234.描写篇:書評してみよう
今回は「他人の小説を書評しよう」というお題です。
他人の長所がわかるようになると、自分もその要素に目覚める機会が訪れます。
積極的に書評するのも修行としては「あり」です。
書評してみよう
あなたは日頃どれだけ文章を読んでいますか。
小説に限らず、新聞や雑誌、ビジネス書やマネー書や中国古典などの自己啓発本、日頃の業務報告書、もちろんマンガや絵本でもかまいません。
とにかく文章をたくさん読みましょう。
良質なアウトプットをするためには、良質なインプットが欠かせません。
でも日頃読んでいるのは拙い文章ばかりの可能性もありますよね。たとえば小学校教師であれば、生徒の作文や読書感想文ばかり読んでいるということもありえるのです。
学生・生徒だから教科書だけを読まなければならない。そう凝り固まる必要はありません。たまの息抜きとして小説やマンガなど勉強以外の作品を読んだほうがストレスを抱えずにかえって好成績につながるのです。
だからといって小説やマンガなどだけを読むのはあべこべですけどね。
とにかく質の良い小説を書きたければ、かなりの量を読み込む必要があります。
小説を書きたければ速読は禁止
速読は文章の流れや表現を読まず、文字情報だけを脳に記憶させているに過ぎないのです。
だから速読したらせっかく小説をたくさん読んだとして、なにも手に入りません。
脳に文字情報が記憶され、どんな内容だったのかは思い出せるはずですが、それがどのような流れや表現をしていたのかまでは感じ取れないのです。
流れや表現は精読しない限り理解できません。一字一句を噛みしめながら読むことで、ようやく見えてきます。
速読は「記憶したいもの」を単純に脳へインプットするときには有用です。でもどんな流れや表現で書かれているかは脳で記憶しただけでは理解できないのです。
文章の内容を理解するのは脳ではありません。心です。
パッと見だけで流れや表現まで読めてしまえる人なら速読しても表現力が身につきます。
さらにより多くの小説が読めるため、成長が速くなるのです。
速読するならそのレベルまで極めなければなりません。でも一朝一夕で身につくものでもないのです。
まずは一度精読して、それから速読で読み返していけば、速読でも流れや表現まで脳で理解できるようになります。
だから速読派の方でも最初の一回は精読すべきでしょう。
その作品は何を伝えようとしていましたか
あなたが読んだ小説やマンガ、ビジネス書や古典などは「何を伝えよう」としていましたか。
それを考えながら文章を読むべきです。
そうすることでその文章の「テーマ」を見つけることができます。
ただ漠然と読むだけでは「テーマ」に気づかないものです。
とくに速読で読んでいる方は精読していないため文脈をしっかりと追えませんから、「テーマ」を見過ごす可能性が高くなります。
せめて小説だけでも精読して「テーマ」を見つける努力をしましょう。
きっと読むたびにさまざまな「テーマ」を発見できますよ。
どのエピソードがよかったですか
あなたが読んだ作品の中で、どの部分「エピソード」に心が動かされましたか。
読んでいて「ワクワク・ハラハラ・ドキドキ」したのはどの「エピソード」でしょうか。
あなたの心を動かす題材、「心に痕跡を残す」題材がどんなものかわかれば、自分の書きたい「エピソード」も見えてきます。
同じ作品を読んでも人それぞれに心を動かされる「エピソード」は異なるでしょう。
そういったエピソードを発見するためにも、良い「エピソード」を積極的に見つけていく習慣をつけるべきです。
とくに小説投稿サイトで自分のよく書くジャンルでランクインしている作品を積極的に読んで「なぜこの作品は人気があるのだろう」と疑問を持つ意識が必要です。
そこから必ず「人気の出るエピソード」が見えてくるようになります。
どの表現がよかったですか
「心に痕跡を残す」エピソードを見つけたら、その中でどの表現がとくに心に刺さったのかを見つけていきましょう。
その表現を見つけようと何度も精読していけば、人気が出ている要因を見つけることができます。
こうやってどんどんと的を絞っていくことで、より多くのことが身につくのです。
そのためには、とにかく「意識する」こと。
意識していないことからはいつまで経っても気づきを得られません。
「意識する」ことで初めてアンテナが動くのです。そのアンテナは指向性のものになります。
つまり方向をしっかり合わせないと何も引っかかりません。
どの部分が「他よりよかった」のか。それを意識しながら読まなければ気づかないわけです。
だから速読を禁止しました。
速読は一瞬で脳に文字情報を焼きつける行為です。だから速読した人には「記憶」しかもたらしません。
情緒が感じられないのです。
どんな名文であろうとも、ただの「記憶」で片づけられます。
名文は精読しない限り「良さ」に気づけないのです。
たまには別のジャンルを読もう
あなたが「異世界転生ファンタジー」をよく書くとします。
それなら『小説家になろう』にたくさん投稿されているから、そこで「異世界転生ファンタジー」をたくさん読めば、よりよい作品が書けるのではないか。そう思いますよね。
でも違うのです。
同じジャンルの作品ばかり読んでいると、記憶に「惰性」が生じてしまいます。
つまり憶えているはずがまったく憶えていない状態になるのです。気づけるはずのことに気づけなくなります。
それではまったく意味がありません。
ではどうすればよいのでしょうか。
標題にありますね。そう「別のジャンル」の作品を読むことです。
「異世界転生ファンタジー」の書き手であっても「恋愛」や「ミステリー」などを読めば、多様性のある作品に興味が湧いてきます。それらを書けるようになれば大きな武器にもなるのです。
ただの「異世界転生ファンタジー」ではなく、「恋愛要素のある異世界転生ファンタジー」「推理要素のある異世界転生ファンタジー」が書けるようになります。
書き手としてのあなたの可能性を広げるためにも、ぜひ別のジャンルの小説をたくさん読んでください。
最後に
今回は「書評してみよう」と題して述べてみました。
他人の小説を批評することで、あなたの心の中でどういったエピソードやシーン、表現が人の心を動かすのかを理解できます。
自分の小説を批評してもあまり得るところがありません。しょせん自分で書いたものだからです。
質が高いわけではない作品を何度も読むことで、かえって花が咲くはずの芽を摘んでしまうおそれがあります。
その点「紙の書籍化」された作品や小説投稿サイトでランキング上位の作品をひたすら読むことで、気分が高揚してくるのです。自分の物語の創作意欲を湧き立てましょう。
だから他人の小説を批評して、どこが良かったのかを見つけ出すことに意義があるのです。
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