夜中のガーベラの写真

カメラを買った。

かなりガチのやつである。もちろん、今ではもう旧型となってしまっているものだ。でも当時は高かった。

それでとりあえずいろいろ撮りまくった。その大半は愛犬が占めているのだが……


夜中になっても、私の“写欲”とも言うべき、撮りたい熱は収まらなかった。風呂から出て、台所に置いておいたカメラを手にし、ファインダーを覗く。

テーブルの上の明かりしか点けていなかったので、辺りは暗い。パシャリと一枚とっても、ほとんど真っ暗である。


それでも、ISOを上げて、多くの光に反応できるようにした。

となると、後は被写体だが……


私は、テーブルの上に一輪あるガーベラの花に意識を向けた。また誰からかもらったのか、母が一輪挿しにして置いていたのだ。


パシャリと、花に向かってシャッターを切る。

背面のディスプレイには、暗い背景にぼんやりと浮かぶオレンジ色の花が収まっていた。


それを見て、どことなく儚く、悲しく、寂しく思った。

これはよくない。おそらく、これは私の人生を表している。

暗闇の中で消えそうになりながら、もがいている。

そんなことを思った。


これはよくない。く消すべきである。すべからく消すべきである。

確かにそう思った。


だが、悔しいが案外良い写真になったので、今も消さずに残っている。


儚さは美しさに負けた。

今では、母の某SNSのアイコンという名誉職になっている。

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アリストロメリアの雑感 黒崎葦雀 @kuro_kc

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