220.描写篇:書くことを好きになる
今回はタイトルどおり「書くことを好きになる」ことについて述べました。
「見返り」を求めるのではなく「面白い」から「楽しい」から「小説を書く」べきです。
書くことを好きになる
やりたいことをやればいい。
簡単なことだけどモチベーションとしてはかなり重要な話です。
そしてやりたいことが自分の好きなことであれば、誰に言われるでもなくすでに取りかかっていると思います。
皆様は「小説を書きたい」と思っていてもまだ踏み出せない。または「とりあえず書き出したんだけど、三百枚書くのはしんどい」と思っているのではないでしょうか。
なぜ踏み出せないのか。
文章に拙い自分が小説を書いても、誰も喜ばないのではないか。拙い小説を書いて批判されるのが怖い。
それって読み手から「見返り」を求めていませんか。
あなたがやりたいことは、誰かから「見返り」が欲しいからやりたいのですか。
それは少し違っているような気がします。
認められたいからでは書けない
「見返り」を求めるのは自己承認欲求によるものです。
(心理学では「承認欲求」とだけ書きますが、わかりやすくするためにあえて「自己」を頭に付けています)。
人は誰しも「誰かに認められたい」と心の奥では思っています。
しかし、そもそも「小説を書く」ことは「見返り」をもらうために行なうものではないはずです。
「誰かに認められたい」から、最も手軽な芸術である「小説を書く」。
それでは長編一本書きあげることさえままならないのです。
まぁ最初から原稿用紙三百枚前後、十万字前後書くのはオススメしません。
ですが「誰かに認められたい」のであれば、たいていはどこかの「小説賞・新人賞」を目指して書くことになりますよね。
そうであれば求められるのは三百枚であり十万字です。
「誰かに認められたい」という自己承認欲求だけでこれだけの分量を書こうとすればまず挫折します。
「書き出し」をどうすればいいのかで悩み、とりあえず冒頭を書いてみては「なんか違うんだよな」と思って削除する。その繰り返しでまったく先に進まない。
よくある話です。
自己承認欲求は後からついてくるもの。
当面は「自分がやりたいと思っていること」をやって、その結果として「誰かに認められ」ます。
つまり順序が逆なのです。
小説を書くのは面白いですか
どんな分野でもかまいません。
できるかぎり多くのことに挑戦してみると「やっていて面白い」と思うことがいくつか見つかるはずです。
その中に「小説を書く」が入っている人だけは「やりたい(小説を書きたい)」というモチベーションが高まります。
もし「小説を書く」ことが「面白い」と思えなかったら。
仮に新人賞や小説賞をとった後どうやって「小説を書く」ことを続けていきますか。
だって「面白い」と思えないことなんですよ。
お金になるからとしても「苦行」以外のなにものでもありません。
芥川龍之介賞を獲っても次作の発売が年単位であいてしまう人がいますよね。
そういう人は「腕試しに小説を書いた」程度の意識しかなかったのではないでしょうか。
もし「小説を書く」のが「面白い」と思っていれば、三か月に一作というハイペースでもどんどん書いてしまいます。
出版社としても芥川賞作家が新刊をどんどん出してくれればまさに売りどき稼ぎどきです。
儲けを出したいからできるだけ早く新刊を書いてほしいはず。
それなのに次作が数年後。それでは出版不況にもなるわけです。
空き時間があったら「小説を書く」くらい「面白い」と思えるかどうか。
まず腹をくくってください。
楽しくなるのはかなり先の話
では腹のくくり方を紹介します。
前回の遊びであった、小説の「企画書」をできるだけたくさん考えてみてください。
「企画書」とは「誰がなにをする話」かという小説の最小単位のことです。
ひとつも思い浮かばない人は論外、ひとつから一桁しか思いつかないようなら「小説を書く」ことに向いていません。「小説を書く」夢は諦めましょう。
二桁以上思い浮かぶようなら、書き方さえ憶えれば数を重ねることで必ず「小説を書く」ことが「楽しく」なってきます。
とりあえず原稿用紙の枚数や文字数を決めずに、好きなように「小説を書いて」みましょう。書きあげたら必ず小説投稿サイトへ「いくつかに分けて」連載投稿するのです。
