83.実践篇:あなたの小説が廃れないためには(中略あり)
今回は作品の陳腐化・古典化を防ぐ提案を二つ書いてみました。
あなたの小説が廃れないためには
今回はせっかく書く小説が廃れて「誰にも読まれなくなる」状態をどう防ぐべきかを書いてみました。
主に二点あります。
ネットスラングを使わない
現代はインターネットのEメールやSNS(TwitterやFacebookやLINEなど)でコミュニケーションをとりあう時代です。
そのため小説を書いているときについネットスラングを使ってしまうことがあります。
顔文字「(^_^) (T_T)」とか、「(笑)」「(小並感)」「微レ存」「ggrks」などです。
これを普通の小説に書いてしまうとそれまで築いてきた雰囲気が一瞬でぶち壊しになります。
三百枚書いたとしてその最後の最後で「そんなことあるかよ(笑)」などと書いたら、これまでのすべてがぶち壊しです。
流行り言葉、とくにネットスラングは使うべきではありません。
まぁ「ギャグ小説」だというのであればそれも「あり」といえば「あり」です。
ただし小説においてインターネットで会話のやりとりをしている場面(これは現代小説では一般的に用いられますよね)や、インターネットの内部が舞台となる作品(『.hack』シリーズに始まり川原礫氏『ソードアート・オンライン』『アクセル・ワールド』などが有名です)なら、ネットスラングを使ったほうが
ネットの世界にいながらネットスラングを使わないほうが違和感を覚えるのではないでしょうか。
ネットスラングは現れてはすぐ消えていく一種の「流行り言葉」なので、風化が著しいのが特徴です。
十年後・二十年後にその小説を読んだとき「この表現は懐かしいな」と感じるか「この表現は古すぎてまったくわからないわ」と感じるかはそのときの読み手次第になります。
書き手は自ら評価を下せません。
下せるのは後世に作品を読んだ人たちのみ。
たとえば十年後にウェブ検索エンジン『Google』が没落していたら「ggrks」がなんのことなのかさっぱりわからない読み手だらけになるということです。
あまりに「古すぎる」と思われると「古典」と判断されて後世にはタイトルこそ知っていても小説は売れなくなることがじゅうぶんにありえます。
そうなれば書店の棚を占拠し続けることは難しいでしょう。
一種の「流行り言葉」であるネットスラングを使わないで済むなら使わないほうがいいのです。
そのほうが作品は長く語り継がれます。
■流行りに流されず風化しない作品
小説投稿サイト『小説家になろう』で「異世界転生ファンタジー」ものが人気なのは、架空世界を舞台としているため世界観が風化しにくいからです。
いつ読んでも同じように読めます。
だから二十年経った作品が、今読んでも存分に楽しめるのです。
商業ライトノベルでは水野良氏『ロードス島戦記』シリーズや『魔法戦士リウイ』シリーズなどの純粋な異世界ファンタジーはいつ読んでも同じ感動を読み手に与えてくれます。
「異世界転生ファンタジー」でなく王道であるがゆえに、これらシリーズは今読んでもまったく色褪せません。
それに比べて渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は現代にしか通用しません。
学園ものとしては後世にも共通項が残り続けることでしょう。
でも今より進化した通信デバイスなどが発明されて普及したら、今隆盛を極める『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』も「古臭い作品」という印象を与えて「古典」の仲間入りをすることになります。
谷川流氏『涼宮ハルヒの憂鬱』がすでに「古典」になってしまったのが好例です。
現代劇ではどうしても流行りや時代を映さずにいられません。
これを「同時代性」と呼びます。
現実の通信手段を思い出してください。まずのろしがありました。それが手旗信号、モールス信号、電報、黒電話、公衆電話、車載電話、ポケットベル(ポケベル)、携帯電話、GPS携帯電話(ガラパゴス・ケータイ)、スマートフォンと移り変わっています。
時代に即した小説を書けば、必然的にテクノロジーと無関係ではいられません。
白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫が家電の三種の神器であった歴史があります。
それ以前の小説と、それ以後の小説ではそれらの扱いが異なります。
それがカラーテレビ・クーラー・カーの3Cが新三種の神器となりました。
それ以前とそれ以後ではやはり世界ががらりと変わったのです。
このように現代劇はテクノロジーの変化によって一気に陳腐化しやすい。
だから現代劇は短距離走だと思ってください。
書き上げてから売上が伸びるのはごく短期間です。
それに比べてSFやファンタジーは長距離走になります。
現実のテクノロジーとはまったく異なっているがために、何年先であっても陳腐化しません。
〜(中略)〜
最後に
今回は「あなたの小説が廃れないためには」について述べてみました。
流行りを追ったり時代に沿ったりした小説は、その当時にのみ強い輝きを放ちます。
まるで流れ星を見るかのようです。
流行りや時代に流されない小説にするには、どれだけ現実のテクノロジーと解離させるかにかかっています。
「異世界転生ファンタジー」が人気なのはそのためでもあります。
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