第7話 どれも旨かったから、寧ろ歓迎だぜ
味噌の味見をしてみたら、やはりまた少し味が変わっていた。赤味噌とまでは言わないが、少し濃くなっている。これは早く使ってしまわなければ。
まずは野菜の下拵え。茄子は乱切りにして、
ピーマンと赤ピーマン、黄ピーマンも同じく乱切りに。
鍋に湯を沸かし、そこにオリーブオイルを垂らす。そこに茄子と色取り取りのピーマンを入れて下茹でして行く。
色鮮やかに茹で上がったら、
肉は、今日は鶏肉を使おう。胸肉を薄めの
それをオリーブオイルを敷いたフライパンで焼いて行く。
その間に合わせ調味料を作っておく。味噌をブイヨンで溶き、塩と砂糖と胡椒、
鶏肉の両面に焼き色が付いて火が通ったら、下茹でをしておいた茄子などを加え、全体を返しながら混ぜる。
そこに合わせ調味料を投入。全体に絡め、とろみが出て来たらまたしっかりと火を通し、澱粉の癖が抜けたら。
鶏肉と茄子とピーマンの味噌炒め、完成である。
「オミソは炒め物ってのにも使えるのか」
「うん。昨日の汁物もだけど、炒めたり煮込んだり。青魚を煮込んでも美味しいよ」
「へぇ、それは想像出来んな」
「お味噌が青魚の臭みを和らげてくれるんだよ。生姜も使ってしっかりと臭み取りしながら煮込むんだ。鯖の味噌煮なんかは、僕の国の定番料理なんだよ」
「ふぅん、そりゃあ今度食ってみたいもんだな」
「そうだね。今度作ってみようか」
味噌炒めに合わせるものは、今日も米である。汁物はブイヨンをベースに、玉葱とブロッコリ、
居間兼食堂に運び、テーブルに並べて行く。ロロアを呼ぶとすぐに研究室から出て来た。いつもの様に軽々と椅子に上がる。
「炒め物なのですカピね。オミソはこんな使い方も出来るのですカピね」
「そうなんだよな。また昨日とは違った味わいって事だな。楽しみだぜ」
「今日はブイヨン使ってるから、昨日と風味も違うと思うよ。じゃあ食べよう」
席に着き、神に感謝し、いただきますをして。
まずはスープを一口
さてメインである。鶏肉と茄子を重ねてフォークで刺し、味噌だれをたっぷりと
鶏肉は胸肉だが、小麦粉を振ってあるのでしっとり滑らかに仕上がっている。
そして茄子。オイルを入れた湯で茹でているので、とろとろになっていた。
どちらも味噌だれに良く合っていた。味噌だれはブイヨンのお陰もあってか野菜の旨味と甘味が含まれていて、良い風味を出していた。
だが甘いだけでは無い。胡椒が程良く効いていた。良いアクセントである。
「へぇ、味噌って茄子やピーマンとも合うんだな。昨日の野菜もそうだったが、合うもんだなぁ」
「お肉ともとても合っているのですカピ。これは鶏肉ですカピね。とてもふわふわなのですカピ」
「ああ。下手に煮込んだりしたらパサパサになる部分なんだが、アサギの手に掛かるとこんなにも旨い。凄いよなぁ」
「そうですカピね」
「カロムに作って貰ったスープも美味しいよ」
「そんなの簡単なやつじゃ無いか」
2日続けての味噌料理に、浅葱はすっかりと満足である。ロロアも力を貸してくれると言ってくれたので、出来たらまた作りたいと思う。
ついでと言う訳では無いのだが、翌日の昼食も懐かしいメニューにしてみる事にする。
スパゲティを茹でておいて。
フライパンにオリーブオイルとバターを引き、玉葱と燻製豚を炒める。
玉葱がしんなりと透明になって来たらピーマンを加えてさっと炒める。
そこににんにくとトマトケチャップ、ウスターソースを入れ、香ばしい香りがするまでしっかりと炒めて。
笊でしっかりと水気を切ったスパゲティを投入。しっかりと混ぜ合わせたら。
ナポリタンの完成である。
「へぇ、スパゲティをケチャップで炒めたのか。面白いな」
「僕の国で、昔から食べられている料理なんだよ。別の国のお料理をアレンジしたんだね。懐かしい故郷の味ってところかな」
「そうなのですカピね。楽しみですカピ」
「チキンライスのオムレツはたまに作るけど、これは作った事無かったなぁって。お昼にパスタはいろいろ食べていたのにねぇ」
「そうだな。よし、じゃあ食おうぜ」
神に感謝。そしていただきますと手を合わせ。
ナポリタンをフォークで器用にくるりと巻いて、口に運ぶ。
「ああ〜懐かしい味だぁ」
嬉しくなって眼を細める浅葱。ロロアとカロムも「美味しいですカピ!」「成る程な。旨いな!」と手を動かす。
バターでこくが出て、トマトケチャップにウスターソースを少量混ぜているので味に深みもある。にんにくも入れているのでパンチもあった。
そこに玉葱の甘味や燻製豚の旨味が加わる。ピーマンは少しの爽やかさを醸し出す。
「昨日から僕の懐かしい味に付き合ってくれてありがとうね」
浅葱が言うと、ロロアもカロムも「ふふ」「ははっ」と笑う。
「気にすんな。どれも旨かったから、
「はいですカピ。僕もまた、アサギさんの故郷の味を食べてみたいですカピ」
「ありがとう。お味噌が使える様になったのが本当に大きいよ。また違うお料理も作るね。ロロア、協力ありがとうね」
「お安い御用なのですカピ!」
ロロアの嬉しそうな声に、浅葱もまた嬉しくなってにっこりと笑った。
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