第43話
「デスク、俊一大丈夫でしょうか?」
やっと席を立って会場を出て行く俊一の後ろ姿を見ながら、ぽつりといった。
「どういうことだ?」
意味がわからないといった顔で槇原は訊き返す。
「いまの俊一の会見を見てて思ったんですが、ミステリーの企画から外したほうがいいんと思うんです」
「だから、どうして?」
槇原は、苛立ちを隠せず語気を荒げた。
「ひょっとして、彼はPTSD(心的外傷後ストレス障害)に罹っているんじゃないでしょうか――私そう思えてならないんです」
「PTSDって、あの恐怖心がトラウマとなって襲ってくる、あれのことか?」
「そうです」
櫻子は槇原の顔を見た。
「俺は全然気づかなかったがな」
「真面目な性格だから今後が心配なんです」
櫻子は本当に心配しているようだった。
「わかった。俊一とペア組んで仕事をしていた櫻子が彼のことをいちばんよく知っているはずだ。何とか彼に負荷のかからないポジションへの配置換えを考えよう」
話し終えてふたりが記者会見場から出ようとした時には、会議室はいつもの位置にテーブルが配置されていた。
( 了 )
真夜中のラフレシアナ zizi @4787167
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます