207.再考篇:やりたいことだけやってみよう
今回は「やりたいことをやる」ことについてです。
当たり前なのですが意外と見過ごされやすいので一篇書いてみました。
やりたいことだけやってみよう
人が最も意欲的に物事に取り組むのは「やりたいこと」をやるときです。「やりたくもないこと」をやらされたら誰だって投げ出したくなります。
あなたにとって「小説を書く」ことは「やりたいこと」ですか。「やりたくもないこと」ですか。あるいは「とくにやりたいとは思わないけど、うまくすれば夢の印税生活が手に入る」という楽観論かもしれません。
やりたくもないことはやらない
もしあなたが「小説を書く」ことを、できれば「やりたくもないこと」だと感じているのなら、潔く筆を置きましょう。
小説投稿サイトに小説を投稿したら、予想外にウケてしまって次作を求める声が日に日に高まる。という事態は発生しえるのです。
このときに「小説を書く」ことが「やりたいこと」なのであれば楽しく執筆活動を続けていけます。
ですが、できれば「やりたくもないこと」だと感じていたら、「次作を書いてほしい」という声がプレッシャーとなりストレスにしかなりません。
ストレスを感じるようなら、いったん小説投稿サイトから離れましょう。あなたにとっては「ほんの思いつきを小説にしてみただけ」のことだった。それなら次作を求める声を聞かないように小説投稿サイトから離れていればいいのです。たったそれだけでプレッシャーは感じずストレスにもなりません。
夢の印税生活は本当に夢でしかない
「うまくすれば夢の印税生活が手に入る」と思っている方も多いと思います。ですがそれは本当に「夢」でしかないのです。
まず印税生活を始めるためには「紙の書籍化」もしくは「電子書籍化」しなければなりません。
紙の書籍化に関しては出版社との付き合いになります。そして出版社から「こういう小説を書いてください」と提示されるのです。「あなたの新作ならどんな内容でも書籍化します」と言ってくる出版社は決してありません。
そんなことを提示してくる出版社はたいてい共同出版を勧めてきます。
共同出版とは「提携している書店に書籍を置く」ために書き手へ印刷代金等を請求してくるのです。
そして売れずに出版社に返品されてくれば「倉庫代」として月々支払いが発生していきます。
出版社はリスクをまったく負わず、書き手にリスクをすべて背負わせてくるのです。
そんな契約を要求してくるような出版社にはかかわらないでください。あなたが損をするだけです。
出版社からは「こういう小説を書いてください」と内容を指定されます。書き手であるあなたが書きたい小説を書かせてくれないのです。
ただし小説投稿サイトで人気が出た連載小説を「紙の書籍化」している間だけは、書き手が書きたいように書けます。
しかしその連載も売上が悪くなれば「そろそろ連載を畳んでください」と要求されるのです。書き手には権限がありません。
まっとうな出版社は損益分岐点をつねに意識しています。売れる小説は続編を書かせ続け、売れなくなったら畳ませるのです。
書き手の好きなようには書けません。
つまり「うまくすれば夢の印税生活が手に入る」という理由で小説を書いていたとして、もしうまい具合に「紙の書籍化」を果たしたら、待っているのは締切が控えている苦行になります。「印税生活で左団扇で暮らす」なんていうのは「夢のまた夢」なのです。
その点「電子書籍」にするときはかなり自由に書くことができます。まだmacOSの『iBoook Author』では縦書きの「電子書籍」は作れませんので、たいていはPDF形式になるでしょう。(ワープロソフトの『Pages』に縦書き入力とブックストアへのアップロード機能が付いたので、Macの方はこちらで縦書き小説を「電子書籍化」できます)。
電子書籍のよいところは「データなので在庫リスクがない」ことです。だから書き手が好きなように書いても出版社は痛くも痒くもありません。
「紙の書籍」の出版権を有する出版社と交渉して、「電子書籍」としてだけ販売してもらうこともできるはずです。このあたりは契約次第なので、出版社と契約するときはある程度書き手側にも裁量がある形にしておくとよいでしょう。
やりたいことだけやる
小説投稿サイトに作品を投稿する人の中で、最も幸せなのはどんな人たちでしょうか。
「小説を書くのが好き」で「できるだけ多くの人に読んでもらいたい」と思っている人たちです。
「印税生活」を目指して書く人はなかなか「紙の書籍」の話が来ないので、そのうち小説を書くのが嫌になってきます。ムダな時間を費やしたに過ぎません。
「小説を書くのが好き」だから小説を書いて小説投稿サイトに作品を投稿する。
つまり「やりたいことだけやる」から長続きします。
たとえ誰も読んでくれなくとも自分は「小説を書くのが好き」だから小説を書くんだ。
そう思える人だけが、向上心を持って「小説を書き続ける」ことができます。
「やりたいこと」だから、どんな苦難が待ち受けていてもお構いなしです。
登山家の名言に「なぜ山を登るのかと問われれば、そこに山があるからだと答える」というものがあります。
小説に直せば「なぜ小説を書くのかと問われれば、書きたい物語があるからだと答える」ということです。
「書きたい物語がある」から「小説を書く」。「やりたいことがあるからやる」わけです。
それならいっそ「やりたいことだけやる」ほうがいいと思いませんか。
あなたにとって小説を書くことが「やりたいこと」なのかどうかをまず見極めてください。
「書きたい物語がある」しかも「山のようにある」という人は、必ず大成します。
たったひとつの物語を、手を替え品を替え書き直し続ける人をよく見ますが、そのような人はまずものになりません。
まぁそれでも私は『暁の神話』の連載版を書く予定なんですけどね。
イメージがかなり明確になっているので、今書けばもっと面白くできる自信があるからかもしれません。
書きたい物語がある
「小説を書く」ときに必要不可欠なのは「書きたい物語がある」ということです。
いざ「小説を書こう」と思い立ったのはいいけど「書きたい物語がなけ」れば時間ばかりが虚しく過ぎていきます。
たまの休日に朝から晩まで考えてみたけど「書きたい物語がまったく思い浮かばなかった」という経験をした人はいませんか。
そういう人は「小説を書く」ためのスタートラインにすら達していないのです。
真に「小説を書く」人というのは「書きたい物語が山のようにあって、どれから書いていこうか迷い」ます。「書きたい物語がなけ」れば「あらすじ」すら作れません。でも「山のようにある」のなら適当に選んできて「あらすじ」を仕立て「箱書き」を作成し、「プロット」も順調に決まってすぐ筆を進められます。この差が雲泥なのです。
「小説が好きで、自分でも小説を書こうと思うのだけど、書きたい物語はとくにない」という人は、小説を書かないほうが幸せに暮らせます。
「書いて投稿して読み手に伝えたい物語が山のようにある」人だけが、小説を書き続けられるのです。
あなたには「書きたい物語がある」のでしょうか。ひとつやふたつではなくそれこそ山のようにありますか。
私はこうして毎日コラムを書いていますが「書きたい物語が山のようにあり」ます。でも今の私ではそれを活かせる技術が足りていません。
だから「小説読本」の類いを読みまくり「小説を書くにはどうすればいいのか」ということからおさらいしているのです。
「小説の書き手になりたい」という方や「もっとうまい小説を書きたい」という方に向けて、私が学んだ「心構え」や「技術」を公開しています。「小説の書き方」コラムは私のためでもあり、皆様のためでもあるのです。
そして今では「書きたくてウズウズしている」状態になりました。私はいよいよ「小説を書く」段階に到達したのです。「書きたい物語が山のようにあり」ます。
しかしまずは「小説の書き方」コラムを続けなければなりません。まだまだ伝えきれていないことがあるからです。
題材によっては何度も投稿しているものも少なくありません。でもそれは「小説読本」の知識が一回りして戻ってきたからです。
同じ題材ですがレベルが違います。コラムNo.1から読み進めれば「自分にも小説が書けそうだ」と思っていただけることでしょう。
そう思っていただけたら、そのときからあなたの頭の中で「書きたい物語」がストックされ始めます。
「何をどう書いていいのかわからない」という根本からお話をしていますので、本コラムを読むだけで「書きたい物語」が着想すること間違いなしです。
最後に
今回は「やりたいことだけやってみよう」ということについて述べました。
やらされるとストレスを感じます。やりたいことをやれば楽しくて仕方がありません。
あなたにとって「小説を書く」ことは「やらされている」のでしょうか、それとも「やりたいからやっている」のでしょうか。
この意識の差が、大成するかしないかの分岐点です。
まだ「やらされている」感が強い方は、とにかく小説を数多く読んでください。小説投稿サイトに掲載されている人気順でかまいません。ひたすら読みまくれば「書きたい物語」がいくつか浮かんでくるはずです。
書くためにまず読みましょう。
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