244.意欲篇:忙しいと計画を忘れる

 前回に引き続き「計画」について述べました。

 いくら「計画」してもいっこうに実行できない方はいませんか。

 それは「忙しさ」が原因ではありませんか。

「忙しさ」を理由に「計画」を反故にしては「計画」を立てた意味がありません。





忙しいと計画を忘れる


 前回述べたように「計画」がないと「誘惑」に負けます。

 しかし「計画」を立てても負けてしまうものがあります。

 それが「忙しさ」です。




忙しいと時間が圧迫される

「今片づけなければならないことがあって忙しい」と感じている人は、たとえどんなに周到な「計画」を立てていても忘れてしまいます。

「今片づけなければ」の意識が強すぎて「記憶の優先度」の第一位であった「小説を書く」の上に「今片づけなければ」という事項が載っかるのです。

 それにより「計画」を圧迫してしまうのです。さながら漬物石のように。

 どんなに周到な「計画」を練っていても、「忙しさ」は「記憶の優先度」の第一位よりも上に飛び載ってしまいます。

「計画」を立てたんだけど、いっこうに実行しない・できない人の申し開きは決まって「今忙しいから計画を実行できません」というものです。

 それが本当に「計画」よりも上を行くほどに「重要な忙しさ」なのでしょうか。

 まずはそれをはっきりさせる必要があります。




夢か現実か

 ではあなたが立てた「計画」よりも「忙しさ」のある今の仕事のほうが、あなたの将来を左右するような意義はあるのでしょうか。

 たとえば「プロの書き手になる」計画よりも「今の職場で課長になるための忙しさ」のほうが、あなたの将来を左右しますか。

 これはある種の「究極の選択」です。

 夢である「プロの書き手」を選ぶのか、現実である「職場の課長」を選ぶのか。

 先の見通しの悪い夢を追い続けるのか、将来が安定する現実を手にするのか。


 もし「職場の課長」のほうが自分の将来を左右するだろうと思うのでしたら、いったん夢を諦めて現実を追いかけてください。

 そのほうが家庭を持ちやすいでしょうし、戸建てやマンションなどを買うこともできます。安定した生活、波乱のない人生を歩めるのです。

 お金で解決できることは確かにあります。

 夢である「プロの書き手」になるにはかなりの遠回りをすることにはなるでしょう。

 でも課長としての職務に慣れて時間に余裕が出来てから、改めて「プロの書き手」を目指してもよいと思います。

 そうやって大成したプロの書き手も数多くいらっしゃるのです。

 だから恥じることなく安定した収入を得るようにしましょう。


 もし「プロの書き手」のほうが自分の将来を左右するだろうと思うのでしたら、現実はほどほどにして夢を追いかけてください。

 やり甲斐はありますが、「プロの書き手」になれなければ安定した収入は得られません。

 だからお金には苦労するはずです。それでも夢を追い続けている最中は充実感が得られます。

 お金では解決できないこともまた確かにあるのです。




プロになりたければ忙しさを言い訳にしない

「記憶の優先度」が「計画」の遂行を左右します。

「小説投稿サイトで小説を連載する」程度の「計画」であれば、「仕事で安定した給与をもらう」ほうを優先すべきでしょう。つまり「仕事」を第一位、「小説を連載する」を第二位にするのです。

 そのほうが心置きなく趣味で「小説を書く」ことができます。

 安定した収入があって、空いた時間に「小説を書く」だけでいいのです。

 小説投稿サイトにはそういう方が大勢いらっしゃいます。

 だから初めのうちは「仕事」を「記憶の優先度」の第一位に、「小説を連載する」を第二位にすればいいのです。


 しかし「プロの書き手」になると決めたら、それよりも「記憶の優先度」の高い事柄を意識に載せないようにしてください。

 どんなに「忙しい仕事」が来ても「小説を書く」ことを優先させるべきです。

 逆に言えば「小説を書く」ことを生活の中心にして、そのあまりの時間で「仕事」をしましょう。「記憶の優先度」において「プロの書き手になる」を第一位、「仕事」を第二位にするのです。

 そのくらいの割り切りが必要になります。




プロに匹敵する筆力はありますか

 ただし自分の正確な筆力がわからないのに「プロの書き手」を目指すのは絶対にオススメできません。

 小説投稿サイトに投稿した作品がしょせん100ポイントの評価もとれないのに「プロの書き手」を目指しても、誰も注目なんてしてくれませんし期待もしてくれません。

 だから、まずは筆力を高めることに注力してください。

 小説投稿サイトで高い評価を得られたら、筆力に自信が持てるようになります。

 そうやって努力を重ねてランキングに載るようになれば、その段階でようやく「プロの書き手」を目指せるのです。

 そのときに改めて「計画」を練り直しましょう。

 「記憶の優先度」の第一位に「プロの書き手」を、第二位に「仕事」を据えればいいのです。


 だから性急に「プロの書き手になる」ことを金科玉条にして不定職に就く必要なんてないのです。

 まずは定職に就いて安定した収入を確保してから、その空いた時間で小説投稿サイトに作品を投稿しましょう。

 社会人としての経験があったほうが「知識」は増えます。小説の厚みが増すのです。

 さまざまな職種を経験すると広く浅い「知識」になり、ひとつの職種だけを専門に経験すると狭く深い「知識」になります。

 どちらがよいかはありません。

 専門職の「狭く深い知識」があれば、それを題材とした小説を書くことに向くのです。池井戸潤氏のように経済小説や企業小説といった狭いジャンルで光り輝くことができます。

 反対にさまざまな職種の「広く浅い知識」があれば、さまざまな職業を体験してきましたから、さまざまなキャラの立ち居振る舞いを一処に集めたバラエティー豊かな小説を書けるでしょう。

 だからまずは定職に就いて安定した収入を確保するべきです。





最後に

 今回は「忙しいと計画を忘れる」ことについて述べてみました。

 あなたがどんなに周到に「計画」を立てても、「忙しく」なると「計画」は反故にされやすいのです。

 でもその「忙しい」ことは、あなたの「計画」において第何位に位置しますか。

 前回「小説を書く」ことを第一位に、「仕事」を第二位に据えた方が多かったのではないでしょうか。

 それなのに、第二位の「仕事」の「忙しい」を第一位の「小説を書く」の上に持ってくるなんていうのは誤りなのです。

 しかし、「計画」はあなたの実力も加味して「記憶の優先度」を立てましょう。

 まずは「仕事」を第一位に、「小説を連載する」を第二位にします。

 そしてもし小説投稿サイトでランキングに載るようになったら、改めて「計画」を練り直せばいいのです。



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