103.実践篇:小説投稿サイトで連載するということ
「小説家になる」ことについて述べてみました。
なお今回から不定期連載となります。毎日ネタを考え続けるのも100が限界というところでしょうか。(2019年5月時点では750日を超えて毎日連載していますが)。
小説投稿サイトで連載するということ
最大手『小説家になろう』や老舗『エブリスタ』、KADOKAWA共催『カクヨム』や『アルファポリス』などのように小説を投稿するサイトは複数あります。(2019年5月時点では『LINEノベル』『セルバンテス』が発足しています)。
これらのサイトでは原則として二次創作の投稿が禁じられているため、二次創作は『pixiv小説』が一手に引き受けているとみていいでしょう。(『カクヨム』でしか二次創作を投稿できない作品がありますので、そちらは『カクヨム』へ投稿してください)。
小説家になるには
現在「小説家」という言葉は広く「小説を書く人」を指しており、「小説で生計を立てられる人」という意味合いは薄くなっています。
「小説で生計を立てられる人」はとくに「プロ小説家」と区別する人もいます。
では「小説家」になるのはどうすればいいでしょうか。
「大衆に広く小説を読んでもらうこと」です。
人に読まれない小説はいくら書いても何の価値もありません。読み手がいるから小説は成り立っています。
これは絵画も同様で、いくらすぐれた絵画を描いたところで、どこにも発表しなければまったく評価されないのです。
死後に遺族の手によって世間に作品が発表され、それによって評価を受けた画家もいるくらいです。
小説ではないのですが、西洋の戦略書に軍事の天才ナポレオン・ボナパルトを論じたカール・フォン・クラウゼヴィッツ氏『戦争論』があります。
彼の死後に遺族である妻が原稿を見つけて編集を加えたうえで世間に発表されました。
以後第二次世界大戦までの西洋戦術は『戦争論』に書かれていた総力戦を元にした凄惨な結末を生んだのです。
それほどまでに影響力を持った作品は現在のところ類例がありません。
「小説家」になるには「大衆に広く読んでもらうこと」がたいせつです。
ではどうやって読んでもらえたら良いのでしょうか。
編集部へ持ち込むのはNG
昔は小説家になりたいと思っていた人が少なく、文芸誌は持ち込みを許可していました。
しかし現在はコンピュータの普及により小説家を希望する人が大幅に増えたのです。
需要も多いため出版社レーベルの数も増えていますが、出版社の伸びよりも小説家希望者の伸びのほうが圧倒的に速いため、現在は編集部への持ち込みをほとんど認めていません。
例外としては、すでに「プロ小説家」となっている人が編集さんへ紹介して原稿を読んでもらうことはあるそうです。
これはコネクションがないとできませんし、生半可なレベルの作品では「プロ小説家」がわざわざ担当編集さんに紹介することもないでしょう。
明治末期から昭和中期までは徒弟制度で「プロ小説家」の助手(といえば聞こえはいいですが要は家事手伝い)となって働く見返りとして編集さんを紹介してもらうような仕組みがありましたけれども、今はそれもありません。
「小説家集団」で一定数「プロ小説家」がいてレーベルに発言力がある場合は徒弟制度のように有望な新人を編集に紹介することはあるそうです。
たとえばライトノベルの祖の一人である水野良氏が所属する「グループSNE」は、まず水野良氏が「プロ小説家」としてデビューして以降、
でもそれはほんの一部の話です。
ですので現在は出版社の編集部に持ち込むのは禁止事項だと思っていいでしょう。
個人Webサイトや個人ブログで発表する
個人Webサイトや個人ブログで発表する手もあります。インターネット黎明期においては重要な役割を担っていたのです。
しかし現在は『Google』や『Yahoo!』などで読みたい小説を検索する読み手はまずいません。
今は『小説家になろう』『エブリスタ』『アルファポリス』『カクヨム』などの小説投稿サイトがあるため、作品はそちらに集約される形となっており、わざわざ個人Webサイトやブログを検索して探す必要性が薄まったのです。
今から小説を読んでもらおうという意図で個人Webサイトや個人ブログは作らないほうがいいでしょう。
ただし書き手のプロフィールや宣伝媒体としては依然として根強いものがあります。
小説投稿サイト内で宣伝行為が禁止されている小説投稿サイトも多いので、宣伝として個人Webサイトか個人ブログを持っていると将来的に強みとなりえます。
小説投稿サイトに投稿する
では現在どうすれば他人に読んでもらえるのでしょうか。
身近な友人・知人に頼めるのなら読んでもらいましょう。
ただ関係が近いだけに遠慮してしまって悪い内容でもそれなりな評価が返ってくると思います。
あまり正確な反応は期待できません。
公平公正な評価が欲しいときは「小説投稿サイト」を利用するのがオススメです。
基本的に無料で投稿できますし、無料で閲覧できます。人気のあるジャンルならそれなりに閲覧してもらえますし、気に入れば評価点が入ったりブックマークに入ったりして作品の相対的な評価が得られるでしょう。
さらに遠慮のないコメントが返ってきますので、書き手のスキルアップにもつながります。
小説投稿サイトでの手始め
小説投稿サイトに狙いを定めたとして、どこに投稿すればいいのかがわからない。そういう人も多いでしょう。
まず二次創作は基本的に投稿が禁止されているところが多いので、二次創作であれば『pixiv小説』が最有力になります。
ただし『カクヨム』で二次創作が投稿可能となっている作品は他の小説投稿サイトには投稿してはならないとするルールがあるため、『カクヨム』でしか投稿が許されない二次創作かどうかをあらかじめチェックしておきましょう。
