252.意欲篇:匿名ならどんな不道徳も書けてしまう
今回は「ペンネーム」にまつわる話です。
私は作品の宣伝をTwitterでは推奨していますが、Facebookでは推奨していません。
それは「物語の内容」と本名が直結してしまうことによる不利益があるからです。
匿名ならどんな不道徳も書けてしまう
小説を書くとき、ペンネームを使う人がほとんどだと思います。
なぜでしょう。
実名で小説を書いて小説投稿サイトにアップしていると、知人の誰かに気づかれてしまう。そんな気恥ずかしいマネはできない。という人が大半でしょう。
しかしそれ以外でもペンネームにする理由があるのです。サブタイトルにありますね。
アマのうちはFacebookで宣伝するべきではない
社会を構成する一員として、道徳に反すること不躾なことふしだらなことなどを実名で書ける人はまずいません。
実名を使ってそんなことを書いていると、「あ、この○○さんはこんなこと考えているんだ」とレッテルを貼られてしまいます。
しかも世の中でなにか事件が起こると真っ先に疑われるのもこんな人です。
最近では著名なマンガ家が児童ポルノ禁止法違反で逮捕されましたよね。彼は下の名前を本名のまま使っています。児童ポルノDVDを販売していた人が逮捕され、購入者の追跡捜査によって彼にたどり着いたのです。本名を使ったことでやはり疑われてしまいました。
実名を使うことでいざこざを巻き起こすことがよくあるのです。
最近このような事態が増えてきました。その主因が『Facebook』です。
『Facebook』は実質「実名でつながるSNS」なので、書いた文章の内容は直接本人と結びついてしまいます。
だから『Facebook』をやっている人は、小説投稿サイトに投稿している作品のリンクを張ったり宣伝したりするべきではありません。
つながっている方たちからあなたの性格・性向・性質を疑われかねないのです。
登場人物が自殺するエピソードを書いてしまうと「自殺願望があるのかな」、登場人物が誰かを殺したら「殺したい奴がいるのかな」、探偵小説を書いたら「誰かのなにかが気になっているのかな」などと邪推されます。
リンクを張って投稿した当の本人は「どうせフィクションだし」と思いますが、『Facebook』は実名SNSなので、のちのち大騒ぎになることもあるのです。
もし『Facebook』で宣伝しても平気な「当たり障りのない小説」を書いたとすれば、出来あがった作品の出来は悪くなります。
不道徳なことを書けないので、対比が成立しなくなるからです。アマチュアであれば『Facebook』で宣伝しないほうがよいでしょう。
宣伝したいなら『Twitter』です。匿名で世界中に宣伝することができます。写真を趣味にしている方なら『Instagram』を使う手もあるでしょう。
日本では現在『Twitter』から『Instagram』への移行が緩やかに進んでいます。将来をにらめば『Twitter』で小説投稿サイトの作品を宣伝しながら『Instagram』にリンクを張るということも必要になってくるのではないでしょうか。
ただし「紙の書籍化」した、つまりプロになった場合は話が違ってきます。
「紙の書籍化」したわけですから、プロとしてなんとしてでも初刷を売り切る必要があるのです。
そのためには書き手も積極的に宣伝しなければなりません。
第一作目の初刷すら売り切れないようなら、次作の執筆は叶わないでしょう。
プロとして「小説を書く」ことを生業にしようというのであれば、『Facebook』で真正面から宣伝していく姿勢が求められます。
隠れていても売り切れる自信がおありなら『Facebook』を使わなくてもよいでしょう。
道徳に反することを書く
しかし小説ではどうしても不道徳なことを書かなければなりません。
綺麗事だけを書いても
不道徳な輩がいるから道徳心の篤さが引き立ちます。
不倫をする国会議員がいるから、妻や家族だけを愛する会社員の貞操さをより好ましく読ませることができるのです。
意地汚い輩がいるから躾の行き届いた人の良さが目立ちます。
このように、道徳に反することもあえて小説内に書いて明確な対比構造を作らなければ、物語が一面的で面白みに欠けてしまうのです。
中国古典はこの対比で埋め尽くされています。そのほうが君主を説得しやすいのです。だから皆が使います。
だからペンネームを使う
ここまでわかれば、書き手の多くがペンネームを使う理由もわかるのではないでしょうか。
もちろん文学小説や大衆小説では本名で執筆されている方も多く見られます。
ですがライトノベルや小説投稿サイトで活躍する書き手の大半がペンネームを用いるのです。また成人向け小説を本名で書く人はまずいないのではないでしょうか。
ペンネームを使うからこそ書けることがあります。
ライトノベルであったり小説投稿サイトであったり成人向けであったりといった「妄想の多い作品」の場合、実名を使うと不利益になることのほうが多いのです。
それでもあえて本名を使って書きたい人もいるのではないでしょうか。
とくに小説投稿サイトを利用して文学小説や大衆小説を書く人は「実名でもいいや」という方もいそうですね。
それでも小説投稿サイトでは実名を避けるべきだと思います。
いつ「ペンネームを使うべき作品」を書くことになるのか、誰にも見通せません。
出版社の方が、小説投稿サイトに大衆小説を載せてウケがよかった人に「ライトノベルでも書いてみませんか」と打診してこないとも限らないのです。
そのとき初めてペンネームを付けることになると、実名で獲得した読み手がペンネームでの活動に気づかなくなるという弱点があるからです。
それではあまりにももったいない。
ライトノベルや小説投稿サイトや成人向けではペンネームを用いながら、文学小説や大衆小説の「紙の書籍」だけは実名や別のペンネームで勝負する、という方も実際におられるようです。
最後に
今回は「匿名ならどんな不道徳も書けてしまう」ということについて述べてみました。
文学小説や大衆小説では実名を用いて活動されている方が多く、ビジネス書であればほぼ実名だけしか使いません。
さまざまな「妄想」を交えるライトノベルや小説投稿サイトや成人向けの作品を発表するときは、たいていペンネームを用いるものです。
また小説には「対比」が欠かせません。「対比」があるから主人公のなにげない一面がひときわ目を惹くようになります。
主人公の道徳心を書きたければ、誰かの不道徳を書かなければ強い印象を残せないのです。まさに「対比」になります。
この「誰かの不道徳」をリアルに書こうとすればするほど、書き手の人格が問われてしまうのです。
だから不道徳なことを書くのであればペンネームを用いて、作風を切り分けましょう。
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