53.中級篇:小説を連載してみよう
今回は大胆にも「小説を連載してみよう」と大きく出ました。
そうすることでしか身につかないものがあるからです。
小説を連載してみよう
中級ともなれば、自分に
そのためには「小説を連載してみる」ことをオススメします。
小説を連載するということ
あなたがもし商業作家を目指しているのだとすれば、担当編集さんから最初に与えられる課題が「小説を連載してくれ」というものです。
各レーベルに小説雑誌がある場合はそちらでの連載もありえます。ほとんどの小説雑誌は月刊であるため、毎月必ず決まった分量の小説を掲載しなければなりません。
あなたにその能力があるのかを見極めるためにも、各小説投稿サイトが役に立ちます。
もし小説投稿サイトに毎日または毎週末小説を継続して投稿していると各出版社が見ていてくれたならば、あなたには小説を連載する能力があると判断され、商業作家に一歩近づくのです。
目標は原稿用紙三百枚
小説投稿サイトに連載しているとしても、内容がぐだぐたでは出版社の印象はよくありません。
連載すること自体はとても有意義なことです。
でも連載に基準を設けてしっかりと終わらせる能力があるのかないのか。
それが問われてきます。
そのため小説を連載するとき、まず目安にしたいのが「四百字詰め原稿用紙三百枚」に収まるようにまとめることです。
つまり総文字数で十二万字前後で連載を終了させましょう。
目安を決めずにダラダラと連載を続けているようでは連載作家としては失格です。
いくらよい小説を書いても分量が足りなすぎるか多すぎるかして単行本一冊にまとめられない。これでは紙の書籍化はできません。
同人誌ならまだしも商業書籍として出版することは難しくなっていきます。
あらかじめ毎日または毎週末に書ける分量が何千字・何万字であるかを把握しておくべきです。
一回の投稿ぶんで何千字を書けるのか。
これを知るためにも連載するつもりで小説を書き溜めておく必要があります。
たとえば毎日四千字を書いて投稿できるとすれば、三十回の連載できちんと終了できるかどうか。毎日五千字なら二十四回です。毎週末一万二千字なら十回。これを目安にして連載していくことになります。
必ず箱書きを書く
小説を連載するには、物語の構成がきっちりしている必要があります。
そのためには「箱書き」を書いておくにしくはありません。
どんなエピソードを入れるか、そのエピソードではどんな
連載を開始する前にこれらをはっきりとさせる必要があります。
行き当たりばったりで連載を始めても、いつ終了できるかわかったものではありません。
先に「箱書き」を書いておけば、書くべきエピソードや
だから何回の連載で終了できるかを前もって把握できるわけです。
「箱書き」があれば三百枚を基準にして規定回数で連載していく道筋が見えてきます。
前もって何回で連載が終われるかを知れば、ムダなシーンを追加して話が中だるみするようなこともなくなるのです。
連載はできるかぎり中断しない
連載するならできるだけ継続して投稿できるよう配慮してください。
小説を連載するということは、読み手に「これからこの物語を絶え間なく発表していくので、読み続けてください」と書き手がお願いしている状態なのです。
連載を絶対に途切れさせないこと。これを最優先にしてください。
連載を毎日続けられるか不透明であるのなら、毎週末までにストックしておいて一回ぶんとして投稿するようにしてください。
読み手は小説投稿サイトで毎日のように読みたい小説の連載を探しています。
なにせ小説投稿サイトは無料で利用できますからね。
そのお手軽さが小説投稿サイト最大の武器です。
そのとき毎日または毎週末できちんと連載ペースが保たれていることは、読み手が読みたいと思ってくれる一因にもなります。
どうしても用事があって間があく場合は、連載中断が発生すると判断したときの投稿の「あらすじ」「紹介文」「キャプション」で「××の理由でこの期間は投稿できません。○月○○日に連載を再開する予定です」のようにきちんと予告しておきましょう。
予告があれば連載を期待していた読み手はきちんと待ってくれます。
