115.応用篇:タイトル付けが最重要課題

 今回は「タイトル」の初歩です。詳しいことはコラムNo.200にて述べることになります。

『pixiv小説』だと「シリーズ」名、『カクヨム』なら「キャッチコピー」も含まれますね。





タイトル付けが最重要課題


 言いすぎかもしれませんが、小説投稿サイトで自著を読んでもらうためには「タイトル」が最大の要点になります。


 「紙の書籍」もまず「タイトルありき」です。

 そして表紙絵が魅力的であること。

 そこで書籍を手に取ります。

 試しに冒頭「三ページ」を読んでみて面白い作品であるかどうかを判断するのです。


 表紙絵を設定できる小説投稿サイトなら、ご自身の絵心に心配なら絵師さんに外注してもよいですね。

 外注するときは対価と納期とイメージを絵師さんにきちんと伝えてください。

 とくに対価(お金)と納期は重要です。

 これは別に一本書こうと思いますので今回は割愛致します。





興味を惹くタイトル

 タイトルが重要であることはわかりました。ではあなたの作品に見合ったふさわしいタイトルはなんでしょうか。

 以下によく使われるタイトル例を挙げてみます



■主人公の名前を入れる

 田中芳樹氏『アルスラーン戦記』、水野良氏『魔法戦士リウイ』、春日みかげ氏『織田信奈の野望』、屋久ユウキ氏『弱キャラ友崎くん』、マンガの手塚治虫氏『鉄腕アトム』、マンガのCLAMP『カードキャプターさくら』、アニメ『結城友奈は勇者である』『おそ松さん』『ユーリ!!! on ICE』のように主人公の名前を入れ込んだタイトルです。


 誰が主人公なのかがタイトルだけでわかるため、マンガやアニメだけでなくライトノベルでもよく用いられています。

 主人公がわかるので、その人物の一人称視点で書かれていることも多いのです。

 この変種に「主人公以外の登場人物の名前を入れる」ものがあります。谷川流氏『涼宮ハルヒの憂鬱』、鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録インデックス』が有名ですね。

 とにかくどんな名前のキャラクターが出てくるのかはひと目でわかります。

 このわかりやすさがライトノベルでは強力な「惹き」になるのです。



■主人公のあだ名や職業を入れる

 こちらは主人公の名前でなくあだ名や職業を入れ込んだタイトルです。

 丸山くがね氏『オーバーロード』、柳野かなた氏『最果てのパラディン』、佐島勤氏『魔法科高校の劣等生』、羊太郎氏『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』、白鳥士郎氏『りゅうおうのおしごと!』、蝸牛くも氏『ゴブリンスレイヤー』、伏見つかさ氏『エロマンガ先生』、さがら総氏『変態王子と笑わない猫。』、マンガの手塚治虫氏『BLACK JACK』、マンガの稲垣理一郎氏&村田雄介氏『アイシールド21』、マンガの許斐剛氏『テニスの王子様』、マンガの武内直子氏『美少女戦士セーラームーン』のように主人公のあだ名や職業を入れ込んだタイトルです。


 後述するキーアイテムと同様、ネタバレしない程度の示し方をしなければなりません。

 パッと見て「どんな人物が主人公として活躍する作品なのか」と理解できるのでライトノベルでもよく用いられます。



■物語の舞台となる地名を入れる

 田中芳樹氏『銀河英雄伝説』、水野良氏『ロードス島戦記』『グランクレスト戦記』、川原礫氏『アクセル・ワールド』『ソードアート・オンライン』、十文字青『灰と幻想のグリムガル』、マンガの秋本治氏『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、アニメ『神秘の世界エルハザード』のように物語が繰り広げられる舞台の地名を入れ込んだタイトルです。


 どこが舞台の作品かがひと目でわかるため、どういった世界で物語が進むのかわかりやすい利点があります。

 とくにライトノベルでは世界を周っていく展開(遍歴)の作品に多く見られ、世界観が広がりやすいのです。

 そうなると三人称視点や神の視点で書きやすくなるのも特徴になります。



■キーアイテムを入れる

 水野良氏『魔法戦士リウイ ファーラムの剣』、弓弦イズル氏『IS〈インフィニット・ストラトス〉』、マンガの美内すずえ氏『ガラスの仮面』、マンガの鳥山明氏『DRAGON BALL』、マンガのゆうきまさみ氏『機動警察パトレイバー』、マンガの内藤泰弘氏『トライガン』、マンガの大場つぐみ氏&小畑健氏『DEATH NOTE』、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』『超時空要塞マクロス』のように物語でカギを握るアイテムを題名につけたタイトルです。


