第6話 エンドレスストーリー
日差しが温かい。
何処かから野球部が練習をしている声が聴こえた。
ゆっくりと僕は目を開けた。
「ここは……」
そこは中庭だった。
僕は何か長い夢を見たような。
「山田君! 大丈夫?」
聴きなれた声が聴こえて振り向いていると、其処には血相を変えた清水さんが駆け寄ってくる。
「私を助けようと突き飛ばした反動で山田君が屋上から落ちちゃって、怪我は無い?」
彼女は涙目で僕の体をポンポンと触る。
そういえば僕は四階部分から落ちたのだ。でも、何処も痛くは無い。
一体どういうことだ?
「中庭が芝生だったから助かったみたい」
芝生くらいで無傷で済むとは到底思えないけど、彼女が余りにも心配するからそう言って誤魔化すことにした。
「きっと、何かの奇跡が起こったのだろう」
「よかった、本当に良かった」
清水さんは涙を流して僕を抱きしめた。
「清水さんこそあんなこと絶対にこれ以上やっちゃダメだからね。世界は貴方のことを嫌っているわけじゃないよ。少なくとも……」
僕は照れくさそうに頬を掻く。
「僕は、君のことが好きだからさ」
「うん……、ありがとう」
僕達は涙を流しながら抱き合って笑った。
長い夢の内容は忘れてしまったけれど、そのうち思い出すときが来るのだろう。
僕は、彼女と共に歩んでいこう。
これは、これからも永遠に続く僕達の物語。
エンドレスストーリー
(了)
エンド×レス・ストーリー 黒幕横丁 @kuromaku125
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます