206.再考篇:あなたが得意なジャンルは
今回は「ジャンル」です。
あなたが得意な小説のジャンルはなんですか。
即答できる方はその理由を挙げられるでしょうか。
「好きだから」は「得意」の理由になりません。
あなたが得意なジャンルは
あなたが好きな小説が「異世界転移ファンタジー」だったとします。
しかしそれは「読み手側として」好きな小説というだけかもしれません。
書き手としてのあなたはどんなジャンルを書くのが得意でしょうか。
これがわかっていれば、読んだ人も面白く楽しく感じる小説を書けます。
ミスマッチを起こしていれば読んでいてもさほど面白くもないし楽しめもしないのです。
ではどうすればあなたの得意なジャンルを知ることができるのでしょうか。
すべてのジャンルの短編を書いてみる
オススメなのは「すべてのジャンルの短編を書いてみる」ことです。
たとえばあなたが「異世界転移ファンタジー」が好きでよく書いているとします。
でもなかなかフォロワーさんが増えません。
なにかが足りないか違っているかしているのでしょう。
そこでとりあえず「足りないなにか」を探して試行錯誤することになります。
でもなかなか「足りないなにか」は見つかりません。
試行錯誤しながら書いた小説を小説投稿サイトに投稿していくわけですから、あまり出来のよくない作品が増えていくことにもなります。
このままで本当によいのでしょうか。
そこで思い切って別のジャンルに手を伸ばしてみましょう。
読み慣れないまた書き慣れないジャンルでしょうから、当然書きあげるのに相当な苦労をするはずです。
でもどんなジャンルであってもまずは基礎知識を仕入れて頭の中で再構成する必要があります。
オリジナルの小説が書けるほどの努力をするのです。
その結果としてようやく「あらすじ」が定まって執筆が始まり、そして短編一本が出来あがります。
出来あがった短編は可能なかぎり小説投稿サイトへ投稿しましょう。できれば毎日同じ時間に投稿します。時間による反応の差を少なくするためです。
引き出しが増える
自分から見て「いまいちだ」と思ったジャンルの短編が予想に反して大ヒットする可能性があります。
大ヒットしなくても新たに得た知識はあなたの頭に残りますから、書き手としての「引き出し」が格段に増えるのです。
「引き出し」が増えれば、あなたが書きたいジャンルの小説を改めて書くと、今まで以上の読み応えがある作品に仕上がります。
たとえば「今まで異世界転移ファンタジーだけを書いてきたけれどまったくウケなかった。試しに恋愛小説を書いた後にもう一度異世界転移ファンタジーを書いてみたら恋愛要素が組み込まれて作品が奥深くなった。結果として新しく書いた異世界転移ファンタジーが読み手からひじょうにウケた」ということが起こりえるのです。
これをすべてのジャンルで行なえば、物語の「あらすじ」を考える段階からさまざまな選択肢が持てます。
推理小説の要素を取り込んだライトノベルがかなりの数あるのもそのためです。
だから小説の書き手として成長したければ、自分が書きたいジャンルだけでなく、他のジャンルにも積極的に取り組むべきです。
そこから得られるものはとても多くあります。
反応のよいジャンルが最適
すべてのジャンルの短編小説を小説投稿サイトへ毎日同時刻に投稿しました。そして反応を待ちます。
すると大ヒットするジャンルが出てくるでしょう。それがあなたにとって「書くのが得意なジャンル」なのです。
でも「あんなに書くのに苦労したジャンルが得意だと言われても」と思いますよね。それが心理の壁になっているのです。
「書くのがたいへんだから、このジャンルは書けない」とは思わないでください。
あなたが苦労して書いたジャンル短編は苦労したけど大ヒットしました。まっとうな評価が出たのです。
読み手は正直なもので、読んでいて「面白い」「楽しい」と思う小説には正当な評価をしてくれます。
読んでいて面白くも楽しくもない小説など評価するに当たりません。
自分としては「異世界ファンタジー」が得意だと思っていたのだけど、読み手の反応では「SF」のほうが評価が高い、なんてこともよくあります。