 ライトノベルでキーアイテムの先行提示はネタバレにつながりやすいため、一般的に避けられている傾向にあります。

 先々のネタバレにならないけど、物語で主に用いられるキーアイテムが示されるため、どんな作品なのかを類推するのがそれほど難しくない作品に多いパターンです。

 とにかくそのアイテムが物語を進めるうえで欠かせないカギになっているくらいならネタバレにはならないでしょう。



■主人公の置かれた状況を入れる

 渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』、平坂読氏『僕は友達が少ない』、大森藤ノ氏『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、長月達平氏『Re:ゼロから始める異世界生活』、丸戸史明氏『冴えない彼女の育て方』、暁なつめ氏『この素晴らしい世界に祝福を!』、遠藤浅蜊氏『魔法少女育成計画』、理不尽な孫の手氏『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』、伏瀬氏『転生したらスライムだった件』のように小説投稿サイトを中心に多く見られるようになった「主人公の置かれた状況を入れ込む」タイトルです。


 タイトルだけでどんな物語なのかを端的に表せるため、とくに小説投稿サイトで閲覧数を増やすために用いられます。

 実際、小説投稿サイト『小説家になろう』でランキング上位は「主人公の置かれた状況を入れ込む」長いタイトルで埋め尽くされているのです。


 小説投稿サイトで勝ち残るには「タイトルの惹き」が肝心になります。

 「紙の書籍」になったときに中高生の衝動買いを促進できる点でもたいへん有効です。

 対応ジャンルもほぼ制限がなく、どんな作風のライトノベルにも使えます。

 ただしあまりに長いタイトルだと初見こそインパクトはありますが、タイトルを正確に憶えるのに手間がかかるのです。

 そのためたいていの作品は『俺ガイル』『はがない』『ダンまち』のように略名で呼ばれることになります。



 以上が主なタイトルの名付け方です。



 もちろん『焦点』『月光』のようにできるだけ短くする手もあります。

 短くすると興味が湧いて「どんな小説なんだろう」と気になるのです。

 芥川龍之介賞を授かったお笑い芸人ピースの又吉直樹氏『火花』も漢字二字と短いですよね。


 でも小説投稿サイトだけで話をするなら「タイトルの惹き」が弱くなりすぎます。

 短いタイトルは味気なく、どうしても「主人公の置かれた状況を入れ込む」長いタイトルへと興味が移ってしまうのです。

 文学小説は逆に長いタイトルをつけると下品に感じられます。

 でもライトノベルはとにかく読み手の気を惹いて読んでもらわなければ話になりません。


 小説投稿サイト『カクヨム』で設定できる「キャッチコピー」は、検索結果にも表示され、「タイトル」以上にカラフルで大きく目立ちます。そのためタイトルに凝る必要はありません。

 代わりに「キャッチコピー」で読み手にアピールしましょう。

 「キャッチコピー」がハマれば確実に閲覧数(PV)を高めることができます。

 ぜひ「キャッチコピー」に頭をひねってくださいませ。





最後に

 では小説投稿サイトではどんなタイトルが最良なのでしょうか。


 上記で触れていますが「主人公の置かれた状況を入れる」「主人公の名前を入れる」「主人公のあだ名や職業を入れる」の大きく三つに分けられます。


 「キーアイテムを入れる」とどうしてもキーアイテム探しやキーアイテムを中心にしただけの話に終始してしまう恐れがあるのです。

 これから小説投稿サイトで頑張ろうと思っている方なら「キーアイテムを入れる」はハードルが高いと思います。


 大作感を出したいときは「物語の舞台となる地名を入れる」タイトルがよいでしょう。

 なので短編小説で地名を使うと肩透かしもいいところです。超長編の連載小説だからこそ似合います。


 タイトルは「最も閲覧数を左右する要素」と言い切ってよいでしょう。

 だからこそ内容に適したタイトルを付けなければなりません。



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