第4話 そして俺らの勘違いは生まれる

「影山くん、これは一体どういうこと?」

職員室にて、俺は担任の桜ヶ丘桜恋に問い詰められていた。

入学式後のアンケートで『あたらしい友達とは今後どのような仲になりたいですか』という項目があったので、俺はご丁寧に『友達がいないので特にどうも思ってないです』と書いたら案の定呼び出されてしまった。

「いくらなんでも、1人もいないなんてことはないんじゃない?」

「いや、いないです。特に作る気もないんで」

「うーん....無理して友達を作りなさないなんて言わないけれどね、まあ先生は無理して作ろうとしても結婚相手は見つからないけど...」

なんだこの先生急に自虐ネタいれてくるな

「俺こんなんだし人と話すの苦手っつーか、まあ必要最低限に関わろうかなって」

「そうねえ、でもあなたどうしたの?中学の頃の先生からの報告書だと、もっとー....」「話終わりですか?」

「まあね。あ、でもダメダメだよ!ちゃんとアンケートは書かないと!私が怒られちゃう!」

なんて私欲にまみれたアラサーなんだ..と思ったが、口には出さなかった。

「あと、そんな悠長に先生の目をみてしっかり話せる生徒が話すの苦手だとか友達ができないなんて、無理があるよ」

俺は何も言わないで振り返らず、職員室を出た。

「影山くん!」

甲高い声が低血圧に優しくない。

「探したよ〜!お昼一緒に食べようよ!」

そう、入学して1ヶ月、俺は何度もこいつから昼の誘いを逃げていた。時には水の中、時には屋上....なのに今日は油断した。まさか職員室の前を付かれるとは。

俺はもちろんこいつと昼なんて食いたくないし教室にもいたくないが、何よりこいつの後ろにいる「なっちゃん」とやらの紫髪ポニーテール女が怖い。心無しか命の危機を感じる。だが....

「今日は..あの女いねえの?」

「なっちゃんの事?だめだよ〜あの女なんて!夏本夏美っていうんだよ!とっても優しくていい子なんだよ!」

うーん、俺は違う子の話を聞いてしまったのだろうか。どう考えてもあの女が優しくていい子だとは思えない。

「あいつと食べないわけ?」

「なっちゃんにはねー他の子と食べてって言ってるから!ね、影山くん1人でしょ?食べよう〜!」

「日本語の意味わかってる?今のは断ってるのと同じなんだけど。」

「えーーっっそうなの?!影山くんって頭いいんだねえ!」

どうやら日本語が通じないようだ。それとも都合の悪いことは脳内シャットダウンされる仕組みなのだろうか。

「影山くんは部活とか入るの?」

「別に。」

「そっかあ〜!私はね、陸上部かなあ〜!!男バスとサッカー部のマネージャーに誘われてるんだけどね、大変そうだし私には無理かな〜って!影山くんはどう思う?」

「どうも思わない。」

「釣れないなあ〜」

なんだ釣れないなあって、お前はどっかの主人公がクズで有名なドロドロアニメのヒロインか?

ていうか、ここまで俺にしてくる意味がわからない。正直変人が好きとかいう理由もそこまで信じてないし、俺を好きになるとかありえない。

こいつが相当モテるタイプなのか知らないが、この女のせいで既に俺はクラスの男子からハブられている。憂鬱だ。

「私は影山くんと仲良くなりたい。彼女なんて言わないからさ、友達とかはどう?」

「無理。」

「....私もしかしてと思ったんだけど...影山くんはその...女の人は好きじゃない...とか?」

「?まあそうだな。好きじゃない。」

「!!!!そ、そっか...えっと、じゃあ男の子の方が...?」

「まあ女よりは好きなんじゃねえの。色々相性も合うしな」

「あっ相性?!そそそそそんな...、そっか、影山くんそっちだったんだね..ちなみにその.受け?攻め?」

受け攻めとはどういう意味だ?そしてこいつが顔を赤らめて必死に聞いてくるのはなんだ。

男....好き....受け、攻め??ああ!!!そういうことか!!!

「受けだな。」

「!!受けてる影山くんもいいかもしれないけど!!そそそそんなのハレンチだよお〜!!」

なんかよく分からないけど宮ノが走って戻っていった。俺の勝ちだ!!

にしても変なことを聞いてきたな...そりゃ女より男の方が全員ではないが好きっちゃ好きだろう。柔道。受け攻めとかも柔道の話だったんだな。俺は中学の頃の体育の柔道のテストでも攻めより受け手のが点数良かったんだよなー。

もしかしてあいつ柔道好きなのか?意外だな...。




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ぼっち陰キャ影山くんによる正しい青春のおくり方 椎羽 @cyokomintbasket

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