第3話 夏本夏美は諦めない
ああ、本当にムカつく。
私、夏本夏美は入学早々怒りで気が狂いそうだった。
小学校から親友である宮ノかがりはバカだ。
勉強もそこまでできるほどではないし、中学の頃やってた陸上部も、最初はあまり向いてないと思っていた。
それでもあの子は努力という才能がある。受験勉強も人一倍して私と同じここに入れた。陸上部だって、最後の大会では部の中でもかなり好成績を残していた。
私はそんなかがりが大好きだ。明るくて元気で、かわいい。周りをいつも楽しくさせる。人気者でモテるのに私を取ってくれて、かがりに恋愛なんてないと思ってた。
なのに。
朝、倒れていたかがりをどうしようかと悩んでいた私は、近くにいた男子生徒に声をかけてしまった。メガネで前髪は長く、学ランをピシッと着て、正直とてもダサい。顔はよく見えないが、目の下はそこそこ整っているようには見えた。だがそんなこと関係ない。なによりダサいし髪の毛が長いだけで男子という生き物は不清潔に見える。
こんな男にかがりを触らせたくないけど、しょうがない。どうせかがりなら笑顔でその後ありがとうと言って、終わり。ならいいじゃないかー....そう思ったのが間違いだった。
まさかかがりのタイプがあんなのだったなんて!!!!
目を覚ましたかがりは、入学式に間に合わなかったことを少し悔やみながら言った。
「私の事を運んでくれた人に逢いに行く!」
正直会わせたくなかったが、かがりの性格上、人には感謝しないと気が済まないらしいので、保健室に来た時に書いた名簿をみて名前を確認し、教室に向かっていき、告白騒動か起きた。
....どうして?!どうしてかがりはあんな奴が好きなの?!変人が好きなんて聞いたことはなかった!
別にかがりが誰を好きでも、見合う人ならよかった。
ただ私は、かがりになんとなく裏切られた気分と喪失感で消えそうだった。
こうなればしょうがない、影山といっただろうか。あいつとかがりを遠ざけるしかない。まあかがりの事だ。どこに行ってもすぐに人気者になってしまうような子だから、きっとすぐにもっといい人が見つかるだろう。あんな影山という男なんて若気の至りみたいなもんだ。
ああ、本当にかがりってバカ。でもそんなバカで自由人なかがりを全部受け入れられる男なんているのかな。私みたいな人じゃないと...。大丈夫だよかがり、私が正しい道に戻してあげるから!
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