そんなあなたにとっては「SF」が最も書くのに適しているジャンルなのです。
書きたいジャンルと違っていたら
あなたが書きたいジャンルと、読み手の反応がよかったジャンルが異なっていたとします。
読み手としては反応がよかったジャンルの新作を待ち望んでいるのです。でもあなたとしては本当に書きたいジャンルが異なります。
どちらを優先すべきでしょうか。
この問題の答えは商業ライトノベルにあります。
もし将来商業ライトノベルの書き手になった場合、自分の好きなように作品を書けなくなります。
出版社としては売れる小説を書いてもらいたい。でも書き手が書きたい小説はまったく別のもの。
どちらを優先すべきでしょうか。
商業ライトノベルの書き手にとっては、あなたが請け負って書いた小説を出版してくれる出版社の意見に従うしかありません。
書いてほしい作品と異なる小説を書かれても出版するほど体力のある出版社はもはやなくなりました。
出版社が欲しがっている小説を書いてくれないのなら、あなたとの契約はその場で打ち切りです。
では話を戻します。読み手が欲している反応のよかったジャンルの新作を書くべきか、書き手が書きたいジャンルの新作を書くべきか。
答えは「読み手が欲している反応のよかったジャンルの新作」を書くべきです。
書き手としては「またあの書き慣れないジャンルの作品を苦しい思いをして書かないといけないのか」と思いますよね。
それも無理からぬことです。
でも今は苦しくても何編も書いていればそのうち慣れます。
一度慣れてしまえばその後はすらすらとそのジャンルを書けるようになるのです。
そうなると「自分が書きたいジャンルの小説は書けなくなるのか」と思うのは早計だと思います。
ジャンルをミックスする
確かに「あなたが書きたいジャンルは読み手の反応がよくなかった」のかもしれません。
ですが、反応のよかったジャンルと「ミックス」することで「あなたが書きたいジャンル」でありながらも「読み手が欲している反応のよかったジャンル」でもあるという作品を書けるのです。
「異世界転移ファンタジー」が書きたいのに、反応がよかったのは「恋愛」だったのなら「恋愛要素を内包する異世界転移ファンタジー」を書きましょう。
「異世界転生ファンタジー」が書きたいのに、反応が良かったのは「ホラー」だったのなら「ホラー要素を内包する異世界転生ファンタジー」を書けばいいのです。
たったそれだけで書き手も読み手も幸せになれます。
そして読み手からは「恋愛要素を絡めた異世界転移ファンタジーが得意な書き手」「ホラー要素を絡めた異世界転生ファンタジーが得意な書き手」として認知されるのです。
つまり「ミックス」したジャンルではあなたを第一候補にしてくれる可能性があります。
そういった方向性を知るためには、まずは小説投稿サイトがカテゴライズしているすべてのジャンルの短編小説を書きましょう。
面倒くさがらずとりあえずすべてのジャンルの短編小説を書くのです。
そこから生まれてくるミックスジャンルがあなたの主戦場になります。
最後に
今回は「あなたが得意なジャンルは」ということについて述べてみました。
書き手であるあなたが「自分ではこのジャンルが得意」と思っているとしても、読み手にまったく響かないか響いてもごく少数ということもあります。
であれば、まずすべてのジャンルの小説を書いてみて小説投稿サイトへ投稿し、読み手に「私にはどのジャンルがふさわしいですか」と問うのが早道です。
書き手本人は苦手だと思っていたとしても、読み手が読んだら面白かった、ということは往々にしてあります。
もしすべてのジャンルを書いてどれも反響がなかったら、あなたにはまだ筆力がないのです。
しかしすべてのジャンルを書いたことによって少なからず筆力は高まっています。
今あなたが書きたいジャンルの小説を書けば、以前とは比べものにならないほど表現力が増しているはずなのです。
そういう意味でも「すべてのジャンルの小説を書いてみる」ことには意義があります。
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