」で「高速ライティング」へと移行していきます。

 毎日時間と勝負してください。

 昨日や一週間前や一か月前よりも速く書くのです。

 その意欲があれば「高速ライティング」のスキルは必ず上がります。

 そして「プロット」を「小説」にする段取りも見えてくるのです。

 これは言葉でどうこう言ってもまず伝わらないと思います。

 毎日時間と勝負して、よりたくさんの分量をより高速で書く努力をしていると、突然ブレイクします。




右脳と左脳のパイプを太くする

 頭の中で情景をイメージする右脳と、それを言語化する左脳との連携は、日々鍛えなければ身につきません。

 日々鍛えてさえいれば右脳と左脳を繋ぐパイプが必ず太くなり、「イメージを直接言語化できる」という執筆にとって理想的な状態となります。

 ですがその事実をほとんどの書き手は知りません。

 「執筆(PCへの入力)で頭を悩ませる時間が長いほど、良い小説になる」と勘違いしているのです。


 実際には「執筆(PCへの入力)で頭を悩ませる時間が短いほど、良い小説ができ」ます。

「頭を悩ませる」のは「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の段階だけです。

 執筆(PCへの入力)段階で頭を悩ませても意味などありません。

「がっちりと組み上がったプロット」さえあれば、それを右脳でイメージ化しやすくなります。

 そのイメージを左脳で言語化して、高速タイピングしていくことで、右脳と左脳をつなぐパイプは間違いなく太くなるのです。

 パイプが太ければ太いほど、右脳で思い描いたことを左脳で瞬時に言語化できます。

 その言語化を速めれば速めるほど「高速ライティング」に近づくのです。




高速ライティングとは

 つまり「高速ライティング」とは「右脳と左脳のパイプを太く」してイメージを即座に言語化する第一段。

 左脳で言語化したものをそっくりそのまま一次運動野を通してPCへ高速タイピングで入力していく第二段の二段階を指します。

 ちょっとイメージしにくいので、とくに意識する必要のないところを省きましょう。


 感覚的には「頭の中のイメージがダイレクトにPCへ高速で入力されている状態」のことです。

 この状態まで来れたら「高速ライティング」は完成と言っていいでしょう。

 小説を多作するためには、どれだけたくさんの物語の雛形を創れるかという能力と、どれだけ高速にPCへ入力していけるかという能力の二つが必要です。

 片方だけで多作はできません。

 物語の雛形をたくさん創れたら、今の連載が終わっても空白を入れずに次の連載を開始できます。

 高速にPCへ入力していけたら、論理的に二倍の速度で入力できれば二つの連載を同時進行できるということです。

 だから雛形と入力が揃わなければ「高速ライティング」とは言えません。




誰もが文豪に

 明治末期から昭和までのかつての「文豪」は、貴重な原稿用紙に向かって書いては消し、消しては書いてを繰り返すことで、一行ずつ小説を作りあげていました。

 しかし現在はPCやスマートフォンさえあれば原稿用紙など要らないのです。

 だからPCやスマートフォンを持っている人は誰でも「文豪」になれます。

 それも憧れていた「文豪」以上の書き手になれるのです。

 芥川龍之介賞(芥川賞)を授かって話題となったお笑い芸人ピースの又吉直樹氏は太宰治氏の大ファンであることを公言しています。

 そんな彼が『火花』で芥川賞を獲れたのも、PCがあったればこそです。

 あとは、どうやって物語を創るのか、その物語をどうやって文章で表現するのか。その力だけが純粋に要求されます。

「どうやって物語を創るのか」についてはこれまでの連載の中でひと通り述べてきたつもりですが、憶えていらっしゃるでしょうか。

「企画書」を立て「あらすじ」でエピソードを練り、「箱書き」でシーンを区切って、「プロット」でシーンの中の出来事の読ませる順番を確定させます。

 これができていれば「物語」をどう創るのかはもはや語るべきではないでしょう。





最後に

 今回は「高速ライティングへの道」の第二弾について述べました。

 すでに始まっている「表現篇」は例文を出すものと概念的なものを混ぜて投稿致します。

 例文を出すものはわかりやすくするため、概念的なものは周りのところに波及させるためと分けてあります。

「描写篇」で説明してあることはあまり出さないつもりです。

 そこで次回以降に進む前に「描写篇」をひと通り振り返っていただけると理解が早くなると思います。



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