204.再考篇:キャラを生き生きと書きたい
今回は「キャラが生き生きとするには」どうするかについて述べました。
要約すると「モデル」か「CV」を設定しましょう。
キャラを生き生きと書きたい
ライトノベルは「キャラクター小説」とも呼ばれています。
それほど「キャラの魅力」が作品の好不況を左右するのです。
どうすれば「キャラの魅力」を引き出して生き生きと活躍させることができるのでしょうか。
現実にいる人をモデルにする
最も簡単にできる「キャラの魅力」の引き出し方は「現実にいる人をモデルにする」ことです。
たとえば「このキャラは長瀬智也さんをモデルに」「このキャラは綾瀬はるかさんをモデルに」「このキャラは福山雅治さんをモデルに」「このキャラは江口洋介さんをモデルに」といった具合いに、モデルを設定しておきます。
こうしておけば、キャラのイメージが頭の中でがっしりと固まり、人物像がブレなくなるのです。
また「モデルになった人ならこんなときどのような態度や行動をとるかな」とイメージを膨らませやすいのも「現実にいる人をモデルにする」ことの利点になります。
もちろん有名人でなくてもかまいません。あなたのご家族であったり友達であったり仲間であったり上司部下であったり。あなたがイメージを抱きやすい人をモデルにしましょう。
頭の中でイメージが固まっていれば、キャラをどう動かすべきか、出来事にどう反応させるべきかが導き出しやすくなります。
結果として読み手にとっても「キャラがブレていない」と思ってもらえるためキャラの印象が強くなるのです。
モデルにするときのタブー
書き手が特定の人を登場人物のモデルにするのはまったく問題ありません。でも気をつけておくべき事柄があります。
「名前まで使わない」ことです。有名人とくに芸能人は芸名を商標登録してあります。
つまり「このキャラは長澤まさみさんをモデルに」したから名前も「長澤まさみ」にしよう、ということをしてはいけません。
商標権侵害で芸能事務所から訴えられます。(このコラムも数多くの芸名を用いていますので訴えられかねませんが、利益が発生しているわけではないので、まぁ大丈夫だと思います)。
なら「長澤まなみ」のように「名前をもじって使えばいいだろう」と思うでしょう。でももじるのも「無し」です。キャラの名前から容易に「特定の誰か」を連想できるようなら、やはり商標権侵害に引っかかります。成人向け女優(セクシー女優)の中にはそのような命名法を用いた名前が多く見られます。そういう方とバッティングしてしまう可能性も否定できません。
二十年くらい前までは「有名人をもじった名前」が大いに流行りました。現在ではそのような小説を見なくなったのも「商標権侵害のおそれ」が原因です。
また「あなたの知り合いの一般人」であっても、同姓同名なら訴えられる可能性があります。とくに犯罪者の名前として用いると「悪意がある」という理由で敗訴する確率が高くなります。
ですのでモデルにしても「名前まで使わない」ことが重要になります。
キャラの名前を決めるときは『Google』や『Yahoo!』などで名前候補を検索し、有名人としてヒットしないかくらいはチェックしておきましょう。たった一回の検索でいざこざは生じなくなります。
キャラの声を決めておく
ですがライトノベルにおいて芸能人をモデルにするとかえって「イメージが湧かない」場合があります。たとえば「異世界」を舞台にした小説です。
「異世界」なのだから現実世界とは生活や考え方や行動の指針も異なります。芸能人をモデルにしてもまったく「イメージが湧かない」ということはよくあることなのです。
このような場合は「キャラの声」を決めましょう。とくにライトノベルの書き手ならアニメはよく観ますよね。また洋画好きの方には「吹替版」を好む方も多いのではないでしょうか。
私は子供の頃から刷り込まれているせいか、ジャッキー・チェン氏は石丸博也氏の声でなければ合わないと思っています。それがたとえジャッキー・チェン氏本人の肉声であっても。
デビッド・ハッセルホフ氏もささきいさお氏でなければ観ていられないくらいです。なので「日本語字幕」の作品はほとんど観ません。
そのくらい「キャラの声」はそのキャラのイメージを頭の中で固める役割を担っています。
たかが「声」ひとつでこうも違うのです。
あなたの小説でも「主人公は中村悠一氏で」「相棒は杉田智和氏で」「ライバルは福山潤氏で」「対になる存在は若本規夫氏で」と決めるだけで、頭の中でさまざまな声が響き合って世界観がはっきりと把握できるようになります。
人間は声の違いに敏感です。
たいていの人は相手が警戒しているのか懐いているのかを声質だけで判別できます。
これは生身の戦闘力においては動物界でも下から数えたほうが早いとされる人類が現代まで生存し続けられた本能だからです。
「キャラの声」つまり「キャラクター・ヴォイス(CV)」を決めれば意外なほど容易にキャラ設定を作れます。
たとえば「豊崎愛生氏を登場させたいから、どんなキャラにしようかな」というようなアプローチが使えるのです。
もしCVを決めずに一からキャラクターを作ろうとすれば、あれこれ頭を悩ませてしまうことになります。
何歳くらいの人がいいかな。どんな口ぐせがあるといいかな。どういう性格にするといいかな。どんな特殊能力があるかな。
悩むべき要素が多すぎます。
これがCVを決めるだけでキャラのイメージが一気に膨らむのです。
使わない手はありませんよね。
ドラマやアニメをたくさん観よう
モデルにする有名人や声を当てるCVを決めるとキャラのイメージがはっきりします。
そうなればキャラは生き生きと動き始めるのです。
ですがそもそもイメージが湧くくらい俳優を知らない、吹き替えドラマを観ない、アニメも観ないという方もいるでしょう。
そうなるとあなたの知り合いくらいしかモデルにできませんよね。
それではひじょうにもったいない。
とくにライトノベルを書きたい人は俳優やCVに詳しくなるほうがよいでしょう。
単純に考えても「世間にはこのようなキャラがいるんだ」と「キャラの引き出し」が増えます。
他人の小説を読むことで「キャラの引き出し」を増やすこともできますが、小説は一巻読むのに数時間かかりますから効率が悪いのです。
(CMスキップをした場合)ドラマなら一話45分、アニメなら一話25分ほど観ればどんなキャラが世間にいるのか把握できます。
頭が「書き手」モードに入ったまま、なかなか客観的に原稿を読み返せなくなるときがこの先出てくるでしょう。そんなときにもドラマやアニメを観るとすぐに頭のスイッチが物語を楽しむ「受け手」モードに切り替わります。
ですので「小説の書き手だから」とストイックに自分の作品を書くことだけに集中するのではなく、他人の作品に心底楽しみながら触れてみましょう。
それだけで「キャラの引き出し」がぐんと増して小説が書きやすくなりますよ。
最後に
今回は「キャラを生き生きと書きたい」というテーマで述べてみました。
「キャラの魅力」を引き出すには「このキャラを誰に演じてもらいたいか」つまり配役を考えましょう。
モデルがいればあなたの頭の中にキャラが明確なイメージで固まるはずです。
そうなれば後はモデルを想像して書くだけで「キャラは生き生きと」してきます。
もし適当なモデルが見つからなければ「キャラの声」だけでも決めておくべきです。そうすればイメージも膨らませやすくなりますよ。
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