82.実践篇:文章のルール

 今回は原稿用紙の使い方について述べてみました。





文章のルール


 小説における文章のルールはいくつかあります。今回はとくに原稿用紙の使い方について述べて見たいと思います。





原稿用紙表記のルール

■題名

 小説の題名は最初のページの第一行に全角三字下げて書きます。ただし小説投稿サイトでは題名は自動で処理されるので気にしなくても構いません。


■著者名

 著者名は題名の次行で行末を全角一字空けて書きます。こちらも小説投稿サイトでは自動で処理されるので気にしなくても構いません。


■章名

 章は改ページをしてから第一行に全角一字下げて書きます。こちらも小説投稿サイトで設定できるのでとくに気にしなくてもよいです。


■項名

 項は前項の最終行から一行空けて全角三字〜五字下げて書きます。


場面シーン

 項の中で場面シーンが変わるときは一行空けて次のシーンを書きます。このために空白行があるのです。

 小説投稿サイトのライトノベルのように、一文でいちいち空白行を入れていくと、二行空けなんて平気で行なってしまいます。


■段落

 文の主体が変わったときは基本的に改行します。


■行頭一字下げ

 の文で各段落を書き始めるときは必ず全角一字を下げます。これは会話文と一瞬で区別するために必要です。つまり会話文の始めカッコが行頭にあればそれは会話文だということになります。


■禁則処理

「行頭一字下げ」と並んで重要になるのが禁則処理です。

 行頭に句読点(“。”や“、”)、中点や三点リーダーやダッシュ(“・”や“……”や“ーー”)、閉じカッコ(“」”や“)”)、長音(“ー“)、小文字(“っ”“ゃ”“ゅ”“ょ”“ぁ”“ぃ”“ぅ”“ぇ”“ぉ”)、感嘆符と疑問符(“!”や“?”)、空白(“ ”)、繰り返し(“々”や“ゝ”)が来ないようにすること。繰り返しの場合は繰り返される文字を重ねて書きます(日/々→日/日)。

 行頭で禁則処理される句読点(“。”や“、”)、閉じカッコ(“」”や“)”)は行末で一字はみ出させて処理します。

 現在は自動で禁則処理をしてくれるワープロアプリがあるので便利です。

 よりシンプルな機能しか持たないテキストエディタには禁則処理をしてくれないものもあります。

 そのときは書き手側が手作業で禁則処理をしていくことになりますので、この際憶えておきましょう。


■閉じカッコ前の句点

 閉じカッコの前に句点が付く場合は句点を省きます。「今日はいい天気だ。」⇒「今日はいい天気だ」


■感嘆符と疑問符

 文中で感嘆符と疑問符(“!”と“?”)を使うときは、次の文字を全角一字空けます。ただし続く文字が閉じカッコである場合は、空白を入れずに続けましょう。「これはなんだろう? 勝はそれを手にとった」「「これはなんだろう?」 勝はそれを手にとった」


■三点リーダーとダッシュ

 三点リーダー(…)とダッシュ(―)は必ず偶数個単位で用います。

 基本は二つだけです。

 三点リーダーは基本的に空白の時間を経過させる働きがあります。

 「倒れた人を棒でつついてみた……ただのしかばねのようだ」のように。

 ダッシュは基本的に引用や補足を表す働きがあります。

 「男は度胸――ということらしい」のように。


 小説投稿サイトでは三点リーダーを四個、六個、八個などで使う方もいますが、本来は二個だけが正解です。

 「空白時間がある」という表現は二個「……」だけでじゅうぶんに表せます。

 多く使ってしまうのはコンピュータ・ゲームのやりすぎです。

 気をつけてくださいませ。


■数字の扱い

 縦書きは漢数字(一、二、三、四、……)で書くのが基本です。

 桁の表現には二通りあり、千・百・十を記す人(十万二千十七年)と、千・百・十を略す人(一〇万二〇一七年)がいます。数字はこのどちらかを使用するのです。

 万以上の桁があるときに千の桁や百の桁などが空白である場合は飛ばす人(一〇万一七年)と〇で埋める人(一〇万〇〇一七年)がいるので、どちらかを選んでください。


 ただし慣用句の場合は千・百・十をそのまま用います(千変万化、十人十色、百人一首など)。

 また横文字として定着している語句の場合は算用数字を用いるのです(A4紙、F−35戦闘攻撃機など)。

 算用数字を使う場合は基本的にすべて全角ですが、数字が二桁であれば半角にして全角一字に収めることもできます(校正さんが少し嫌がりますが)。


 横書きは算用数字(1、2、3、4、……)で書くのが基本です。

 桁の表現は千・百・十を略します(10万2017年)。

 万以上の桁があるときに千の桁や百の桁などが空白である場合は飛ばす人(10万17年)と0で埋める人(10万0017年)がいますが基本は飛ばすので、主に飛ばすほうを選んでください。


 ただし慣用句の場合は漢数字で記します(一期一会、七転八倒、千載一遇など)。「二人三脚」を「2人3脚」と書いてはなりません。

 小説の場合は基本的に全角で書きますが、二桁の数字の場合は半角で書くと全角一字の中でそこだけ横書きになって表現されます。


 なお小説投稿サイトのへの投稿であればすべて半角数字であっても許容されます。


■英語などの扱い

 英語などの横書きの外国語はすべて全角で書くか、すべて半角で書くかします。

 すべて半角で書くと外国語は右に九十度傾いた状態で記されます。また「数字の扱い」で触れたように「A4紙」のように略語が日本語として定着している場合は全角で書くのが一般的です。


■同じ漢字を繰り返さない

 「馬から落ちて落馬した」「違和感を感じる」「天才と言っても過言ではない」のように同じ漢字が出てくると「この書き手はバカじゃないか?」と読み手に見下されます。

 そんな書き手の小説を読み進めようと思いますか。

 「馬から落ちる」ことを「落馬」というのだから、「馬から落ちた」か「落馬した」と書けばいいのです。


 「違和感を感じる」は一見間違っていないようですが「違和を感じる」から「違和感」なのです。

 「違和感」として用いる場合は「違和感を覚える」「違和感を抱く」「違和感を持つ」「違和感がある」などと書くのが一般的です。


 「天才と言っても過言ではない」はプロの書き手でもよく書きます。本来は「天才としても過言ではない」が正解です。またどうしてもこう言いたい場合は「天才と云っても過言ではない」とするか「天才といっても過言ではない」のように同じ漢字が出てこないように気を配りましょう。





最後に

 今回は「文章のルール」について述べてみました。

 小説投稿サイトに投稿するにしても、原稿用紙の書き方は憶えておくべきです。

 いつ人気が出て「紙の書籍化」されて「商業ライトノベル」になるともかぎりません。

 知らないでいると、校正さんからかなりのダメ出しを食らうことになります。精神的につらくなるのです。

 小学校で学んだ「原稿用紙の使い方」を思い出してくださいね。



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