もし予告なく連載が途切れたとしたら、読み手は「この書き手はこの連載に真剣ではないのだな」と感じて連載を追うことをやめるでしょう。そして新しく読みたくなる小説を探す検索の旅が始まります。
マンガの冨樫義博氏『HUNTER×HUNTER』が悪い見本です。連載していたら突如休載し、以後一年は続きが読めない。これで読み手の数は相当減っているはずです。
もしきちんと休載せずに継続していたのなら、話はもっと早く完結していたでしょうし、読み手も毎週『週刊少年ジャンプ』の発売を心待ちにしていたでしょう。
そう考えると残念な状況だと言わざるをえません。
だからできるだけ「連載の中断はしない」に越したことはないのです。
何千字ペースで書くべきことが決まる
原稿用紙三百枚前後を目安と仮定し、もし毎日五千字を執筆できるとすれば、二十四回の連載で終わらなければなりません。
となれば起承転結に代表される小説の構成も定まってくるのです。
もし単純に「起承転結」の形を採用したとすれば、「起承転結」それぞれに六回の連載ぶんが確保できます。
その中でさらに「起承転結」を創る必要がありますから、ひと投稿で起の起を書くという具合です。
それぞれに六回ということは「起承承転転結」とか「起承転結転結」のような形も考えられます。
小説全体の構成を「起承転結転結」にすれば「起承転結転結」それぞれに四回の連載ぶんとなり、そのまま「起承転結」のシーンを書けるということです。
(連載の四部構成についてはNo.648「文体篇:物語は四部で構成する」をご参照くださいませ)。
もちろん各章ごとに描写の注力度は変わっていきますから、転をできるだけたくさん書きたいと思えば起を一万字に抑えて、そのぶん転に五万字をかけてもいっこうにかまいません。
仮に「序破急」を採用すれば「序序破破急急」とそれぞれを前後編に分けられるのです。これなら展開を無理せず書けるでしょう。
このようにひと投稿で何千字書けるかが小説の構成を左右します。ひと投稿でどれだけ書けるかを知ることで、物語はシェイプアップして読み手を飽きさせない展開が可能になるのです。
章立てを考える
ひと投稿ぶんで五千字書けるとすれば二十四回の連載になります。とすればすべての投稿を章立てすれば二十四章です。
しかし基本的に章立ては三百枚で三章〜十二章あたりが適当です。つまり五千字書けるなら二投稿ぶん〜八投稿ぶんで一章ということになります。
章はそのまま「起承転結」などの構成に直結しますから、何章までが起なのかなどを考慮しながら書いていくことになるのです。
章はこれまでのコラムで述べていた「エピソード」に相当します。
どんな「エピソード」を書いていくかを考えるのです。
その章では主人公は誰で、
これを章の中で明確にします。
そうすれば物語の展開に無理が生じません。
ひと投稿ぶんで書くべきこともはっきりしてくるのです。
最後に
今回は「小説を連載する」ことについて述べてみました。
ある程度書けるようになってきたら、ぜひ小説投稿サイトで連載することを検討してください。連載することで筆力も徐々についてきて、物語の展開のさせ方も身につきます。
とくにインターネット時代の書き手が将来プロの書き手になろうというならば、もはや小説投稿サイトでの連載は欠かせません。
「紙の書籍化」が現実的な『カクヨム』『小説家になろう』『エブリスタ』に小説を投稿するようにしてください。
不完全な状態でこれらの小説投稿サイトに投稿すると不名誉な評価を受けて、いくら反響のいい小説を連載していても紙の書籍化が遠ざかってしまいます。
もし筆力をつけつつ評価も得たいとお考えなら『pixiv小説』で二次創作の連載を始めてはいかがでしょうか。
人気のある作品の二次創作なら「男子に人気」で百単位、「女子に人気」で千単位の反響があります。ここで評価を受けつつ筆力を高めていき、じゅうぶん筆力がついたときに『小説家になろう』などでオリジナル小説を連載していけば紙の書籍化も見えてくるでしょう。
あなたも小説を連載してみませんか。
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