85.実践篇:接続詞・接続助詞と擬音語に頼らない

 今回はついやってしまいがちになることについて述べました。





接続詞・接続助詞と擬音語に頼らない


 日本語はどんな書き方もできてしまいます。

 文法として誤っていても文章にできてしまうのです。

 そんな日本語を少しでもよく見せたいときは以下の点に注意してみましょう。





■接続詞・接続助詞に頼らない

 これは自戒も込めています。

 接続詞・接続助詞があれば文意が伝わりやすいのは確かです。

 書き手としても書きやすい。

 ある書籍では「接続詞で文章はうまくなる」とまで言い切っています。


 私はその書籍を書店で見かける遥か前に本多勝一氏の文章読本を読んでいました。

 「接続詞や接続助詞はできるだけ使うな」という言葉を胸に刻んでいます。

 それでも使ってしまうのですけどね。


 どうやらある程度使うのが自分の文体なのだと思い知りました。

 そうであっても削れるものはできるだけ削りたい。

 意識だけはあります。



 接続詞・接続助詞は使わないで済むのであれば極力使わないようにしましょう。

 多用すると「小学生の作文レベル」と思われかねません。

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 今日は運動会がありました。それで僕が選手宣誓をしました。すると皆から拍手されました。そして徒競走で一位になりました。また皆が拍手してくれました。

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 あまりに「小学生の作文レベル」だと思いませんか。

 「接続詞・接続助詞を使えば使うほど読み手に親切」だとは思えません。

 ひじょうにまどろっこしいだけです。

「そして」「それで」「しかし」「だが」「でも」などの接続詞、「〜として」「〜だが」「〜でも」などの接続助詞はできるかぎり省きましょう。

 省くことで言いたいことがシンプルになるのです。

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 今日は運動会がありました。僕が選手宣誓をしました。皆から拍手されました。徒競走で一位になりました。また皆から拍手されました。

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 これでかなりシンプルになりました。

 それでも「小学生の作文レベル」を脱しないのにはわけがあるのですが、それは後日にとっておきます。

 まぁ才能のある方なら、この文章をチラッとでも見ればすぐにわかるはずです。


 接続詞・接続助詞を省くようにすると、文章の組み立て方や見せ方そのものを変えなければならなくなるはずです。

 創意工夫をする結果として文体が洗練されていきます。

 接続詞・接続助詞に頼らないことで文章力は確実に向上するのです。


 そのうえでとくに「ここぞ」というときだけ接続詞・接続助詞を用いるようにすれば、ひじょうに効果的な表現になります。

 どうもすっきりした文章が書けていないなと感じたら、まず接続詞・接続助詞を省くところから始めてみましょう。





■擬音語に頼らない

 犬の「ワンワン」と吠える声や鶏の「コケコッコー」と鳴く声、火薬が「ドカーン」と炸裂する音や、風が「ビュービュー」と耳を切る音、大物が「ドーン」と構えているような存在感といった擬音語はひじょうに使い勝手がいいです。

 マンガをそのまま小説にしたような感じがして、とくにあまり小説を書きつけない人にとっては重宝します。

 でもあまりに頼りすぎると「小学生の作文レベル」になってしまうのです。

――――――――

 コケコッコー。朝を告げる鶏の鳴き声で目を覚ます。

 ベッドの脇にあるケージから飼い犬のジョンがワンワンと吠えてきた。早く餌をくれと急かされているような気がする。

 すぐに台所に向かい、オーブンレンジに食パンを入れてピピッとトースト機能を作動させた。棚からペットフードを取り出してジョン用の皿にカラカラと注いでいく。

 すたすたと部屋へ戻り、食事を待っていたジョンに皿を渡すと待ってましたとばかりにガツガツと食べ始めた。

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 やはり「小学生の作文レベル」です。

 「コケコッコー」は導入なのでまぁいいとして、「ジョンがワンワンと吠えてきた」は「ジョンがしきりに吠えてきた」でも通じるし、「ピピッとトースト機能を作動させた」は単に「トースト機能を選択して作動させた」でも通じます。

 「カラカラと注いでいく」も「乾いた音を立てて注いでいく」でいいし、「スタスタと部屋へ戻り」は「駆け足で部屋へ戻り」、「ガツガツと食べ始めた」は「貪るように食べ始めた」でなんら問題ありません。

――――――――

 コケコッコー。朝を告げる鶏の鳴き声で目を覚ます。

 ベッドの脇にあるケージから飼い犬のジョンがしきりに吠えてきた。早く餌をくれと急かされているような気がする。

 すぐに台所に向かい、オーブンレンジに食パンを入れてトースト機能を選択して作動させた。棚からペットフードを取り出してジョン用の皿に乾いた音を立てて注いでいく。

 駆け足で部屋へ戻り、食事を待っていたジョンに皿を渡すと待ってましたとばかり貪るように食べ始めた。

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 擬音語は本当に必要な場面で効果的に使うからイメージが膨らむのであって、なんでもかんでも使うのはただの字数稼ぎに見えます。

「小学生の作文レベル」に見えるのも「他に表現できる手段があるのに擬音語に頼りきっている」からです。

 できるかぎり擬音語を用いず、状況を描写していくクセをつけてください。

 慣れてくればとても洗練された文章が出来あがります。





最後に

 今回は「接続詞・接続助詞と擬音語に頼らない」ことについて述べました。


 短文ですが、前回の補講があったので合わせて一本ということで。


 いずれも文章を書くときについ入れてしまうものです。

 しかし要らないものが多いのも事実です。

 要らないのであれば断固として省き、別の表現を模索すべきでしょう。



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