おそらく最初のうちは誰からも見向きもされません。
だから「見返り」を求める人は自己承認欲求が満たされずフラストレーションを溜めていきます。
そうなると「小説を書く」ことが「苦行」になって長続きしなくなるのです。
だから「見返り」を求めてしまう人には「小説を書く」ことをオススメできません。
最初に考え出した「企画書」をすべて小説にして小説投稿サイトへ投稿します。
それでもまったく反応がないようなら、宣伝が足りていない可能性があります。『Twitter』などを利用して自分の小説を世間にアピールしましょう。
誰かが読んでくれた。それだけで嬉しくなれる人は「書き手」向きの方です。
でも閲覧者だけいるのに評価はされないか低評価。それは書き方がまだ拙いためでしょう。もっと「小説の書き方」を極める必要があります。「拙い文章」から面白く読める「巧みな小説」へと進化させてやるのです。
「巧みな小説」になれば閲覧者がいれば必ず評価されます。つまり他人からあなたが認められるということです。
自己承認欲求はここにきてようやく満たされます。だから最初から「誰かに認められたい」と「見返り」を求めて「小説を書く」のはダメなのです。
イラストならパッと一瞬見ただけで誰もが良し悪しを判断できます。だから評価されやすい。
『pixiv』に投稿されるイラストもサムネイルを一瞬見て良さそうならクリックして大きな絵を見ます。そこで全体像を把握してよければ「いいね!」を付けますしブックマークに加えますよね。
アニメは一話二十五分を観て良し悪しを判断するはずです。絵柄だけで切る人は最初から数に入りません。物語の内容を観て判断してくれる人だけを相手にしているのです。
しかし「一次元の芸術」である小説は、最後まで読むのに時間がかかり正当に評価されるまでにもさらに長い時間がかかります。
小説を書くことが好きになる
「小説を書く」ことが「やりたい」ことなら「企画書」はいくらでも湧いてきますし、それを文章にしていくのにも苦労しません。
「やりたい」ことをやり続けることで「好きになっ」ていくのです。
「好きになる」といくらでも「小説を書い」ていられます。
誰からも評価されなかったとしても書くのです。だって「小説を書く」ことが「好き」なのですから。
「小説を書く」ことが「好きになれ」ば、「拙い文章」を「巧みな小説」に変えていくことにも積極的になります。貪欲に技術を吸収しようとし始めるのです。
だから「やりたい」ことをやる人はしっかりと深く根を張りぐんぐんと幹や枝が伸びていきます。
今は「小説を書く」ことが「やりたい」と思わないのであれば、とにかくたくさん小説を読みましょう。小説投稿サイトに掲載されているランキング上位の小説を片っ端から読みましょう。何も考えずに読みましょう。
読んでいるだけで「こんな小説を書いてみたいな」と思い始めるはずです。
そこから「小説を書く」ことが「やりたい」ことに転化されていきます。
衝動がないのに「小説を書く」のはかなり難しいのです。
「こんな小説を書いてみたいな」という衝動が生まれれば「小説を書く」ことが「面白く」感じられるようになって「好きになり」ます。
たった一本の「企画書」だけかもしれませんが、書きたい小説の姿が頭の中でイメージできているのなら、そこからが「学び」の始まりです。
最後に
今回は「書くことを好きになる」ことについて述べました。
初めのうちから「小説を書く」ことに「見返り」を求めてはなりません。
まずは枚数や文字数を気にせず「書きたいように書いてみる」のです。
そして「小説を書く」のって「面白い」と感じられたら、「小説を書く」ことは「やりたい」こと「好きな」ことになります。
「やりたい」こと「好きな」ことだからどんな状況であっても小説を書き続けられるのです。そして向上心も芽生えます。
向上心により「拙い文章」が「巧みな小説」へと変わったとき、初めて他人から評価されて「楽しい」と思えるのです。
最初から「誰かに認められたい」とは思わないでください。「巧みな小説」が書けるようになって評価が得られたら初めて「誰かに認められた」と喜びましょう。
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