第10話

エルサルバトル帝国はミルシエの世界で一番暑い国だ

シルヴィは暑いのが苦手ならしく、リクトに背負われている

「ごめんね、リクト」

リクトは背中の柔らかい感触を我慢しながら

「あんまり無理するなよ、団長」

長い砂漠のような道をひたすら進み

民家が密集した、オアシスにたどり着いた

シルヴィは民家の人に少し休ませて欲しいとお願いをして

武器などを下ろし、水を分けてもらっていた

「エルサルバトル帝国にはまだ距離あるね」

シルヴィは水を飲みながら息を整え、これからについてリクトと話した

「この剣があれば、エルサルバトル帝国軍の団長と戦うことになっても勝てるかな、、」

エルサルバトル帝国軍団長は、シルヴィと同じく精霊の力を借りて戦うという、そもそもエルサルバトル帝国の近くには火の精霊ショウルが居ると言われていたのだ

「シルヴィ、火の精霊ショウルはかなりの力があるらしい、でもその剣なら大丈夫だろう」

リクトはシルヴィを落ち着かせていた

そして、シルヴィとリクトは民家を後にし

エルサルバトル帝国に向かった

エルサルバトル帝国は砂漠の都市と言われ、砂ぼこりが起き、砂嵐の被害がたまにある都市だ

エルサルバトル帝国で一番大きいエルサルバトル帝国軍の門をシルヴィとリクトは叩き

これまでのように、エルサルバトル帝国軍団長、ルイスの元に案内された

「ルイス団長、ルクサント帝国軍の団長と副団長がおみえです」

「通せ」

シルヴィとリクトの前に長髪のムキムキの団長が現れた

「シルヴィ君じゃないか、なんの用だい」

ルイスは書類を見ながら、シルヴィに訪ねた

「私の手紙見ましたか??」

ルイスは書類を見る手を止め

「魔王ラハトを倒す為に協力してほしいと言う手紙かい?」

「はい」

ルイスは、シルヴィの方を見て

「僕一人で十分だよ、団長の中で一番弱い君と協力する必要ない」

ルイスはシルヴィのことを完全になめていた

それもそうだ、シルヴィは団長の中で一番弱く、実力もない、それに比べ、ルイス団長は団長の中で3番目に強く、実力もあるからだ

「私だって強くなったんです」

シルヴィはルイス団長に向かって、言った

「なら見せて貰いたいぐらいだ」

「いいですよ」

広い庭に出てシルヴィとルイスは剣を抜いた

シルヴィはルイスの実力がわかっていた

オーラが別人のようだからだ

「時間よ…早まれ!」

シルヴィは倍速をかけ、ルイスに向かって走ったが

ルイスはそれを簡単に見切り、シルヴィの剣を吹き飛ばして、シルヴィの前に剣を向けた

「なんの力を得たのか知らないが君では僕に勝てない」

シルヴィは負けたのだ

「なんで…」

シルヴィは自分が強くなったと思い、剣の力に頼っていたからだ

「僕に勝てないってことは、これからの団長達にも勝てない」

「団長の中で一番強い、リベラル団長にも勝てないよ」

リベラル団長とは、ミルシエの世界で最強と言われる

団長の中で一番強い、ルーズ帝国の団長だ

エルサルバトル帝国、ミュール帝国、ルーズ帝国の順で団長の中で強い3人が揃っている

シルヴィは現実を受け止められずにその場から走り、リクトは追いかけた

「シルヴィ、待てよ!」

町外れでリクトはシルヴィの手を掴んだ

「なんで、私こんなに弱いの…??」

シルヴィは目から涙を出していた

「リクトはいいよね…強いから…」

リクトは、団長ではないが、リベラル団長と剣を合わせ互角に戦った実力があった

それなのにシルヴィに団長を任せ、自分は副団長をやっている、シルヴィはそれがずっと気になっていた

「私みたいな弱い団長なんて必要ないんだよ、リクトが団長やってよ…」

リクトはシルヴィを抱き締めた

「シルヴィ、俺はシルヴィが団長がやるべきだと思う」

シルヴィは、なんで自分がと思った

「シルヴィは、確かにそんなに実力がないのかもしれないが、人脈はある、俺にはそれがない」

