114.応用篇:連載よりもまずは短編を

 小説投稿サイトを利用していると、すぐに「紙の書籍化」を狙いたがりますが、「連載よりもまずは短編を」書くべきです。

 ただ最近は「短編より長編を書け」という人が増えてきました。

 でも小説投稿サイトを攻略していくには、やはり短編で反応を見ながらのほうがいいのです。





連載よりもまずは短編を


 小説を多くの人に読んでもらうこと、そして小説を連載することは現在かなり楽になりました。

 小説投稿サイトのおかげで誰でも短編小説や連載小説を書いて多くの人に読んでもらえるようになったのです。





まずは短編小説で名を広める

 小説投稿サイトに投稿して多くの人に読んでもらいたい。

 誰でもそう思います。


 ですが初めて投稿する際にいきなり超長編の連載小説を始めてしまうのはやめたほうがよいでしょう。

 フォロワーがいない書き手としてのあなたに読み手を惹きつける魅力がないからです。

(本コラムも例外ではありません。実際に連載本数とフォロワーの相関関係は圧倒的に低いのです)。


 そこでまずは短編小説を何本か投稿してください。

 それでどれだけフォロワーさんが増えてくれるのか。

 そこを見極めます。


 小説投稿サイトではそれぞれ求められている作品が異なります。


 たとえば『小説家になろう』では「異世界転生」「異世界転移」のハイファンタジーが最もウケがよいジャンルです。

 そこに推理小説を投稿しても反響は今ひとつでしょう。

 あなたが推理小説で勝負したいとして、その小説投稿サイトで推理小説がどれだけ読まれるのかを見極めなければなりません。

 まずその小説投稿サイトでジャンル検索をして、そのジャンルがどれだけ読まれているのかを知ることです。

 ニーズのない場所に渾身の作品を投稿しても反響はほとんど得られません。



 それでもそのジャンルで攻めたいんだ。


 そうお思いならまずは短編小説から始めましょう。

 三十分で読めるくらいの長さの短編小説なら「お試しで読んでやろうじゃないか」という方がいらっしゃるはずです。

 閲覧数と評価とブックマークを比べてみれば「ここなら行けそうだ」と思う小説投稿サイトが必ずあります。

 完全に当てはまらなくても「ここなら比較的評価してくれる」とわかりもするのです。


 そうやって短編小説を書いては反響を調べていきます。

 閲覧数と評価とブックマークの伸びを見るのです。

 場合によってはコメントで「ここはいいけど、ここがダメ」と指摘してくれる方が現れます。

 すべてそのとおりにするわけではないにしろ「そういう意見があったので次作ではそこを意識して書こう」と思うだけで文章は格段にうまくなっていくのです。



 そうやって短編小説を書き続けていれば必ずフォロワーさんが増えていきます。

 たくさんのフォロワーさんを抱えないまま超長編の連載を始めても、誰にも読まれないのがオチです。


 せっかく書いたのに誰にも読んでもらえない小説というものも、小説投稿サイトには数多くあります。

 でも読んでみたら意外と面白い、なんていう小説もあるものです。

 なぜ皆読まないのでしょうか。


 その答えが「フォロワーさんがついていなかったから」であることがひじょうに多いのです。



 だから小説投稿サイトでは初っ端から長編小説や超長編の連載小説を掲載すべきではありません。

 まずは短編小説で探りを入れていくのです。


 もしあなたが成長してひとかどの人物となり超長編の連載小説が「紙の書籍化」を果たしたなら、これまで書いてきた短編は「初期短編集」という形で「紙の書籍化」をするかもしれません。

 となれば、あなたの財産にもなりますので、ぜひ短編小説から始めてみてください。

 小説投稿サイトを有効に使いこなすには「まず短編小説から」です。





連載小説を始める頃合い

 短編小説を書いてきてフォロワーさんがついてきたとします。

 いい傾向ですね。


 となれば書き手として「いつ超長編の連載小説を書いていいのか」を考えることになります。


 何人のフォロワーさんがついたから連載小説を始めていいのか、という明確な基準は残念ながらありません。

 二、三人から始めても大ブレイクする人がいる一方、百人集めても連載が振るわない人もいるからです。


 ですので、連載小説を始める頃合いは書き手が自らの意志で決めるべきでしょう。

 そうすれば誰を恨むでもありません。


 もし連載を始めたんだけどフォロワーさんがいっこうに増えないし閲覧数も評価もブックマークも伸びてこないということであれば、連載のペースを落としながらまた短編小説を書いて投稿してください。

