106.実践篇:小説同人誌を作るなら
今回は「小説同人誌」について述べました。
小説投稿サイトで活躍する方はあまり縁がないと思いますが、こういう攻略法もありますよ、というご紹介です。
小説同人誌を作るなら
前回お話ししたとおり、あれこれ考えた結果、大好評を博した「二次創作の連載小説」だった。
またはこの「オリジナルの連載小説」なら商業ライトノベル化されなくてもいい。
そう思える連載小説なら「小説同人誌」を作ることも視野に入ってきます。
ではどんな「小説同人誌」を作ればよいのでしょうか。
まずは複数名から
「小説同人誌」を初めて作って同人誌即売会で売りたいとお思いなら、あなた一人だけの同人誌よりも、同じく小説を執筆している知人・友人複数名の小説をまとめた「合同編集した小説同人誌」のほうが無難です。
さらにマンガやイラストを描ける方がいれば一緒に描いてもらってください。
売れ行きが桁違いに良くなりますよ。
一人で全部書いた「小説同人誌」だと、その一冊の冒頭で買い手に見切られたら絶対に売れません。
でも複数名が「合同編集した小説同人誌」であれば、誰か一人でも買い手の気になる作品を書いてくれれば売れていきます。
一人ですべて作るよりも、複数名が「合同執筆」したほうが圧倒的に有利なのです。
もちろん小説投稿サイトで作品の評価がかなり高ければ、あなたの名前を見ただけで無条件に買ってくれる人も出てくるでしょう。
でもそれは先々の話です。
初めて「小説同人誌」を作った書き手の名前を見て無条件で買ってくれる人などまずいません。
「二次創作の連載小説」なら「好きな作品の同人誌はすべて買い揃えたい」と思う人がある程度いることも事実です。
だから「二次創作」ならリスクを低めることができます。
「オリジナルの連載小説」であれば買い手から見てもまったくの初見です。
一人で書いた小説同人誌はよほど面白いものでないかぎり見切られます。
小説投稿サイトで大人気だけど、商業ライトノベル化しなくてもいいや。そのような作品であれば、宣伝さえうまくハマれば確実に売れていくでしょう。
どんな場合でもリスクを下げたいなら「合同編集」の形を選ぶべきです。
同人誌即売会を知る
「小説同人誌」を作ろう。
そう思い立ったらまずは同人誌即売会主催者へサークル参加申請をしましょう。サークル参加もできないのに「小説同人誌」を作っても売る場所がないのですから本末転倒です。
まず世界最大の同人誌即売会である「コミックマーケット」(コミケ)が挙げられます。
一日の来場者が十万人単位というとんでもない即売会です。
ですが多くの方は「コミックマーケット」の名に恥じず「マンガの同人誌」を買いにきています。「小説同人誌」を目当てに来るのはごく一部です。
「二次創作の小説同人誌」であれば、サークル配置次第である程度の売上も見込めます。
「オリジナルの小説同人誌」であれば売上はかなり厳しいです。
小説投稿サイトで連載が大好評だった「オリジナル小説」は、宣伝さえ間違えなければ売れ行きもよいでしょう。
「コミティア」はオリジナル創作オンリーの即売会ですが「小説同人誌」も許可されています。
規模もそれなりに大きくまた頻繁に開催されていますので「オリジナルの小説同人誌」であればぜひ活用したい場です。
「文学フリマ」はタイトルどおりオリジナル創作の文学小説や大衆小説寄りで、ライトノベルの類いが弱いという特徴があります。
開催頻度も高く、文学小説や大衆小説を書いているのであれば、ぜひとも参加したい即売会です。
首都圏開催の「本の杜」という即売会があります。こちらは「小説同人誌」オンリーでオリジナルだけでなく二次創作も成人指定作品もOKなので、使い勝手がいいかもしれません。
私自身が参加したことはないので、実際にどのくらい来場者があるのかはわかりかねますが。
他にも「小説同人誌」を扱う即売会がありますので、インターネットで検索してみてくださいね。
表紙は徹底的に凝るべき
同人誌即売会で無事サークル参加できるようになりました。
ここからは実際に「小説同人誌」を作る段階に入ります。
超長編の連載小説であればコピー機で両面コピーして自分で製本するなどという手段はとりようがありません。
オフセット印刷を頼むことになります。
オフセット印刷は一般書店で見かけるような普通の書籍を作ってくれるので、読みやすさの点からも有利です。
オフセット印刷をするとなれば「表紙」と「タイトル」と「裏表紙」をどうにかしないといけません。
無地の背景にタイトルと著者名だけが書かれてある。
そんな小説も実際に一般書店で見かけますがそれは文芸作品だけです。
ライトノベルではまず見ませんよね。
ライトノベルは「表紙」のイラストと「タイトル」と「裏表紙」が購入する決め手になります。
その中でまず「表紙」は徹底的に凝るべきです。
あなたが絵も描けるなら頭の中にある印象的なシーンを自分で描いてみてください。絵が描けないのなら知人の絵師さんに対価を約束して「表紙」を依頼しましょう。
知人に絵師さんがいないのなら、作品のイメージに合う写真を使うか、図形を描いてごまかすかしてください。
無地は絶対にダメです。
ライトノベルで無地の表紙なんて誰も買ってくれなくなります。
「タイトル」については連載中に付けていた「シリーズ名」をそのまま用いればよいでしょう。
同じ連載作品なのに「タイトル」が変わってしまうと買いに来たファンが「○○を買いに来たのですが置いていない」と勘違いして買わずに帰ってしまうことも起こりえます。
ですから連載するときは前もって「シリーズ名」を凝っておく必要があるのです。
意外と見落とされがちなのが「裏表紙」です。商業ライトノベルの裏表紙を見てみましょう。
値段とバーコードとISBNコードの他に書いてあるものがありますよね。
そう「導入となるあらすじ」です。
ここでどれだけ読み手の期待値を上げられるかが最後の決め手になります。
「表紙」で釣って「タイトル」で興味を湧かせて「裏表紙」で作品が読みたくなるようにする。
これが揃えば後は買い手が冒頭を試し読みして興味と価格を見比べ、購入するか否かを判断するのです。
本文のレイアウトについて
「表紙」が最重要であることは事実です。それ以外に「本文のレイアウト」も重要になってきます。
コピー本であれば書き手であるあなたがレイアウトを考えなければなりません。
文字の大きさは。文字のフォントは。文字数は一ページに縦が何文字、横が何行入れるのか。ページ番号はどこに振るのか。章名をどこに置くのか。余白はどのくらいとるのか。などのことをすべて書き手が決める必要があるのです。
そうなれば文章作成ソフトの機能に精通する必要もあるので、高いコンピュータスキルが求められます。
コピー本は安上がりにできますが、書き手がやらなければならないことがかなり多いのです。
対してオフセット本は楽チンです。
たいてい印刷所に専用のフォーマットがあり、それを公式Webサイトからダウンロードできます。
そこにデータを流し込んでいけば、あっという間に提出データの完成です。
これをDVD−Rやインターネットで印刷所に提出して代金を支払えば、書き手の手間をかけずに製本されて送られてきます。
値段はコピー本よりもずっと高くなりますが「コンピュータスキルが低くても同人誌が作れる」という利点があり、とくにページ数の多い「連載小説の小説同人誌」であればオフセット印刷にするのが当たり前と言っていいでしょう。
宣伝をしっかり行なう
「小説同人誌」を作ったら、即売会開催日までにできうる限りの宣伝をしましょう。
連載していた小説投稿サイトの規約をよく読んで、その範囲内でどんなことができるのか。あらすじやキャプションやまえがきやあとがきで宣伝してよいところもありますし、活動報告でだけ宣伝してよいところもあります。
個人Webサイトや個人ブログをお持ちでしたら、そこでは必ず宣伝しましょう。宣伝するためにWebサイトやブログを開設したはずですからね。
『Twitter』をやっているのならユーザー名にサークル配置番号を記載します。そして宣伝ツイートを欠かしてはなりません。毎日宣伝ツイートするくらいはやりましょう。
一日に何回もやるのはさすがにやりすぎなので、
一日一回くらいのペースでかまいません。
どんな小説を販売するのかを端的に書いて、表紙があるのなら表紙の画像も投稿するのです。
また同じ即売会に参加するフォローしている方がいれば、その方の宣伝ツイートをリツイートしましょう。
一般参加者つまり買い手の人数が増えれば自分たちのチャンスも増えるからです。
『Facebook』は基本的に個人情報の正確な記載が求められますから、宣伝をしてしまうと個人を特定されかねません。実名で活動している方以外は『Facebook』での宣伝は控えるべきです。
最後に
今回は「小説同人誌を作るなら」どうするべきかについて述べました。
魅力的な「表紙」「タイトル」「裏表紙」であること、本文のレイアウトをきちんとして読みやすい書籍に仕上げること、宣伝をしっかりやることは最低限してください。
後はサークルで割り当てられた机にテーブルクロスを敷いてPOPなどで飾り、椅子に腰かけて来場者を待つのみです。
「小説同人誌」が売れるか売れないか。
それは今までのあなたの努力が正しかったのか間違っていたのかの検証でもあります。
まぁたいていの場合、期待を裏切って少ない部数しか売れないはずです。
でも最初ならそれが当たり前です。
懲りずに何回も同人誌即売会にサークル参加して宣伝して、買い手へ積極的にアプローチしてください。
買い手に認知されて初めて同人誌が売れるようになるのですから。
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