第90話
報告会がすんでもみんなは一向に帰る様子がない。それがまるで危機から脱け出した達成感の余韻に浸り、一瞬夏休みがなければいいと誰もが思い、あるいは夏休みに入ってもこうして秘密基地でみんなと一緒でいたいと思っているに違いない。
「大基くん、きみ、チン毛生えてる?」
金太は藪から棒に大基に聞く。この前からずっと気になっていることだった。
「生えてるさ」
「ノッポは?」
大基ひとりのデーターでは満足しなかった金太は、マンガを読んでいたノッポに訊く。
「なに?」
ノッポは金太の話しを聞いてなかったらしく、真面目な顔をして訊き返した。
「チン毛だよ、チン毛。チン毛が生えてるかって訊いたの」
金太は恥ずかしがっていたが、ここまできたらもうそんなことも忘れて思い切って訊いた。いつの間にか姿を見せていたネズミが部屋の隅でくすくすと笑っている。
「生えとうよ。そげに多くはなかけんが、一応生えとるには生えとる。でん、こげなもん、大人になった誰でも生えるもんやけん、自然の法則たい」
ノッポは指でメガネを上げながら、笑顔で平然と言う。
「アイコ、アイコは?」
金太は愛子が女性なことを忘れて、勢いで訊いてしまった。愛子の名前を口にした瞬間、しまったと顔をしかめたが、そのときすでに遅かった。
「金太のバーカ」
愛子は、カバンを手にすると、赤い顔をして小屋を跳び出して行った。
小屋に残った連中は、頭を掻いて照れている金太の顔を見て高く笑った。
(了)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
このシリーズは第5話まであります。面白いですよ!!
また、他にも多数作品がありますので、そちらもお楽しみください。
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『ロビン秘密結社』の仲間たち [Ⅰ] - 友情の交響曲 - zizi @4787167
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