リクトはルクサント帝国軍の中で、一匹狼みたいなふしがあった

「でも、これからどうしたら…」

シルヴィは目の前の強敵達になすすべがなかった

その時…エターナルブレードが光った

「え?なに??」

「なんだこの光…」

シルヴィとリクトの目の前に、時の精霊メルディナが現れた

「こんばんは、シルヴィ」

シルヴィは驚いていた、なんでこのタイミングに現れたのかを…

「シルヴィ、貴方、全然ダメね」

シルヴィはのっけから否定された

「なにがダメなんだ!!」

リクトは少し怒っていた、好きな人を否定されたのだ無理はない

「うるさいわね、エターナルブレードの力を上手く使えないのが悪いのよ」

説明しなかったのはメルディナの方だと、シルヴィは思っていた

「その剣は、倍速か、相手を遅くするか、時を少し止めるかしかないって言ったわよね」

「うん、だから私は自分を早くして…」

シルヴィは自分の使い方が正しいと思い

メルディナに言った

「あまちゃんね」

シルヴィはメルディナの言いたいことがわからなかった

「じゃあどういう使い方するの…?」

「かくかくしかじかなめこじかよ」

「ちゃんと説明しろよ…」

リクトは、シルヴィに力を与えてちゃんと使い方を教えてなかったメルディナを睨んだ

「はいはい」

メルディナは体制を変えて、シルヴィに言った

「簡単よ、相手の時間を早めればいいじゃない」

シルヴィはメルディナの発言にびっくりした

「え、それじゃ相手が倍速になるだけじゃ…」

「確かに相手が倍速になるわ、でもその剣は特定の相手の時間を早めることが出来る、つまり、相手の成長速度を早めればいいのよ」

シルヴィはようやくメルディナの言いたいことがわかった

「つまり、相手の成長速度を早めて、年を取らせろってこと…?」

「ええ、人間には限界があるわ、それを早めれてしまえば体はついて行けず、最悪死よ

でもあまちゃんの貴方は死の手前で倍速を辞めでしょうね」

シルヴィは、メルディナに心を読まれていたような気がした

「ま、好きにしなさい」

メルディナは目の前から消えた

シルヴィは、リクトに連れられ、宿を探し

一人で考えていた

「相手の成長速度を早めて、年を取らせろ…ね…」

次の日、シルヴィは一人で、エルサルバトル帝国軍団長を訪ね

勝負をしかけていた

「何度もいうけど君では、僕に勝てないよ」

シルヴィは剣を抜き、倍速をかけた

相手ではなく、自分に

「また同じ戦法かい?こりないね」

だけどシルヴィは、ルイス団長の剣を弾いていた

「なん…だと??」

シルヴィは、昨夜メルディナに言ったことにヒントを見つけていた

相手の時間を早めればいい、つまり、相手の部分的な成長を早めればいいのでは?と

手や、目、足や、腕の成長速度を早めれば、相手はこちらについていけないのではないかと

シルヴィの考え方は当たり、ルイス団長の剣を弾いた

「負けたよ、協力しよう」

その後怒っていたリクトを宥め、リクトと一緒に、寄り道をすることにした

エルサルバトル帝国から、少し離れた所にある、遊園地にシルヴィとリクトは着いていた

シルヴィの笑顔を見てリクトはシルヴィのことを守りたいと思った

最後に観覧車に乗った

リクトは意を決心した、シルヴィのことを自分だけの物にしたいと、思ったからだ

「シルヴィ」

「ん?どうしたのリクト」

リクトは息を整え

「シルヴィが好きだ、付き合ってほしい」

シルヴィは顔を真っ赤に染め、リクトに返事を返した

「私も好き」

シルヴィとリクトは晴れて恋人同士となり、次の帝国軍へと向かうことにしたのだ


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貴方を守りたい私と、私を守りたい貴方 リーシャ @jwpmpmw

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