 短編小説が当たりさえすれば連載を読もうと思ってくれる方は必ず出てきます。


 連載だけにこだわらず、短編小説で地道にフォロワーさんを集めることも考えておいてください。





連載は規則正しく続ける

 小説の連載は大変な作業です。毎日投稿することが当たり前に求められます。

 休載する際は前もって「○○日は休載致します。続きは△△日からになります」と予告しておくべきです。

 そうすれば読み手はその日まで待ってくれます。

 特段予告もなく休載してしまうと、フォロワーさんが離れていってしまうのです。


 離れていくとわかっているけど突然の出来事アクシデントはどうしても起こるもので、休載が致し方ない場合もあります。

 そのときは活動報告、近況ノートなどで「本日は急事につき投稿できません」と報告しておくべきでしょう。

 そのくらいなら手間にもなりませんよね。


 小説投稿サイトでの連載はできれば毎日行なうべきです。

 毎日小説投稿サイトをチェックして新しい話が読める。

 その手軽さがあるからこそ小説投稿サイトは人気があります。

 そしてその連載に興味を持てなくなったら別の作品を追い始めるのもまた読み手の自由です。


 だから、もしもに備えて手元に連載をストックしておき、いつでもそれを出して調整できるかも問われてきます。

 毎日行き当たりばったりの連載を続けているとどうしてもネタが尽きてきたり設定に矛盾が出てきたりします。

 それを回避するためにもストックはつねに持っておくべきです。


 またどうしても毎日連載はできないと感じているのなら、一週間ぶんを書き溜めておいて、一日で一気に数話を連続投稿してもよいでしょう。

 たとえば月曜日から木曜日までに四回の投稿ぶんを書き溜めておいて、土曜日に一気に投稿するのです。

 毎週土曜日に新しいエピソードが読める。

 しかも四話連続だから読みたいところまでいつでも読める。

 そういう安心感を読み手に与えられれば連載も盤石となるでしょう。





評価の低い連載は適当なところで畳む

 初回投稿は最も読まれる投稿回です。

 ここでどれだけ評価を得られるか。どれだけフォロワーを集められるか。

 それが連載する意欲にもつながりますし、やりがいを感じる部分でもあります。


 初回の評価が低い連載は適当なところで畳むべきです。

 「いや、この後にこのエピソードを書けば必ず人気が出るから」という理由で無理にでも連載を続ける人がいます。

 そんなに人気が出るとわかっているエピソードをなぜ初回に持ってこなかったのでしょうか。

 初回投稿をそのエピソードから始めれば、初動もよかったはずですよね。

 つまり初回から当該回直前までが蛇足だったということになります。


 ウケのよいエピソードがあるのなら出し惜しみする必要なんてどこにあるのでしょうか。

 そこから始めることも選択肢に入れてしかるべきです。



 私としても本コラムの連載はあまり評価が高くないように感じています。

 評価もブックマークもそれほど伸びないようなのです。

 でも本コラムを執筆するためにさまざまなことを考えていると「こういう書き方をすれば読み手にウケるのでは」というものがぼんやりと浮かんでくるのです。

 これが完全に固まるまで私は小説を書くべきではないのかもしれません。

(連載構想は四本ありますが、まだ一本目の人物キャラクター設定に時間がかかっています)。





最後に

 連載が好評なら話を広げていき、不評なら適当なところで畳みましょう。わざわざ不評な連載を書き続ける必要なんてありませんからね。


 そしてまた新しい短編小説を書いてフォロワーさんを増やす努力をするのです。

 連載と短編小説を繰り返すことでフォロワーさんは必ず増えていきます。


 ダメな連載を続けるよりも、すっぱり畳んで改めて短編小説を書いたほうがはるかにマシです。


 「自分はどうやっても短編小説が書けない」と思っているのなら、長編だけで勝負してもかまいません。


 でも長編ではフォロワーさんはすぐについてきませんので、長くつらい日々が続くことだけは覚悟しておいてください。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る