それら作品群の二次創作投稿は『カクヨム』で行なってください。
『pixiv小説』は二次創作天国であるため「まず二次創作で力をつけてからオリジナルを書きたい」という書き手の方は『pixiv小説』でいいね!やブックマークを集めて反響を見ながら実力を身につけていくとよいでしょう。
またどの小説投稿サイトにもいえますが、投稿一本目から超長編の連載小説を始めるのはやめたほうがいいです。(『カクヨム』でいきなり本コラムを連載している私はこの時点で駄目な部類に入りますが)。
書き手の実力がわからない状態で連載を始めても、読んでくれる人はまずいません。
手始めに短編を数本投稿して、各小説投稿サイトに設置されている投稿フォームの使い方を憶えていくことをオススメします。
うまく使いこなせるようになってから超長編の連載小説を始めても遅くはありません。
連載小説ともなれば毎日のように投稿し続けなければならなくなるのです。
評価のないまたは低い書き手が連載しても読み手は気にも留めてくれません。
無意味なことはしないようにしましょう。
どの小説投稿サイトを選ぶべきか
『小説家になろう』は二重投稿が可能な規約なので、とりあえず『小説家になろう』に投稿しておいて他の小説投稿サイトにも投稿していくことを検討してください。
そういう規約があるため『小説家になろう』は業界最大手の小説投稿サイトになりえたのだと思います。
次にジャンルとターゲット層によって分かれてくる部分があります。
異世界転生ファンタジー・異世界転移ファンタジーは『小説家になろう』で最も読まれているジャンルです。それらを書きたい場合は必ず『小説家になろう』に投稿しておきましょう。(現在では異世界恋愛、ラブコメが強いです。異世界転生・異世界転移は『カクヨム』に連載が移っている作品もあるようです)。
また二十代以上を標的として狙いたい場合も『小説家になろう』を第一候補にしてください。利用ユーザーの年齢層が高いのも『小説家になろう』の特徴です。
中高生をターゲットにするなら『カクヨム』を選択するといいでしょう。
『エブリスタ』は『pixiv小説』と対称な存在で、二次創作は制限されていますが小説の他に絵や漫画も投稿できます。元々絵の投稿を目的として設立された『pixiv』と、元々小説の投稿を目的として設立された『エブリスタ』は、現在双方の長所を取り入れようと躍起になっています。
いい意味での競争関係にあるのです。
小説賞を狙う
『小説家になろう』『エブリスタ』『アルファポリス』『カクヨム』では出版社主催の「小説賞・新人賞」をいくつも開催しているので、自分の書いている作品が募集要項に当てはまるのなら、積極的に参加するべきです。
ただし「小説賞・新人賞」への投稿作品は基本的に二重投稿が禁止されているので「とりあえず『小説家になろう』に投稿しておこう」というスタイルを「小説賞・新人賞」応募作ではとれません。
小説を連載する
小説投稿サイトでは「小説を連載」するための機能があらかた整っています。
三百枚・十万字の小説を一気に投稿すると、読み手は十万字近くを一度に読まなければならないのです。
しかもどこまで読んだのかがわかる「しおり」が挟めるサイトなのかも一気投稿が読み手に読まれるのか切られるのかの分かれ道になります。
そのため小説投稿サイトでの投稿は基本的に「小説を連載する」ことが前提となるのです。
連載小説は一回の投稿で五千字前後であることが多く、たいてい十分〜二十分ほどで読み終わります。
インターネットで小説を読む主要層となる中高生の空き時間を有効に活用できるのです。
二十代以上を狙った『小説家になろう』ならお昼休みや通勤などの空いた時間で何本かの連載小説を同時並行で読んでいる方が多くなります。
数万字もある連載小説を一本だけずっと追いかけてくれるような読み手はまずいないと思ってよいでしょう。
連載するときは一回の投稿で何千字〜何万字を投稿すべきかは書き手であるあなたに委ねられています。
一回四千字を一日三回くらい投稿する場合もあるでしょうし、一回二万字を投稿する場合もあるでしょう。
どれが正解ということはありませんが、いつでもすぐに読み終えられるか、読む途中で中断したら続きをすぐに読めるような工夫ができるかで変わってきます。
多くの小説投稿サイトでは「改ページ」を入れることで「今このページを読んでいるから、再開するときは何ページ目からだな」と目安にできるのです。
そのため手間ではありますが、一回に何万字も投稿するのであれば数千字に一回くらいの割合で「改ページ」を用いるのはかなり有効な手段となりえます。
(ページ管理ができない小説投稿サイトでは、話数で区切ってください)。
最後に
今回は「小説投稿サイトで連載する」ことについて述べました。
まず小説をどのように読み手に読んでもらえるのかを考えてみましょう。
現時点では小説投稿サイトがベストです。
そして一気にすべてを投稿するよりも、小分けに投稿して連載したほうが読み手に優しいこと。
この二点について言及しました。
あとは書き手であるあなたがどの小説投稿サイトを選び、どのような連載スタイルにするかを決めるだけです。
小説は連載を始めたら必ず終了させるようにしてください。
途中で放り出して別の作品を書くようでは、読み手のためにも書き手のためにもなりません。
連載なんて毎日投稿していればたかが一、二ヶ月で終わるものです。
途中で放り出さずに集中して一気に書き上げる努力をしてください。
どうしても別の作品も書きたいのであれば、現在連載中の作品と同時並行で書くべきです。
「この書き手は同時に何本もの連載が書ける人なんだ」と認識されれば、それはかなりの高評価を得られるポイントにもなります。
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