104.実践篇:連載小説家の気構え
不定期連載を宣言しながら翌日に投稿してしまう。
まぁよくあることです。
本当にネタは尽きているのですが、なにがしか思いついたら一本書きたくなります。
小説のほうでもこのようになったらいいですね。
連載小説家の気構え
小説投稿サイトで小説を連載しようと思い立ちました。
では小説投稿サイトで連載して評価を得る、つまりランキングに載るためにはどうすればいいでしょうか。
評価は主に構成力と表現力、そして途切れさせないことに分けられます。
構成力
構成力とは「あらすじ」と「プロット」をしっかり作っておくことです。
時系列を整理してできる限り現在から未来へ向けて物語を展開していくようにしましょう。
回想はどうしても必要に迫られたときにだけ用いればアクセントとして効いてきます。
あまり振り返りすぎると、くどくなって「現在軸」と「過去軸」のどちらが主体なのか不明になりかねません。
また「設定の矛盾がない」ことも構成力の要素です。
あまりに細かく設定していると、あの設定とこの設定とでは矛盾が生じてしまうということが出てきます。
とくに連載をしていると、以前設定した項目と新エピソードで追加設定した項目に食い違いが出てくるものです。ここでも「あらすじ」と「プロット」を作っておくことの重要性が問われます。
あらかじめ設定を詰めてあれば設定があちらこちらに傾くことを防げるのです。
またあえて設定を緩く作っておき、必要に迫られたら随時設定していくことでかなり防げます。
この場合は随時設定をしていく際に「設定一覧」に記載して、のちの設定
「あらすじ」と「プロット」と「設定一覧」がどれだけ重要か。
とくに連載小説は気分の向くままに筆を走らせがちです。
連載を始める前に決めるべきところは決めてから取りかかるようにしてください。
表現力
表現力は主に文章の簡略化と、比喩と、伝えたいことが正確に読み手に伝わることに分けられます。
文章の簡略化とは、一文に情報を詰め込みすぎないことです。
分けられるのであれば一文を分けていって主語と述語を近づけてやります。重文を単文に分けてテンポを出したり、複文を単文に分けて修飾語がどの単語にかかっているのかを明確にしたりするのです。
もちろん場合によっては重文により畳み込むことも必要でしょうし、複文であえてわかりにくい文章にする必要も出てくるでしょう。
でもそれはあくまでもアクセントにすぎません。
そんな文章だけが書かれていれば、読み手は一読するだけで混乱してしまいます。
推理小説ならわざと混乱させて真実をわかりにくくする手法も一般的です。
でもライトノベルでそんな意図を持つと主要層である中高生が理解しづらくなってしまいます。
ライトノベルはできるだけ簡素な文にして、速読しても内容が一回で頭に残るくらいにしておくべきです。難解さはできるだけ避けましょう。
文章の簡略化に付随する要素として「漢字を開く」ことも有効です。
とくに速読ができる読み手はまず漢字だけを見て文章の流れを掴みます。
漢字だらけの文章というのはそれだけで敷居の高さを漂わせてしまうのです。
冒頭の試し読みがいつでもできる小説投稿サイトでの連載小説ならば、画面に映し出された見開きページで漢字がどのくらいの割合で含まれているのか。これを必ずチェックしてください。
漢字を開くポイントとしては「補助動詞」「副詞」は基本的に開きましょう(ひらがなで表記しましょう)。
また漢字の持つ意味、漢字から受ける印象が異なる部分があればそこも開くべきです。
漢字には固有の意味があります。速読をする人は漢字だけを読んでその意味を頭の中に入れていくのです。
書き手が速読できないからといって速読のできる人に配慮しないのでは、せっかくの読み手を失うことにつながりかねません。
開ける漢字は極力開く。
これだけで文章は簡潔になっていきます。
比喩は修飾がかかる語の意味を特定するために不可欠です。
「陽だまりのような穏やかさ」と比喩すれば「穏やかさ」がどういったものなのかを特定しています。
詳しくは「比喩」をテーマにしたコラムNo.94を参考にしてみてください。
伝えたいことが正確に読み手に伝わることは、文字通りの意味です。
小説は物語の展開を表すためにあるわけではありません。
書き手が読み手に伝えたいことが正確に伝わっているか。
そこを重点的に見ていくべきです。
書き手の頭の中にある情報と、読み手に読ませている文章の中にある情報が食い違っていないかを確認してください。
書き漏らしがあれば過たず正しい文章に書き換えていくのです。
連載小説の場合、過去に投稿したぶんについては基本的に書き直しをしてはいけません。
それまで読んでくれた読み手のことを考えていないからです。
それでもどうしても書き換えないと辻褄が合わない。そんな事態も生じるでしょう。
それも「あらすじ」や「プロット」や「設定一覧」さえしっかりしていれば生じるはずもないのです。
早く連載したい気持ちもあるでしょうが、「あらすじ」と「プロット」と「設定一覧」をきちんと決めてから書き始めるほうが結果的に読み手のためになります。
書き手としても矛盾が生じて書き手としての格を下げるようなマネを自らする必要もないのです。
途切れさせない
小説の連載を開始したら、できるだけ毎日投稿してください。
一回の投稿ぶんを十分で読ませられる分量にするのであれば、せいぜい四千字から七千字、原稿用紙十枚から十五枚程度です。
それすら書けないようなら連載を始めることはいったんあきらめて、まずはどれだけ早く書けるようになるかに重点を置いてひたすら習作を書きましょう。
一日に五千字強書けるようになれば連載も問題なく継続できるはずです。
もちろんその習作を短編として小説投稿サイトに投稿することで、投稿していくペースをつかむこともたいせつになります。
また可能であれば一日に複数回投稿してできるだけ長編であっても一ヶ月から三ヶ月くらいで完結できるように配慮しましょう。
読み手はつねに新しい小説を読みたがっています。そんな読み手を長期間拘束してはなりません。
拘束されていると感じたら読み手は連載から離れていってしまいます。
閲覧数が増えない、評価が振るわない、ブックマークも少ない。これではモチベーションの上がるはずもないのです。
ですから連載は短期に集中して、一気に書き上げてしまいましょう。
超長編の連載小説で完結までに三百枚が十巻以上かかるような場合も、途中で挫けることなく連載を毎日投稿していくことがとくに大事になります。
もし途中で連載がストップしてしまったら。
作品の質がよほど高ければ待ってくれるかもしれませんが、最初からそこまで質の高い小説なんて書けはしません。
となれば読み手は作品から離れていき、書き手の評価も下がっていくのです。
反響がよくて第二部・第三部への展開を考慮する際は準備期間を設けて質を上げる必要もあります。
その間は短編でつないだり、別の連載を始めてもいいですね。
理想としては一日二本の連載を持つか、一日二本以上の連続投稿をするとよいでしょう。前者は書き手の多様性を、後者は書き手の意欲を表すことになります。
読み手へいかに書き手自身のことをアピールできるか。それによって作品の価値そのものを高めることにつながります。
ただし今まで連載経験のない人がいきなり超長編の連載を始めても、読んでくれる人はまずいません。物事には順序があります。
まず短編で評価を集め、ある程度フォロワーさんがついてきたことを確認してから連載を始めるべきです。そうすればフォロワー数を無理なく上げていくことができます。
最後に
今回は「連載小説家の気構え」について述べました。
一度連載を開始したら、特段の理由がない限り毎日投稿するべきです。だからこそフォロワー数を増やして書き手の人気も上げていけます。
どうしても穴を空けなければならなくなったら、事前に告知しておきましょう。
そして再開時期を明記して読み手に憶えてもらうのです。
事前告知があってもフォロワーは離れていきますしブックマークも減ることだけは確かです。
書き手にとっては「わずか数日」ですが、続きが気になる読み手としては「あと数日も待たないといけないのか」と認識します。
この差はかなり重要です。
読み手を待たせてはいけません。
ですから連載を開始したら必ず毎日投稿すべきなのです。
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